寝違えも大概だが、肩井(けんせい)のしこりほどやっかいなものはない

3週ほど前の話になるが、GW最後の週末、首が固まった。休暇中、読書やパソコン作業で下ばかり向いてたり、前日不要スプレー缶を処分するためのガス抜きで腕や肩周りの筋肉を酷使したせいだろう。


首が固まるのは久しぶりだ。と言っても頭痛もないし、振り向いたり天井を見上げなければ気にならないので生活に支障はない。というわけでいろいろと人体実験してみることにした。


最初は筋肉が張ってるだけなのかと思い肩や首をぐりぐり回して血流を改善し、しっかり脱力して筋細胞の緊張を解いてみたが、やるとかえって首が絞まってくる。「そういえば昨日、あまり水分取ってなかったな」と思い出し、経口補水液を1本飲み水分・電解質をしっかり補給。30分待った後にもう1回ぐりぐり回し脱力してみたが、やはり余計に締まってくる。


「動かすと余計に締まるということは、肩や首筋の【こり】というより【炎症】の可能性が高そう」と判断し、血行改善&脱力でアプローチするのは一旦停止。まずは固まった筋肉を薬の力で緩めるべく、家にある筋弛緩薬(市販)を試してみることに>ん?痛んだ患部の【消炎】が先じゃね?>それは最後。まずは実験だから。


効く時は1時間程度で効いてくるので、芍薬甘草湯(ペオニフロリン+グリチルリチン酸)服用→ドキシン錠(メトカルバモール+エテンザミド)服用→コリホグス(クロルゾキサゾン+エテンザミド)服用と市販で買える3大筋弛緩剤を時間を置いて試してみる。エテンザミドは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、グリチルリチン酸も甘草に含まれる抗炎症剤。メトカルバモール、クロルゾキサゾン、(芍薬に含まれる)ペオニフロリンはいずれも筋弛緩剤。市販薬は筋弛緩剤と抗炎症薬がセットになって配合されている。効きやすい順に試してみたけどいずれも効く気配なし。
関連:エテンザミドの新たな薬理作用についての日本薬学会年会発表に関するお知らせ|大正製薬


今度は寝違えによって首周囲の筋肉に炎症が起こってる可能性を潰すため、後頭部・首筋・肩上部と動かすと痛みが出る部位にロキソニンSゲルを塗布。90分待ったがやはり効く気配がない。念のため昨日酷使し多少痛みの残る右腕と、揉むと痛い腕の付け根(三角筋)にアンメルツNEO(ジクロフェナク配合)を塗布する。塗った箇所の痛みはとれたが首にはなんの効果も無し。最後に、見上げると痛む頭の付け根あたりにペインタリンテープFB5%αフェルビナク配合)を貼ったあたりで時間切れとなり就寝。


翌朝、昨日あんなに薬飲みまくり/塗りまりだったにもかかわらず、首の可動域は数センチ広がった程度でたいして変わらず。問題は首じゃなさそうだ。今度は「【寝違え(急性疼痛性頸部拘縮)】といえばこれでしょ」ということで、【ゴッドハンド輝の寝違え解消ストレッチ】を試す。


・・・効かない。「え? これ効かないと打つ手ないんですけど(汗)」と頭を抱えながら、原因箇所を再度特定するべく「寝違え 筋肉」で検索。


すると、、、「寝違えの原因箇所は、肩甲骨と脊椎(背骨)をつなぎ肩甲骨を後ろに引くときに作用する【菱形筋】と、肩甲骨と頸椎(首の骨)をつなぎ肩甲骨を上に引き上げるときに作用する【肩甲挙筋】だ」と書いてあった。具体的な場所は↓こちら。
その箇所自体は動かしても痛くも痒くもない。ぐりぐり回して血流改善しつつ脱力して筋細胞の興奮を静めてみたが首の痛みに変化なし。試しに保冷剤で冷やしてみたところ、首の痛みが軽減し可動域が広がった。「消炎に専念した方が良さそうだな」としばらく保冷剤で冷やしてみる(※保冷剤だと冷やしすぎるのでほんとは氷がいいらしい)。冷やしてる間は首の痛みが軽減し可動域も広がるが、やめると元に戻る。しばらく冷やした後はペインタリンテープFB5%α(フェルビナク配合)に切り替え一日すごしたら、夜にはたいぶ良くなってきた。風呂には入らず軽くシャワーで済ませた後、火照った部分を再度保冷剤が溶けるまで冷やす。就寝直前「今日も一日、下ばかり見て首を酷使したなあ」と思い出し、10秒程度腕・肩をぐりぐり回し、1分ほどしっかり脱力してから就寝。湿布は貼らなかった(というか貼るの忘れた)。
※ちなみに、炎症を起こした部位を冷やすと動けるようになる理由は↓こちらでどうぞ。


