新型コロナ報道の一次ソースにあたってみたらいろいろわかったので列記する

厚生労働省のサイトでは、新型コロナウイルスに関連した患者等の発生について、各都道府県市町村から発表された情報が一次ソース付きでまとめられ毎日更新されています。これを読むと、国内ではどんな症状が出て、感染から発症まで何日ぐらいかかり、発症から何日ぐらいで検査を受けられてるのか、検査で陽性となった人はその後どうしてるのかということがわかるのでなかなか便利です。
報道発表一覧(新型コロナウイルス)|厚生労働省

感染者が600例を超えたので量は膨大ですが100例ぐらい読むと、割と満足してくるので(苦笑)、心配性の方は一度読んでみたらいいかと思います。最初は抜き出してまとめようかと思ったけど、途中で諦めました(汗)。


そもそも「自宅待機」とは

読んでて気づいたのは、「現時点では、検査で陽性が確認された人は症状にかかわらず入院してる」ということ。入院せず自宅待機になってる人は、症状が軽いからというより病床の問題。陽性となった人は無症状でも一旦入院して、2度続けて陰性判定がでれば退院→自宅待機となってるが、空いてる病床がないと入院できないので、症状が軽い人は病床があくまで自宅待機となっている。このように、退院して2週間の自宅待機を申しつけられてる回復者(陰性)も、病床調整待ちで自宅待機となってる感染者(陽性)も、報道時には同じ「自宅待機」という言葉が使われるのでいろいろ紛らわしい。できれば、「入院待ちの自宅待機者」には「自宅待機」という言葉は使わず、「入院待機」と呼ぶなどして、退院後の自宅待機者(=回復者)や今後出てくるであろう「軽症なので入院の必要なし」と判断された自宅待機者とは区別して報道した方がいいのではないかと思った次第です。


事例としてあげるなら、先日、陽性判定が出て保健所から自宅待機要請を受けた愛知県蒲郡市の50代男性が、陽性を知りながら複数の飲食店に立ち寄り、パブで従業員に濃厚接触を繰り返した事件がありました。
コロナ「ばらまく」男性捜査へ 飲食店の従業員感染―愛知県警:時事ドットコム
事件があったのは3月4日。「自宅待機」とさかんに報道されたため「軽症だと入院させてもらえないのか」と思われた人も多いかと思いますが、愛知県の陽性判明者報告書を読む限り、当該男性は当初から「県内医療機関に入院予定」となっており、↑の記事内でも「男性は同居の両親から感染したとみられ、5日から入院」と書かれていて翌日には既に入院しており、入院に向け準備をしている間に起こした犯行のようです。

↓こちがが今回の男性と思われる愛知県の陽性判明者報告書。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000604595.pdf
↑50代の男性。3月4日に陽性判明。明らかな症状はなく、3月3日に陽性判定を受けた高齢夫婦の家族(濃厚接触者)。医療機関に入院予定。

ちなみに↓こちらが50代男性が訪れたパブの従業員と思われる報告書。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000607877.pdf
↑3月8日昼頃発熱。12日に検査で陽性判明。入院予定。

病床問題

病床不足については、感染者が多数報告されてる札幌市あたりだと、現在既に満床続きで、入院予定でありながら自宅待機を余儀なくされている軽症者が出始めている状態です。
↑北海道新型コロナ感染者初確認から1カ月(2/14〜3/14まで)を分析した記事。感染者142人中、4人死亡、入院患者(自宅待機も含む)は14日午後5時現在で80人。内訳は142人中、死亡者4人、重傷者7人、軽症(入院・満床につき自宅待機)73人、退院58人。感染者用病床は現在250床。感染者の多い札幌では満床が続き、ベッドが空くまで自宅待機する軽症者が数名出始めている。


病床不足は事件のあった愛知県でも懸念されています(感染者数は北海道に次ぐ多さ)。
新型コロナウイルスは、感染症法に基づく「指定感染症」。感染者は症状の重さにかかわらず、ウイルスを外部に出さないように気圧を低くした病室などがある「指定医療機関」に入院する。愛知県の病床数は11日時点で161だが、感染者数は104人。指定医療機関の48病床(計72病床 残24)、協力医療機関など48病床(計89病床 残41)の計96病床で感染者が入院中か、入院に向けて調整中。



