『リアリズムの宿』を観た(@シブヤ・シネマ・ソサエティ)

この劇場に行くのは初めてだったので辿り着けなかったらどうしようと思ったけど、曲がり角に看板立ててくれてありがとう。あれなかったら、確実に通り過ぎてました(汗)。名前のイメージじゃ、もっと古臭い映画館なのかと思ってたけど、噂通り綺麗な映画館。スクリーンの位置がやや高めだったが、目が乾くこともなく、空調は私的にちょうど良かった。客は20代を中心に50人ぐらい。男女比は2:8。

リアリズムの宿 [DVD]

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映画の詳細は以前の日記を参照。原作は未読。んで、感想。


9時の回を観るつもりだったが、7時の回に間に合ってしまったので夕飯抜きで映画を観る。故に食べ物のシーンはつらく(腹が鳴る一歩手前)、最後に辿り着いたリアリズムの宿・森田屋のみそ汁ですら美味そうに見えて困った。


山下敦弘監督の作品を観るのはこれが初めて。周りの客は冒頭からよくウケてたけど、私的には狙いすぎで、「このまま最後までいったら辛いな…」といった不安がよぎったけど、尾野真千子演じる謎の女“あっちゃん”が出現してからは、そのぬるーくぎこちない世界にするするーと浸れた。酒場のシーン(「愛についての語り」と「カラオケ」)がツボで、一気にいままでちょっと苦手だった山本浩司を受け入れることができたのも一因。話が進むにつれ、面白さは加速していった。


確実に“笑い”をとりにいくカット以外は、画へのこだわりがあるんだかないんだか。ラストカット*1も含め、バシッと決まることが少なくダラダラと流れ気味。ここら辺は自分の好みと外れるため観ていてちょっとイライラするのだが、リアル感を出すためのディテールへのこだわりは凄まじかった。特に金髪兄ちゃん家で頭にカーラー巻いた母親がいそいそと夕食の準備をしてるシーンと、最後に泊まった森田屋のセットやそこで織りなされる一連のシーンは、リアルを通り越し、いくら寂れた風景・家屋が好きでもこんなところには行きたかないといった気にさせる。「この土地はあんな人ばっかなの? あんな旅館ばっかなの?」と本気にしそうなぐらい描写に説得力があった。ロケ場所を提供した鳥取県民は、今頃「おらが県の良さをアピールするはずだったのに、これじゃマイナス…」と泣き伏せってるんじゃなかろうか(苦笑)。


森田屋で床に入りながら二人で“思い出し笑い”するシーンは、何かの冗談としか思えないようなあまりに酷い状況を見せつけられてたこともあって、彼らの気持ちにピタリとシンクロ。つられてこちらも思い出し笑い。最初はあの二人の間には入りたくねーと思ったけど、「こんなのも旅の思い出だよなあ。映画のネタになるんじゃない?」などと見事に気持ちはあの世界に入り込んでた。


願わくば、ラストがもうちょっと締まればなあ。所々、くるりの音楽にうまくごまかされた気がする。


しかし、この作風から『くりいむレモン』が全く想像出来ない。アップリンクトークショーに行ってきたはてなダイアラーさんたちの話によると、今週から撮影突入らしい。監督、大丈夫なんだろうか…。水橋くんだけが頼りです。



最終日6/18(金)9:00の回上映後は、長塚圭史向井康介(脚本) がやってきて客と一緒に打ち上げやるそうです(ワンドリンク付き)。参加したい人は行ってこーい!(追記:AM10:45より整理券配布。詳細は公式参照


*1:個人的に船木は電話だけでよかった。