WOWOWドラマ『死刑基準』を見た

去年WOWOWでやってたSPドラマ『死刑基準』を見た。

死刑基準【DVD】

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途中粗いところもあったけどとても面白かった。死刑反対を訴えてた弁護士が妻子を殺され死刑擁護に転じると聞いてどういう風な話になるのかと思ったら、彼に影響を与えた恩師(光石研演じる反対派の弁護士)がきっかけはどうであれ「自分は弁護士だから死刑反対の立場なんだ」というシンプルなスタンスを肩肘張ることなく一貫してとっていたのが目から鱗というか非常に腑に落ちた。考えてみれば、被告の利益を守ることを生業としている刑事事件担当の弁護士が死刑制度に反対の立場をとるのは職業柄当たり前のことであり、反対の立場をとるにあたり「加害者の人権が」とか「犯罪抑止がどうの」といった大義名分を声高に掲げる必要もないんだろうな、本来は(むしろそういうことするからややこしくなってるように感じる)。


原作があるようだけど、レビュー読む限りじゃ細かい部分をだいぶドラマ用に変えてるみたいだね。

死刑基準 (幻冬舎文庫)

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こういった“個々人によって扱いが大きく異なるが故に全体化してひとつの答えに集約しようとするとどうしてもいびつに歪んでしまう”問題に関しては、それぞれの立場の人のそれぞれの思いやエゴをすみずみまで取りこぼしのないように根気よく描き、「答えを出す」ことよりも各人が真に望んでいることはなんなのかを「探っていく」ことの方が大切なのではないかと思うし、異なる立場からの視点を大事にしそこで生きてる人と誠実に向き合おうとするドラマの方が簡単に答えが出ない分面白い。