「息苦しさ」を酸素低下の指標にしてはいけない

新型コロナでホテル療養中に亡くなった方が出た。

軽症診断でホテル療養中の50代男性死亡 コロナによる急性肺炎で 神奈川 (2020.12.12配信)
神奈川県は12日、新型コロナウイルスに感染し、軽症と診断されてホテルで療養していた県内の50代男性が11日に死亡したと発表した。基礎疾患はなかった。死因は新型コロナによる急性気管支肺炎で、県は健康観察のあり方に問題がなかったか検証する。(中略)県は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で健康観察を実施しており、男性は11日午前、頭痛やだるさがあることを入力していた。同時にパルスオキシメーターで自ら血液の酸素濃度を測定して報告。その酸素濃度は通常より低く、医師の診察が必要な基準に達していた。しかし、県によると、男性は9日以降、酸素濃度が基準より低い日もあったが、測り直すと高くなることもあった。また、せきや息苦しさも訴えておらず、その段階での診察は見送られたという。県は今後、再計測でも酸素濃度が基準より低い場合、直ちに医師が体調を確認するよう運用を改めた。(以下略)

急変なのかと思いきや、血中酸素濃度が低くなってるのに咳や「息苦しさ」を訴えなかったことから診察が見送られた事例だという。記事を読むと、「測り直すと酸素濃度が高くなることもあった」とあるので測り間違いだと思われたのかなあ。それでも余裕があれば「念のため診察」とか「看護士が測り直す」って発想になったんだろうけど、診察側に人員的な余裕がなかったのかな。
(追記:神奈川県から詳細なレポートが出てた(県の宿泊療養施設における入所者の死亡について(第2報))。酸素数値の低下に気づいた看護士が本人に繰り返し電話を入れるも即切られ、ようやく話が聞けたものの本人に呼吸系の自覚症状はなく、その後も経過観察のため何度も電話をいれるが即切りが続いたのか。調子が悪くて電話に出るのもめんどくさかったのか、ヤバい状態にあるっていうのを認めたくなかったのか。こういうのはどうしたらいいんだろうね。)




「息苦しさ」が起こるのは血中に二酸化炭素が溜まりすぎたときで酸素不足とは関係がないということは広く周知されるべきだと思うので、春先のコロナ休業中にまとめた記事を改めて貼っておきます。

そういえば、「二酸化炭素中毒では酸欠時に息苦しさを伴うが、一酸化炭素中毒では息苦しさを感じないまま死に至る」てあたりも調べて追記しとかねば。


新型コロナの場合は肺炎が進行し酸素が恐ろしく低下してるにもかかわらず息切れや息苦しさといった症状が現れない患者が多くいるのが特徴だと春先の時点で既に言われていて、呼吸の自覚症状がないままいきなり急変するからこそパルスオキシメータによる血中酸素濃度の監視とCTによる画像診断が重要だとさんざん騒がれてたはずなんだけどなあ。


そろそろNHKスペシャルは呼吸や息切れ・息苦しさのメカニズムについてきちんと特集した方がいい。