俳優・熊倉一雄、死去

声優の熊倉一雄さんが亡くなった。

俳優で演出家の熊倉一雄さん死去


人形劇「ひょっこりひょうたん島」の海賊・トラヒゲの声などを担当し、声優の草分け的な存在として知られた俳優で演出家の熊倉一雄さんが、今月12日、直腸がんのため亡くなりました。88歳でした。(中略)熊倉さんと50年ほどのつきあいがあるというテアトル・エコーの田寺尚和社長は「熊倉さんは数年前から病気だったが、舞台が大好きで、我慢して立ち続けた。声優や役者として大きな功績を残し、亡くなったことは残念だが、彼は満足しているのではないかなと思っています」と話していました。(以下略)

1989年の第1作からずっと名探偵ポワロの声を務めていた熊倉さん。原作の映像化がほぼ終わったということで2013年にポワロシリーズの最終章が英国で制作され、昨年BSプレミアムで放送されたときも熊倉さんがポワロ役を無事務めあげたんだけど、はあ〜、なんていうかさ、間に合って良かった。ほんとに良かった。デビッド・スーシェはまだ60代だからもうちょいポワロ役できるけど、熊倉さんが高齢だしぶっちゃけ声の状態はそんなによくはなかったのよ。もうこれギリギリだなっていうぐらい。でも25年も続けてきた愛着ある作品の最終章だけ別の人がアテレコなんて本人もイヤだったろうし、私もイヤだし、みんなイヤだったと思うんだよね(既にヘイスティングス役の富山敬さんを亡くすという経験をしてただけにね)。間に合ってほんとにほんとに良かった。


熊倉「ポワロの役をやらないかって言われて、もう、天にも昇る気持ちになっちゃいましたよ〜。アタクシがもってたイメージにぴったりな、歩き方もよくも研究なさったなと思うぐらい。ほんとにステキな作品をお作りいただけたと思います。だからこっちもね、なんというか、こりゃ負けちゃいられないぞ!っていう感じで。日本語でやるにはこうじゃないかああじゃないかってディレクターと二人でいろいろ考えたところもありましたし、お互いに議論したりすることがと〜っても楽しかったと。しかもスーシェのポワロの声を担当させていただいて、こんな幸せなことはない。生き甲斐だったなあと。でもほんとに、最期を見送って、ホッとしております。


<ポワロへのメッセージ>
熊倉「大丈夫。しっかり。しっかりね。大丈夫。さようなら、わが友よ・・・」

↑これは今年の4月にCSミステリー専門チャンネルで放送されたときのインタビュー(収録は3月だろうか)。ダメだ、このインタビュー。いま観るとすげえ泣ける。


ドラマが完結するまで現役でいてくれてありがとう。これでほんとのほんとに亡くなっちゃったんだなあ。




『トリック』が終わった時にね、なんで終わるんだ終わらせやがってとか散々悪態ついたけど、役者の高齢化問題を考えると、『トリック』しかり『釣りバカ』しかり出演者が演じられるうちにきちんと幕を閉じる、退場の花道をつくるって大事なことだと思う。


ぶっちゃけやれそうだと思ったらさ、解散したバンドマンみたいに、「一夜限りの復活!」とかなんとか言ってまたしれっと帰ってくればいいんだから。『相棒』はどうするつもりなんだろう。