いつか原作に忠実な『貴族探偵』もお願いします

先週の『貴族探偵 #9』(原作は『貴族探偵』に収蔵されてる短編「こうもり」)を観る。

貴族探偵 Blu-ray BOX

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原作からかなり改変されてる上に、途中から展開がかわってくるため、原作既読だとかえって犯人が読めなくなるという内容だった。
貴族探偵 (集英社文庫)

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原作で行われた叙述トリックの華麗なる再現はやはり無理だったけど、真犯人の動機が原作の犯人の動機以上に納得できるものだったのは良かった。原作の叙述トリックは、各話を通して積み上げてきた貴族探偵への思い込みまでも利用して人物錯誤が容易に解けないように二重三重に読者を縛りあげてくるため、トリックが明かされた瞬間、犯人も動機も犯行方法も解説されたのに、「え? ちょっと待って。意味がわからない」と混乱。読み返して「うわっ。【名前】だけでここまでトリックにひっかかるってやばくない?」と己の思い込みの強さに頭抱える内容だったから。


ただね、、、


私が原作で一番好きなのが、各話を通じ同じネタを何度も何度も繰り返すことで生み出される《グルーヴ》と、待って待ってようやくもたらされる《カタルシス》なんですよ。そこがドラマはちょっともの足りない。これから放送される最終章のラストも、原作の場合だと、それまでの積み上げがあったからこそのカタルシスなんだけど、ドラマでは「貴族探偵の正体」と「師匠の死の真相」に主題が移っちゃってるから、そのあたりがあまり描かれずに終わる可能性も(いや描かれてもあんまカタルシスないかも。原作の女探偵は噛ませ犬扱いがハンパないから)。


個人的には深夜でもう1回、原作通りにドラマ化してくれると嬉しいんだけどなあ。できればメイドの田中は『暗黒女子』の芝居をしてるときの飯豊まりえちゃんがいいです(原作のメイド・田中は女探偵よりも若い20代の女性で、その彼女が女探偵が解けない謎を一人でするする解くんだから余計に屈辱的だったりするんですよ)。