CX『ボクらの時代』トーク、伊東四朗×角野卓造×佐藤B作

今朝放送した『ボクらの時代』、ゲストは伊東四朗×角野卓造×佐藤B作の3人だったんだけど、トーク後半で「舞台のお客さん」について語っていて、それがなかなか珍しかったんで消去する前にメモしとこうかと思う。

喜劇は観客と共に作られる


伊東「笑いの芝居の中にもいろんなのがあってさ、チェーホフだとかモリエールだとかシェークスピアだとかあるけれども、徹底的に笑うのが好きなんですよ。だから後で「笑いの中にも何かペーソスがあった」だとかね、そうするとあまり褒められた気がしないんだよね。」
角野・B作「(大きく頷く)」
伊東「(俺は)「笑いました」だけで充分っていう人だから。本来この顔からするとあまり想像できないんだけどね。笑いだけを追求してる人はもっと崩れた顔をしているからさ(笑)。出てきただけで可笑しいって人いるじゃない? それとはちょっとやっぱり異質なんですよね。7月にやった伊東四朗生誕?!七十周年記念「社長放浪記」 [DVD]っていうのにしても、僕は三谷幸喜さんとは随分仕事さしてもらってるんだけど、「私とやるときはとにかく“笑い”だけ追求してくれる?」って。「あんまり『今の世の中ちょっと考えさせられたなあ』とか『家族を振り返ってみたらあー』とかってそういうテーマは無くていいから、とにかくわーっと笑って終わる芝居にしてね」っていつも言っちゃってるんですよ。そしたら見事に書いてきてくれたんですね、これが。今回ほど俺ね、お客さんに芝居の方向を見せてもらったこと、俺、初めて!」
角野「ああ、そうですか。」
伊東「笑いの中にね、「明日はこうやった方がいいよ」っていうね、教えてくれてんですよ。そしてホントに正解なんですよ、それが。毎日毎日、なんかこう教えてくれるのね。笑いの中で。おんなじ「わー」っていう笑い…」
B作「笑い声が。」
伊東「笑い声がね。ちょっと笑ってるんだけども「違うよ」っていうね。」
B作「あーはいはい、ありますね!」
伊東「あるでしょ?」
B作「はいはい、あります。お客って頭いいんですよね。」
伊東「お客さんは頭いい!」
角野「頭いいっていうか、、、わかんないと思ってるの?(笑)」
B作「いやいや、そうじゃなくて(苦笑)、なんで俺たち読んでるのにあんなわかんないんだろっていう。」
伊東「それが悔しいんだよ。」
角野「いやだから、ホントそう思うよ。だってね、半分くらいお客さんから教わりますよ。幕が開いてから。だからホン読んで、ここがおかしいな、ここはこうかなって思っても、幕が開いてお客さんの反応で「ああ!ここはこういう風に流れてるんだな」っていうのがね。これはホント絶対そうですよ。」
伊東「だって幕が開いて1分ぐらいで分かるときあるもんね。雰囲気で。それもお金を払って来てくれる人。」
角野・B作「そうそう、そうですね。」
伊東「公開録画のお客さんではダメなのよ。」
角野・B作「うん。そうですね。」
B作「ちゃんと観に来てくれる人。」
伊東「それも「しょうがない。観に行ってやろう」じゃなくて「とりあえず観てみよう」っつって、うちから出てくるのか会社の帰りに来るのか分からないけれど、とにかく来て観てくれるお客さんはすごいっ!」
B作「明るくなったときそんな頭良さそうな顔してないんですけどね。」
伊東「それ言っちゃダメ(笑)。」
B作「失礼ですけど、スゴイなあと思いますね。」
伊東「ほんとにスゴイな。特にね、7月のお客さんはちょこっとした台詞を覚えてるんです。前半で喋ったことを。」
角野「後で効いてくるんですよね、それが。」
伊東「それをちゃんと覚えてるっていうのに、俺、尊敬したね! それがいまテレビで喜劇が出来ない原因だと思うんだ。」
B作・角野「あーーーー…」
伊東「いまテレビを観てて、ずーっと始めから最後まで観る人ってあんまいないでしょ。おそらくこの番組でもちょっとトイレに立ったり台所に行ったりっていうことで、そうすると喜劇って言うのは…」
B作「ネタふりがありますからね。」
伊東「伏線を張るところがあって、そこでいなくなられちゃうと何にもならないってことがあるでしょ。」
角野「あります。」
伊東「でも、昔はね、テレビを観るときみんな家族が集まって、正座して、観音開きのテレビを開いて「さあ、始まるぞ」って観て、最後まで観てたんですよ。でも今はそれがあんまり観ませんからね。だから喜劇はテレビではあんまり出来なくなってるなあっていう気はしますね、コメディタッチはできてもね。だからお客さんも喜劇を観るんだったら劇場へ行こうかなって思ってるのかなって私は思ってるんだけど。」

文字だけではあまり伝わらないけど、「お客さんはスゴイ!」って言うときの力の込め方は半端なかったです。


ちなみに、8月19日に放送された「川島隆太×泰羅雅登×中村克樹」の回が本になったそうです(全157ページ)。川島さんって脳トレの人ですよね。時間の関係でカットされた分も収録されてるようです。

オトナのための脳授業―ボクらの時代

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