『それでも妻は登った』を観た(@ドミューンのネット生中継)

村上賢司監督が長年プッシュしてきた噂の山岳セルフドキュメンタリー『それでも妻は登った』(03年)をようやく観ることができました。


、、、これはね、凄い。確かにこれは凄い(笑)。考えれば考えるほどじわじわきてこの家族の今後に目が離せなくなる。山好きの監督が、妻と山に登った時の思い出を淡々と連ねたセルフドキュメンタリーなんだけど、監督の山への執着が凄すぎて、「えっ?! ちょっちょっと・・・ええっっ?!」っていうとんでもないことが次々起こる(笑)。でもね、それすらも雄大な山脈の前では微々たるもの。これからの人生においてそれすらもただの“通過点”にすぎないとばかりに次々と大事件を受け流す監督の、いま目の前にあるものが見えてるのか見えてないのかわからない視点が素晴らしく、その視点を補強するかのように映し出される美しい山々や皇室の方かと見間違えるほどに品のある奥様の姿を、「山と家族」への「愛と信頼」に充ち満ちた監督のおだやかなナレーションが包み込むそのさまに、「自分の好きなものだけで埋め尽くされた完璧な世界」を見せつけられたような狂気と感動を覚える一方で、これら映像からどうしようもなく立ち上ってくる“ある一点”、、、気になる一点のせいで、なんだか『放送禁止シリーズ』を観てるようなそこはかとない不安に襲われる・・・。鑑賞後すぐさまyoutubeで監督の他作品を探すんだけど、どれを観ても不安な気持ちは消えず、、、「他、他はどうなんだ? 家族の近況は?」と探しまくり、ようやく見つけた『鉢伏山物語』でアメリカから一時帰国した家族と一緒に山に登ったことを確認。撮影は2007年か・・・。ちょっと安心した。


監督の作品のいくつかはネットで観ることが出来るけれど、できれば山好きの方以外は『それでも妻は登った』から見始めて欲しい(ネットにないけど)。いま上がってる『何時か家族に』も良いけど、『それ妻』の流れで見るから余計にっていうのはあるんだよね。『妙義道 その葛藤』で離れて暮らしてる長男の日本語がアメリカ訛りになってるのを聞いたときのこの感覚を是非とも共有したい。


『それ妻』でさわりだけ紹介された話題の作品『妻、遭難』はネットにあがって無い模様。これは今後の楽しみにとっておこう。