新型コロナの主な症状と受診・検査の流れ

冒頭で紹介した厚生労働省のページで直近の症例を200件ぐらい眺めていると、咳よりも熱がポイントといった印象。大半の人は、まず37.5度以上の発熱が出て、その後は何パターンかにわかれる感じです。

1.発熱→病院へ→熱が下がらない→病院または保健所に相談→検査
2.発熱→病院・市販薬で対処→熱が下がる→数日して再び発熱→病院または保健所に相談→検査
3.発熱→病院・市販薬で対処→熱が下がる→咳や倦怠感が続く→病院または保健所に相談→検査

※40度近い高熱が出る人はほとんどおらず、多くが37.5〜38度台を推移。発熱の他に咳、咽頭痛、倦怠感のいずれかがだいたいセットになってる印象。それにプラスして鼻水・痰・下痢・嘔吐・関節痛が付いてくる。


ちなみに現在厚生労働省から出されてる新型コロナ相談・受診の目安は以下の通り。

以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方
(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
新型コロナウイルス感染症(新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解)|厚生労働省

感染者の症状を見る限り、判断基準はたしかに概ねこんなかんじだよなあという印象。不思議なのは、「熱は無い(or下がった)けど倦怠感がとれない」って人はよく見かけたけど、息苦しさを訴えてる人はほとんどいなかった。それなのに受診・相談の目安にあげられてるってことは、「息苦しさがあるようだと結構ヤバイのですぐ相談してよ」ってことなんだと思われます。


症状の経過報告を見てると、ちゃんと毎日体温をはかって自分の症状を記録してた人が何人かいて、偉いなあと思った。市販薬の種類や受診した時にどんな薬を処方されたかの情報がほとんど載ってないけど保健所ではちゃんと把握してることを願いたい。あとは、無症状やかなりの軽症で入院した場合、医療機関ではどんな治療をしてるのかが知りたいんだがどうやって調べたらいいのだろう。特に何もせず、体温をはかって経過観察してるのか、点滴ぐらいは打ってるのか。点滴があるとないとでは万が一今後「軽症者は自宅待機」となった場合に入院者とのハンデが大きすぎる>君は胃腸炎で点滴のお世話に何度もなりまくってるからね>うん、点滴最強。次点がポカリ。


新たな感染者が報道された時に一次ソースにあたる方法

そういえば武漢からの旅行者をガイドした大阪のバスガイドさんが、退院後にふたたび陽性になった事例があったけれど、、、
大阪の女性、退院後再び新型コロナ陽性 国内初 :日本経済新聞
(※1/29に陽性で入院したが回復したため2/1に退院。しかしせきの症状が出たため、2/6に検査するが陰性。その後も喉の違和感や胸の痛みが続き、26日に検査したところ陽性。)

この件に関する一次ソース(大阪府が出してる報告書内容)を知りたい場合は、まず厚生労働省の↓こちらのページに飛びます。
厚生労働省 報道発表一覧(新型コロナウイルス)〜国内の患者発生〜
ニュースでは「2月26日に検査で陽性判明」となっているので、2月26日のまとめをクリックします。

2020年2月26日
新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(148~167例目)

ページの一番下に一次ソースへのリンクが貼ってあるので、「大阪府」を探してクリックした先が↓こちらになります。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000600366.pdf


その他

愛知県の報告書を読んでると入院時の状態で「容体安定」の他に、「中等症」ていう言葉が出てくるのですが、重症度を表す言葉で「軽症→中等症→重症」ということだそうです。どの程度の症状だと「中等症」て言われるのかはよくわかりません(軽度の肺炎と併記されてることが多いかな)。



そういえば、あと1,2ヶ月もすると春の健康診断がやってくるのだけど、いままでとるにたらない扱いだった「肺のレントゲン検査」が突如として重要性を帯びるんだろか。症状無いけど、「肺炎の形跡が!」なんてこともあるんだろか。肺炎ってなったことないからいまいちよくわからない。


以上です。編集長。ていうか、NHKさんはお得意のNスペで600件の症例を細かく分析・分類して可視化してください。私の受信料で。