翌朝、首の痛みは完全にとれ、肩上部の出っ張り(肩井)がちょっと痛む程度におさまった。肩のこりをとるべくぐりぐり回し脱力したらすっかりこりも痛みもとれたので、これにて完治、とした。





ところが、、、である。


夕方、首の痛みが消え去ったことに気をよくし、買い出しも兼ねて1時間ほどの散歩に出た帰り道、後頭部が後ろに引っ張られる感覚に「あ、ヤバいかも」と思ったのもつかの間、肩井→後頭部(頭の付け根)へと痛みが伝播。家に着く頃にはこめかみへの激痛でベッドに沈む。背負ってた荷物が重かったのかな。肩に食い込むぐらい(汗)。


というわけで、完治からわずか十時間ぶり、二度目の人体実験スタート。


今回は頭痛が酷いのであまり遊んでる余裕はない。肩や腕をぐりぐり回して脱力すると筋肉自体は緩んでくるので、血流改善&脱力だけでいけそうだと思い、まずは全身の血行を促進すべく葛根湯を飲む。肩井のしこり・痛みは残ってるが周辺の筋肉は緩んでるので上手くすれば頭痛が取れるかもと食後にロキソニンを服用するが、頭痛がとれる気配なし。水分をしっかり摂り(※発汗による脱水で筋肉の緊張が加速したらヤバいので)、血行促進のため5分だけ風呂につかるが特に変化もなく、そのまま就寝。


翌朝、頭痛で目覚める。顎の食いしばりは無い。肩周りがこわばっていたが、ぐりぐり回して脱力したらすぐ緩んだ。しかし肩井のしこりと肩井・後頭部・こめかみの痛みは依然として残ったまま。朝食後、筋肉が完全に緩んでいれば20分で痛みがとれるセデスハイGを飲むが効かず(肩のしこりがとれんと無理か)。本日は仕事なので、実験は一旦中止。職場では定期的に肩を回すぐらいで乗り切り、帰宅後、どうしたもんかとひたすら考える。


「筋肉自体は緩んでるので、このしこり、肩井のしこりさえなんとかなれば。。。どうやったらとれるのか」


ふと、数ヶ月前に見た「あさイチ つまんでゆらすファシア特集」を思い出す。

正直、首筋や背中と違って肩井はつまみにくい部位なのだが、「【摘まむ】っていうのはアリだな」と思い、しこりになってる箇所をがっつり摘まんだ(というか【掴んだ】)まま肩をぐりぐり回して脱力してみた。すると、頭痛はとれないもののしこり自体はほどけてきたので、夕食後に再度セデスハイGを飲んだら30分後、無事頭痛が治まった(やったー!)。そうか、掴めばよかったのか。翌朝、頭痛もなく起床できたので、これにて完治とした。


 * * * * *


以前は緊張性頭痛が治まるのに5日近くかかったけど、筋肉が収縮・弛緩するメカニズムを調べまくって自分にあった筋弛緩法を開発したので、最近は長くても2日あれば抑え込めるようになった。食いしばり予防のマウスピースも使わなくなったし、マッサージにも行かなくなったし、湿布もほとんど減らなくなったので金銭的にはだいぶ助かった(が、医学書代に5万ぐらい注ぎ込んだので肩こり貧乏からの脱出は来年度かな)。肩井のしこりからくる頭痛が一番痛いししつこいので、今回の「肩井を掴んだままぐりぐり回して脱力」が毎回効けば、はれて卒業なんだけどなあ(早くもう一回試したい)>まだ「眼精疲労頭痛」が残ってるよ>忘れてた(汗)。あれは無理。あれだけは無理よ。私のやってる筋弛緩法はこってる部位を動かすことが大前提なので、目の奥の筋肉の動かし方が分からんことにはなんともならん。皮膚を摘まんで揺らすなんてファシアが流行る前から散々やってるけど、目の奥の筋肉には効かんのよ。



ちなみに、、、
首筋の痛みについては、【こり】【寝違え】以外にも【ぎっくり首】という【ぎっくり腰】の首verのようなものも存在する。これがほんとにキケン(冷汗)。違和感を感じた直後から徐々に首が固まり、数時間以内に1mmも動かせない状態までいく。以前職場でなったとき、「ただの寝違えだろ」と高をくくっていたら、何もしてないのに徐々に首が締まって身動きがとれなくなってくるというぎっくり腰でしか経験したことのない感覚に「これはヤバい」と出社からわずか1時間で退社。駅のホームで電車を待ってる間にもどんどん首が固まり、地元に着く頃には下を見ることも出来なくなって電車を降りるのにも難儀。かかりつけ医にたどり着いた時は不安からの解放でちょっと泣きそうだった(苦笑)。もしあと1時間退社判断が遅れたら、駅のホームで動けず駅員に泣きついてたと思う。