舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を観た(@パルコ劇場)


いやー、昨日行ってきました。写真見た時はどうなることかと思ったけど、三上ヘド、非常に良かったです。歌は上手いし、艶っぽいし、カワイイしで、本家ジョン・キャメロン・ミッチェルとは全然違うヘドだけど、これはこれでありというか、なんか浅野温子でした(爆)。ヘドというより、浅野温子でした(笑)。あのエラ張り男顔にものすごいメイクのせてるから、ぶっちゃけ顔はバケモノなんだけど、だんだんだんだん可愛く見えてくるんだな。トミーに見捨てられた後など、イツハクならずとも抱きしめたくなる。そして口元はあいかわらず色っぽい。


芝居自体は「ライブのMCで自分の生い立ちについて語るヘドウィグ」といったシチュエーションになっているため、我々観客は三上の舞台を観に来た客でありながら、“ヘドのライブを見に来た客”を演じなくてはならないと言うちょっとややこしい立場。三上もアドリブ風に台詞を喋るんで、終始ライブのMCを楽しんでる感覚がついてまわるというなかなかに面白い舞台でした。舞台セットは、中央が少しせり出した作りで、その両サイドにソファーが置かれ、背後、少し離れた所にバンドメンバーが控える。三上は大概中央で歌ってるんだけど、たまにソファーに座りながら歌ったり、客席に降りて客いじりしたり(95%女客なんで数少ないオッサン客がカーウォッシュ*1の餌食になります…笑)。正面奥の壁には「EXIT」と書かれた扉がついてて、トミーのシーンになると扉が開かれる。ただ、自分が座った席は最前端っていう“近い”だけが取り柄の最悪な席だったもんで*2、正面奥や反対側のソファーに座られちゃうと、何やってんだかさっぱりわかんない。ま、そこらへんは映画観てるんで脳内補完しながら切り抜けつつ、イツハクをチラ見しながら、ヘドウィグばかり観てました。席はほんと近くて、あまりに近いんで、三上の付けてる香水が服に移りましたよ(笑)。


日本語詞に変わると言うことで、サントラまで持ってる自分としてはちょっと心配だったけど、何曲か字余りな印象をうけつつも、思ったほど気にならなかった。「SUGAR DADDY」「HEDWIG'S LAMENT」「WICKED LITTLE TOWN」はこっちの方が好き!(舞台版のサントラ出してくれい)。ヘドの代わりにボーカルを務めたギターの兄ちゃん(何げにスティーブン・トラスクに似てる!)も、原曲のイメージを損なわない歌声で良し。難を言えば、イツハク役のエミちゃんが惜しい…。歌声・ビジュアルはOKだが、芝居が三上に圧倒的に負けちゃってるんで(これは仕方ない…)、演出でもう少しフォローして欲しかった。イツハクに対しちょっとないがしろな演出なんだ。故にラストの衣装チェンジ、映画観てない人には意味不明だと思われます(苦笑)。ヘドがオサーンに変身したラストもちゃんと伝わってるのかちょっと疑問。



舞台版と映画版ではヘドウィグの印象がちょっと違う。ヘドの独白という形をとっているせいか、舞台版は捨てられた女(オカマ)の恨み辛みがより濃縮されており、映画版よりもっと女らしく映る。劇中、ヘドはトミーが歌うあの曲もこの曲も「あたしが作った」って言ってるけど、舞台版では、実際にはトミーが作ったのにまるで自分が作ったかのように吹聴して回ってるようにも感じられる。映画版では、表向き、自分の曲を盗られたというアーティストとしてのプライド、名誉を回復するべく戦ってるという印象が強いんだけど、舞台版にはそれがない。捨てられた女がもう一度振り向いて欲しい、その一心で追いかけ回してるように見える。舞台版がほんとのヘドの姿だったとするなら、舞台を知ってあとから映画を観た人は、映画版のヘドのことをどう思っただろう・・・



ラストにはちょっと不満が残るけど、全体的にはほんと良かったです。D・ボウイの「スターマン」も何げに使われてたしね(嬉)。やっぱ楽曲はいいなあ。三上の歌声も艶があって聞かせてくれるし、ちょっと演歌ちっくなのが“女の情念”って感じでまたよかったり。「MIDNIGHT RADIO」はもう少し粘り抑え目の方が伝わりやすかったかも。客席も中央列はスタンディングで盛り上がってました。東京公演は残すところ、今日と新宿ナイトだけになるけど、全体が見渡せる席でもう1度見たいなあと思いました。

* * *

そういえば、以前『あなただけ見えない』でアケミ役を演じた時、「時間があればエステに行ってむだ毛処理もちゃんとしたかった」と言ってたけど、今回はきちんとやってきたようで、つるっつるのお肌。普段の三上は、ガニ股でガシガシ歩くってイメージなんだけど、仕草も歩く姿もほんとかわいかったです。やっぱヘドは可愛いのがイチバン!



ちなみに、巷ではヘド役としてローリーやら吉井ロビンソンやらいろいろ候補にあがってたけど、Gacktの横でギター弾いてるChachamaruさんが一番ヘドに似てると思います。テレビで初めて見た時からずーーーっと思ってましたです、はい。一押し!



【関連サイト】
舞台公式サイト http://www.parco-city.co.jp/play/hedwig/
三上博史インタビュー http://eee.eplus.co.jp/s/hedwig/
劇中バンド“アングリーインチ”インタビュー http://www.mc-club.ne.jp/interview/angryinch/index.html



*1:顔の上にまたがりお股すりすりされる

*2:スピーカーの真ん前の割に音はうるさくない(鼓膜に優しい音量)。その代わり、重低音からくる振動がもの凄くて息ができないかと思った。心臓の弱い人は席替わってもらった方がいいぞ。