未来は想像力によって作られ、過去は・・・

今年の1月3日に放送されたTBS「チンパンジーが教えてくれる希望の秘密」をようやく見た。アイちゃんっていう非常に頭のいいチンパンジーがいることで有名な京都大学霊長類研究所のさまざまな実験を通し、人間の心がどのように進化していったのか紐解く番組なんだけど、チンパンジーと人間の大きな違いは「想像力」であるという話が非常に面白かった。「想像力」が発達してないチンパンジーは目の前にあるものをあるがままに受け止め、無いものを想像力で補ったりしないし、在りし未来を想像することもない。いま現在だけを見つめて生きているが故に、下半身麻痺といった悲劇的状況に陥っても自分の未来について絶望することはない。いままで出来てたことが出来なくなったことへのとまどいはあるが、それに慣れればこれまでと変わりない精神状態が変わらず維持される。逆に、想像力の発達した人間は、目の前にあるものをあるべき姿に近づけようと不足点を想像力で補う力を3歳頃には身につけ始め、想像力があるが故に、己に降りかかるこの先の未来を想像しては希望をもったり絶望したりする。未来は誰にだってくるものだけど、未来を知覚するためには想像力が必要って感覚はこれまで持ったことがなかったので、目から鱗の発想だった。


「想像力」をもたなければ、「未来」という概念は存在しなくなる。一方、「記憶力」というものがなければ「過去」も存在しなくなる。「未来」も「過去」もない世界。いまその瞬間だけを生きる生活はどのくらい退化すれば可能になるのだろう。細胞レベルかな。