『ラブドガン』を観た(@テアトル新宿)

昨日観てきました。公開初日の立ち見盛況ぶりとはうって変わり、客入ってなかった…。20〜30代を中心に4割ぐらい。7:3ぐらいで男性客多し。年輩のおっちゃんもちらほら。一応、岸部一徳×新井浩文×渡辺謙作監督トークショーのある回だったにもかかわらずこの入りなんで、生・あおい、生・永瀬効果の凄さを実感しました。

ラブドガン [DVD]

ラブドガン [DVD]



映画の詳細は↓以前の日記を参照。
『ラブドガン』まもなく公開(6/19〜7/30まで) - 嗚呼、テレ日トシネマ-雑記-
んで、感想。


これは好き嫌いが別れる作品じゃなかろうか。予告のイメージで観に行くと「えっ?」って固まるぐらいに雰囲気が違う。あの予告にはかなりの騙しのテクが使われてますよ、皆さん。いや、結果的にはあれに至るのだが、基本的に本編はお茶目でファンタジー。あまり商業映画ではお目にかからないトリッキーな撮り方がなされてるため、悲壮感漂う予告イメージとのギャップにちょっと戸惑う。テンポも独特で微妙にノリづらい。一徳さんが、後のトークショーでこの役を引き受けた理由を問われたとき、脚本を読んでみて「これはあまりたくさんの人が観にこない映画だ」と思ったからと答えていて、「さすが御大、するどい嗅覚だ」と感心した。


私的にはこの作品、好きです。映像も、ファンタジーなとこも、殺し屋3人の関係性も。ただ、人に勧めるかっていうと微妙。合わない人は最後までノリきれずに終わると思うので、とりあえず一度試してみて下さい。自分は、途中まで好きと微妙を行ったり来たりしたけど、「あ、これは<ファンタジー>なんだ。めちゃめちゃ<ファンタジー>なんだ!」と了解した瞬間、事前に作り上げられた『ラブドガン』イメージから解放され、すんなり物語に入ることができた。「殺し屋」の話なので、撃ち合いのシーンもたびたび出てくるが、そこだけ画のテンションがものすごい上がり方をみせる。これが非常に気持ちいい。バリエーションも豊かで、どのシーンも甲乙つけがたいぐらいに好き。この監督、確かに鈴木清順さんとこの子ですよ(笑)。


「色」を意識してるんだろうなということは事前に分かっていたけど、実際に本編観てみると、「色」はものすごい重要だった。『ラブドガン』の世界では、銃弾の色が、撃った人の感情によって、元の地金の色から「青」「黄」「黒」といった別の色に変化する、という設定になっている。感情がこもってない弾は元の地金の色、悲しみが込められれば「」、憎しみの込められた弾は「黒」、怯えて撃った弾は「」。噂によると「」色の弾というも存在するのだが、見た者はおらず、どんな感情で撃てば「」になるのかはわからない。永瀬正敏演じる腕利きの殺し屋・葉山田は、その答えを探し求め、「アキラ」と名付けられた真っ赤な拳銃と共に、一人彷徨い、宮崎あおい演じる孤独な少女・観幸と出会う。葉山田が所持してる真っ赤な拳銃だが、赤く塗った拳銃って見た目が軽くちゃちいのよ。予告じゃかっこつけのモデルガンにしか見えなかったが、本編では、全体的に映像の彩度がかなり上がっており、全ての色が自己主張しまくりで、拳銃一丁ぐらい赤くてもどうってこたなかった。クライマックスで「」の答えが明かされると、この世界における「色」の役割を悟り、これまで観てきた映像のあの色この色が走馬燈のように甦っては「おおー、そういうことかー!」としばし興奮。そのままラストの旅立ちで、あおいちゃんがあの色の服着て、あんな顔で微笑むもんだから、思わずうるっと涙*1。そして物語は第2章へと続くわけだが*2、願わくばラストのイラストはもう少し似せて欲しかった。あれじゃ別人だって(笑)。新井君ファンはちゃんと観に行くように!


実を言うと、永瀬正敏はちょっと苦手だったりする。若いのに枯れちゃってる感じがもっさいというか物足りない。今回もやはりその印象があって、横にいる岸部一徳の艶っぽさハジケっぷりと比べるとどこか年よりくさいんだな。クライマックスでちょっと若返るんで、始めからそうでいてくれるともっと良かった。





余談。通常、上映前には他作品の予告がいくつか流れるものだが、今回は『機関車先生』だけだった。しかし、ひとつだけとは思わなかったんで、『機関車先生』に続き、どこまでも伸びるハイウェイの映像が出た瞬間、『ヒッチハイク〜溺れる箱船〜』の予告が始まったもんだとばかり思ってたが、まさかそれが本編だったとは…(爆)。出演者のクレジットが出るまでの数秒間、全く気が付かんかったです。紛らわしいんで苦情いれたくなったが、監督自らおのぞみドットコムのインタビューで「本当は北海道で撮りたかったんだけど、都合がつかず、トップシーンだけでも北海道っぽいシーンにしたかった」と語ってるのを読み納得。実際に北海道で撮った『ヒッチハイク〜』と間違われたんだから、狙い的中ですな。


↓こちらがその冒頭シーン。



*1:最近、涙腺弱すぎだ・・・

*2:別にパート2に続くという意味ではないので、誤解無きよう。