NHK『スタジオパークからこんにちは』トーク、香川照之

カイジ』での怪演も記憶に新しい香川さんですが、香川照之の出るトーク番組にハズレなし記録を着々と更新しつづけるだけあって、今回も要所要所で笑わせつつ、書き残したくなるような言葉がいろいろとあったのでメモっておきます。

武内アナ「テレビ、映画といろいろとご活躍の香川さんなんですが、ちょっとここ近年の香川さんの映画のご出演作品をここに並べてみました。うわーっとこれいろんな作品に出てらっしゃるんですが、こうして見るとほんとにこの映画もあの映画も知ってる映画にみんな出てらっしゃる…2009年も『20世紀少年』から始まって『剣岳』でしょ? 『沈まぬ太陽』にも出てらっしゃるし、だいたいあのー、私の印象としては、映画を観に行って次の予告があるとだいたい香川さんが出てらっしゃるみたいな。
香川「(申し訳なさそうな顔で)・・・あぁ、はい。すいません! もうそのうちね、ほんとにあのー(顔に)カメラをつけて(両手を横に出してクネクネさせながら)こういう動きをしてみようかなっていうね。」
武内アナ客席の一部の人「(爆笑)」
香川「…って思ってるぐらいに。」
武内アナ「(笑いながら)そういうのが出てきますね。映画館の場合(↓こちら)。」

香川「・・・はい。・・・大丈夫ですかね、こんなこと言って。ダメですかね(笑)。」
武内アナ「(まだ笑いが止まらず)お…か…しい(笑)。」
香川「デケデケデケデケデケデケデケデケデケデケデケデケデケデケ♪(と盗撮男が出てくる時にかかる音楽をまねて武内アナを追い込む香川さんw)」
武内アナ「(再起不能)」客席の一部の人「(手をたたいて大爆笑)」
香川「(笑顔で)STOP!


武内アナ「(ようやく立ち直り)でも、こうやって監督からオファーが絶えない香川さんなんですが、香川さんの演技に対するお考えはこちらなんだそうです。」

演じるとは演じないこと

武内アナ「これはまた深い。演じるとは演じないこと。これはどういう…」
香川「まあ結果がどうであるかはちょっと置いといていただいて、僕の中の理想はですね、まあ俳優に何故なったかという理由をつきつめて考えてここ何年もきたときに、僕はもともとスタートは先ほども申し上げましたように、演じたいとか俳優になりたいとか、映画が好きとかでなったわけじゃないんですね。ただ『自分を見つけたい』ということは常に思っていたと思いますけど、そんな深いことでもなくて、ただ最近思うのは、人間というのは意外に普段演じてますよね。普段。演じないでって言われても、実は演じて喋っていて、ひとりの時に『(肩を落としうなだれながら)あんなこと言っちゃったけどほんとはこうなのよね』みたいなことがあったり、、、あるじゃないですか。」
武内アナ「この人の前ではちょっといい格好しとこうかなみたいなことはありますよね。」
香川「ボクなんかもほんとにもう“八方(美人)”なもんですから、人間としてはもうね、ほんとにダメです!
武内アナ「(笑)」
香川「ハッキリ言って。もう最悪です。でもほんとにそういうような普段ほんとにね自分は演じてるなって思うんですよ、いろんなことを。で、カメラの前でボクは人が与えた台詞を言うんですけど、このときにみんなやっぱり“台詞”だと思うじゃないですか。ボクがどれだけの気持ちで言っても、『あ、この人は“台詞”を言っているんだ』と。ものすごい悪いことを言っても『台詞だから香川クンは言ってるんだ』と思ってくれるのが映像じゃないですか。あるいは舞台じゃないですか。だから安心して本心を出していいなと思うんです。『本心言っちゃえ!』と。」
武内アナ「演じるんじゃなくて“本心”を。」
香川「本心を言え!と。」
武内アナ「台詞の中で。」
香川「中で。だからその台詞にあった本心っていっぱいあるわけですよ。いろんな映画で。たとえば悪いこと言ったり…ボクの中にある悪いことの本心を全部言ってしまおうと。本心で言おうと。だから如何に演じないか。自分のホントとつながる瞬間を出したいんですけどなかなかそうもいかなくてですね、まあいろんな制約があってできないことがあったりするんですけど、でもやっぱり誰かが何かを演じているのを見ても人は面白くないと思うんですよね。誰かが何かを本気でやってるってことが面白いんであって、だから如何に本気になれるかっていうか、それをずっと心がけては…理想としては、います。ただ結果としてはこの前佐藤浩市さんとも話たりしたんですけど『(モノマネしながら)俺ら作り込んでくタイプだからよぉ』って佐藤浩市さんから言われて『あ、そうですねそうですね』って。」
武内アナ「(笑)」
香川「『これでやってこうよ!』『あ、わかりましたー』って。結果としてはものすごく演じて…作り込んでるように思われてるかもしれませんけど、ボクの中の理想としては「作り込まない」「演じない」「ボクの本心としてこの台詞を言いたい」。で、ボクのこのいま言ってるこの言葉の方がよっぽど作り込んで言ってる場合が人生あるんじゃないかと思って、そこに対する贖罪というか、罪を償ってるというか、つもりではあるんですよね。」

