あなたはユーゴスラビア映画『ぼくの兄さん』を知ってますか?

インターネットを始めてからずっと、探し続けてる映画がある。10年ぐらい前、深夜に放映されるヨーロッパ映画を片っ端から観てた時期があって、その時に出会ったユーゴスラビア映画。タイトルは『ぼくの兄さん』


とにかくストーリー展開が奇妙で、脈絡もなくおかしな出来事が次々と主人公の身の上にふりかかる。しかもそれに対する説明は一切ない。「知ってて当然」とでも言いたげな強引さで物語は先へ先へと進んでゆくため、観てるこちらは頭に浮かんだ「?」マークを処理しきれず、とりあえずあるがままを受け入れ物語に身を委ねようとするのだが、「さっきのあれはなんだったんだ…」といったもやもや感は溜まる一方。映画が始まる前に、ユーゴ映画に詳しいという女性の映画評論家が本作を「感動ものの兄弟ロードムービー」と評していたのだが、どう見ても「感動もの」ではないのだ。「シュールな兄弟ロードムービー」だ。キミ、間違ってるよ。観終わった後も、このもやもやした気持ちは消えることなく、自分の感性がおかしいのか、この評論家の感性がおかしいのか確かめたくて仕方なかったのだが、この映画を観たやつが周りにはいなかった。


ネットをやるようになってからは、映画のレビューを載っけてるサイトに行って探したし、掲示板で聞いてみたりもしたが、答えはなし。実際の所、正式なタイトル表記がこれで合ってるのかすらよくわからない。『僕のにいさん』『僕の兄さん』『ボクの兄さん』かもしれない。それからというもの、定期的にいろいろな表記で探してみるのだが、そうやって引っかかったのは、これまでに二人だけ。一人はテキスト系サイトで、ユーゴスラビアの内戦問題に絡めて1,2行、この映画について触れていた。もう一人はこの映画に出てた役者のファン。名前を見ても誰のことを指してるのかよく分からなかったのだが、『アンダーグラウンド』に出てた俳優だそうで、「○○(役者の名前)は『ぼくの兄さん』という映画にも出てるらしい」と書いてあった。



今日、いつものように検索してみた。久しぶりに内戦問題について書いた人のたった数行のレビューが読みたかったからだ。しかしサイトを閉じてしまったのか見つけることはできなかった。ところが思わぬ収穫を得る。なんと、私もよくお世話になっているallcinema.netが情報を載っけているではないか! い、いつのまにー!? 


それによると映画の詳細はこういうことらしい。タイトルは『ぼくの兄さん(原題:HOLDING UNTO AIR)』。86年の作品で、劇場未公開。・・・だから知ってる人がいないのか。TV放映って自分が観たやつだろな。SFやホラーなら劇場未公開なんて関係ないけど、ユーゴスラビア映画に興味を示す人なんて…。しかも深夜だから、観たのは関東圏の人間だけだろう。すっごいしぼられてる…。


ちなみに現在の検索結果は以下の通り。
google:ぼくの兄さん


30件hit。そのうち、この映画を指してるのは大阪外語大学のHPとallcinema.netの2件のみ。これ以外は「フィツはぼくの兄さんだよ。」「兄さん、兄さん、ぼくの兄さん」「よくもぼくの兄さんたちを」「・・・に、兄さん。ぼくの・・・兄さんだ!!」」とかそんなのばっか。マジ寂しいっす。


どっかで上映してくれる奇特な方はいないかな。その折には馳せ参じるのでよろしくお願いしまっす!