トラネキサム酸のこともネキシウムと同じぐらい「好きだ!」という話

久しぶりの二連休なのに逆流性食道炎再発。食後うたた寝する日々が続いたせいか、みぞおちの上あたりが痛いのでネキシウムもらいに胃腸のお医者に行った。愛してるよネキシウム。でも市販されてないためお医者に行かないと拝むことができない。昼前に行けば空いてるかと思ったがお医者はめちゃ混んでた。逆流性食道炎になると胃酸で喉があれて咳が出やすくなるのだが、このご時世、咳はアレなので、念のため帰りに薬局に寄り、私が耳鼻科で出会って一目で惚れ込んだお気に入り薬「トラネキサム酸」を買って帰った>トラネキサム酸って売ってないじゃん>最近はね、「ペラックT錠」ていうトラネキサム酸が6錠で750mg(1回2錠朝昼晩服用)も入っててカンゾウ(甘草)とビタミンぐらいしか添加されてないクスリが売っているんだよ。風邪引いた時用に同じく6錠750mg入ってる「ルルアタックEX」も常備してるけど、イブプロフェンとか抗ヒスタミン薬とかも入ってるから、花粉の薬飲んでるいまだと飲み合わせ的に過剰。

【第3類医薬品】ペラックT錠 36錠

【第3類医薬品】ペラックT錠 36錠

  • 発売日: 2019/08/29
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品


トラネキサム酸ってね、ほんとに効くんです。空気が乾燥してくると鼻の奥の方やのどがヒリヒリして、冷たい空気を吸うと咳が出る、喉風邪になるって人は一度試してほしい。これと出会ってからというもの喉が痛み始めたらトラネキサム酸で速効治すから喉風邪知らずですよ。昔は市販薬におけるトラネキサム酸の含有率がいまよりずっと低くて、一番高いのが肝斑治療薬でお馴染み「トランシーノ」だったので大枚はたいて買った思い出。気軽に買えるいい時代になった。



追記:トラネキサム酸が炎症に効く理由
喉の痛みに効く仕組み | のど(喉)の痛み・腫れを飲んで治す治療薬「ペラックT錠」 |第一三共ヘルスケア
↑トラネキサム酸は、炎症部位で引き起こされる「プラスミン」の産生・増加を抑え、炎症や痛みを起こす物質の発生を抑える作用がある。
血管の内側で血液が凝固したら | 生物学科 | 東邦大学
出血から血管の修復まで 一般社団法人日本血液製剤協会]
↑出血が起こると破れた箇所に血小板が集まり、止血のために血栓を作る。止血が完了すると破れた箇所が新しい内皮細胞で覆われ、邪魔になった血栓を除去する作用が始まる。血栓を溶解しているのが「プラスミン」という血液中のタンパク質で、血液中の血栓が生じると活性化し特異的に結合して血栓を溶かしてゆく。
http://www.3nai.jp/weblog/entry/32721.html
↑過剰なプラスミンは止血のための生理的血栓も溶かしてしまう。これを抑制するのが抗プラスミン薬であるトラネキサム酸。ただし、高齢者の場合は、生理的な抗血栓作用が減弱してるので安易に摂り過ぎるのは注意が必要。
一般社団法人 日本血栓止血学会 » 用語集(詳細説明)
↑トラネキサム酸はプラスミンによる血栓の溶解作用を抑えることで、止血作用を促進させる効果がある。
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066303.pdf
↑トラネキサム酸は、通常成人 1 日 750 ~ 2,000mgを3~4回に分割経口投与する。
痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief ー炎症メディエーター
↑「サイトカイン」とは免疫担当細胞から分泌され、局所および全身の炎症反応を制御する重要な働きを持っている。炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのバランスが崩れると炎症が持続する。炎症性サイトカインは炎症局所の白血球やマクロファージで産生され、炎症を増悪させ、痛覚過敏を引き起こす。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sbk1951/47/3/47_3_111/_pdf
↑多細胞生物の臓器組織は、実質細胞とそれを支持する間質組織からなる。両者を規則正しく有機的に接着固定してるのが「細胞外マトリックスECM)」。炎症や腫瘍を含む多くの疾患で生じる組織のさまざまな構造変化にECMの分解が関与している。そしてそのECMの分解にはプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が関与しており、その中でも「マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)」が中心的役割を果たす。MMPは潜在型の前酵素として分泌され、活性酸素や好中球エラスターゼ、プラスミンといったプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)などにより活性化する。
https://www.quint-j.co.jp/web/keyword/keyword.php?no=38566
↑「炎症性細胞浸潤」とは炎症性細胞が血管内などから病巣へ遊走すること。炎症初期は好中球(白血球の一種)が多く遊走して異物を貪食する。時間経過に従い、好中球に代わってリンパ球(抗体産生、病原体の排除)、マクロファージ(貪食)、形質細胞(免疫グロブリンの産生・放出)が優位になる。
https://www.weblio.jp/content/%E7%82%8E%E7%97%87%E7%B4%B0%E8%83%9E
↑「炎症細胞」とは白血球のように炎症を引き起こす細胞のこと。細菌感染などでは好中球が主役で,アレルギーでは好酸球,Tリンパ球,肥満細胞などが主役と考えられている。
https://www.juntendo.ac.jp/graduate/pdf/news17.pdf
マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)は骨髄由来細胞(好中球、単球、マクロファージ、マスト細胞、血小板等)が生体組織中に侵入・移動していく際には不可欠と考えられている。プラスミン阻害剤を投与されたマウスほど、炎症性細胞の病変組織中への動員と浸潤が抑制され、炎症疾患の予後がよくなることから、プラスミン阻害剤は、MMP活性の阻害を通じて、炎症性サイトカインの分泌を抑制してると考えられる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsir2001/22/1/22_1_13/_pdf
↑病原微生物の侵入により血管内皮細胞が活性化すると、末稍血中に存在する好中球がそれを認識し、血管外へ遊走して感染局所に集積。その食菌作用により病原微生物を取り込み自らの細胞内で殺菌する(=貪食殺菌)。好中球の過度な浸潤は、活性化によるタンパク質分解酵素の過度の放出を引き起こし、本来の殺菌作用という役割以外に組織破壊を引き起こす。特に、活性化した好中球から過剰に産生されたタンパク質分解酵素「エラスターゼ」によって細胞外マトリックスECM)が過度に分解されると、様々な炎症性疾患(気管支炎など)の病態形成に関与することが知られている。エラスターゼには好中球の血管内皮細胞への接着を解除したり、炎症反応において重要な機能をもつ分子や炎症サイトカインを分解しその働きを阻害する作用も有しているため、エラスターゼの持つ殺菌、炎症反応の惹起拡大および抑制という幅広い作用を通し、炎症反応を巧妙に調整していると考えられる。