「本心言っちゃえ!」ってw。なるほどね。この話を聞いた後に↓0:30過ぎのこの台詞を聞くと感慨深いものがあります。

「甘えるな! 今宵はクズを集めた最終戦。ここでまた負けるようなやつ、そんなやつの運命など俺はもう知らん。
勝つことがすべてだ! 勝たなきゃゴミだ!!!」

何度聞いてもたまらんです(特に「ここでまた負ける〜もう知らん」のとこ)。私なんてこの台詞回しに惹かれてカイジ観に行きましたから。


そしてこの後に西川美和監督、黒沢清監督についての話が続きます。

武内アナ「でも最近は香川さんの中で監督の空気感みたいなものもすごく大事にしようって結構思ってらっしゃるって…」
香川「そうですねえ、これはあのー『ゆれる』という映画で西川美和監督というとても才能ある監督と、そして黒沢清監督…『トウキョウソナタ』という映画で…十年前も『蛇の道』というので一緒に仕事させていただいたんですが、この二人の監督に顕著にその傾向があると思ったんですよ。

共に脚本を自分で書かれる。で、映画のこう…すべてを知り尽くした上で脚本を俳優に提示して、でまあ何かの役を作っていくんですけど、実は俳優は…まあボクだけなのかもしれないけど、カメラが回った後に何かをやるっていうのは実はできないんですよ。」
武内アナ「え?どういうことですか?」
香川「たとえばですね、ゴルフ…ボクそんなにゴルフやらないんですけど、ゴルフをスイングして打ってる間にここをこうしてここをチェックしてって全部考えて無いじゃないですか。何かを決めたら何も考えないで、それこそ『チャーシューメン!』みたいな感じで打つじゃないですか。」
武内アナ「(笑)」
香川「意外にチャーシューメン!的なことしかやってないわけですよ。そうすると俳優もカメラが回った後では遅いというか、何もできないんですよ。ただ何かが(自分の中から)出てくるだけで、意外な小細工は出来ないなっていうのがもう何年もやって…小細工やってこようとずっとしてたんですけど。そのときに、監督がどういう目をしているのか、監督のその背中の感じとか見てると、何も考えない。この人のこの感じをそのまま(自分の中に)通そうと思ったんですよ。ここらへん(自分の周り)に漂ってるもの? 普通ならガンガンガン!って音を立てて行くような現場が、監督が静かでひっそりしてるとやっぱり照明の人の動きもひっそりしていて、しーんとした感じをただ通して行こう!って思ったんです。特に黒沢清監督っていうのはその名手っていうか…。」
武内アナ「じゃあそれがいったいどういうことなのかっていうのを、昨年ご出演なさいましたこのトウキョウソナタからちょっとご覧いただこうと思います。香川さんはリストラされたことを家族にいえない男の人を演じてらっしゃいます。じゃあちょっと一部ご覧ください。」


(↓これの8:20-9:40の救命ボートのシーン。それ以降はある人物の顛末が描かれてるので未見の方はくれぐれもご注意を)


武内アナ「やっぱりその監督の空気感に乗ってみるというか、自分の世界じゃないところにまたちょっとゆだねてみると違う発見が…」
香川「そうですねえ、やっぱり映画は監督のものだと思うし、監督はなによりもその映画のことを知り尽くしているので、俳優としてこうじゃないかっていう小さな方向転換はできますけど、やはりその大きな船の帆先で『あっち行かせろ−!』って違う方向を叫んだところで船はもうそっちの方向に向かってるんですよ。だとするとやっぱりその帆先でやることは『(別の方向へ体を向けて)こうだ!』ってやるんじゃなくてその船を感じて(『タイタニック』のように両手を広げながら)もうこうなるだけでいいんですよ。タイタニックでいいんですよ。もうそれでいいかなっというのが最近は思っている・・・またこれからね、何年か経って違う感覚になるかもしれないですけど。」
武内アナ「作り込んでゆくタイプだと思われているけれども!」
香川「まあ、それはね、最後までそう思われるでしょう! ボクの理想はあくまで岸辺一徳さんなんですが、なれずに終わるでしょう。」

『ゆれる』の話ももうちょっと聞きたかったですね。あれは香川さんなくして成立しなかったというか、別の俳優さんが“兄・稔”を演じていたらああいう感触の映画にはならなかった気がするので(なんせあの映画の西川監督は“弟”にしか思い入れがなく、映ってるのも“弟から見た兄の姿”ばかり。初見で香川さん演じる兄・稔にものすごーく感情移入しながら見てた身としては、2度目に見たときそれに気づいて「兄自身はどこにいるの?」と愕然としたぐらい。だから「稔はまさに自分だ」と言ってた香川さん以外の人が演じてあそこまであの兄に自分自身が感情移入できたか正直わからない)。


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