「PFFアワード2005」F・Gプロを観た(@渋谷東急)

昨日、午後からPFFアワードに行ってきました。観たのはFプロ「BAMBI BONE」「フアンナイ」、Gプロ「酸欠の海」「コスプレイヤー」「ERIMO」の5作品。もうほんと、行って良かった。すごく幸せ。えりもチャンかわいー!!! ということで、感想を書きたいのだけど、いま、頭の中は「ERIMO」でいっぱいなので、他の作品はサクサクって感じでスイマセン。

  • 「BAMBI BONE」(作品の詳細はこちら

これは何か賞を獲るんじゃないかな。この監督にはいろいろ撮らしてみたくなるもん。“コンビニ袋を頭から被る少年少女”ってビジュアルがそれ単体ですごく完成されていて、正直、意図的な台詞のやりとりは流れがもたつくので省いちゃえ!と思ったぐらい。主人公の心情・感情が台詞の無い映像に乗りまくってる分、クライマックスまで音と映像だけで突っ走ってくれた方が気持ち良かったなあと思った次第。主役の少年少女の表情がとても良くて、特に少年の方! 「すげーイイ。これからもっと誰か使ってくれ」と思ったら、舞台挨拶で本人登場。『4TEEN』の角田紳太朗でビックリした。撮ったのが3年前だそうで、人間というのは3年であんなに大きくなるものなのか。全然気付かなかった。三半規管の弱い人は、全編手持ちカメラなのでご注意を(私はちょっと酔いそうに…。たまに焦点ぼかして耐えた)。町中で遠藤ミチロウが歌うシーンがあるんだけど、映像が歌い手の感情に呼応し、芝居仕立てのいいプロモーションビデオを観てるみたいに揺さぶられるものがあったんで、今年のコンペ審査委員になってる曽我部恵一がこれ観てどう思うのか興味がある。

  • 「フアンナイ」(作品の詳細はこちら

ちょっとわかりにくかった。シーンの変わり目に変な間が開くし、叔母さんとのやりとりで流れる音楽が芝居の邪魔をして聴こえるのでもうちょっと選曲をなんとかという思いもある。でも、個人的にはキライじゃないの。見せ方がBSの単発ドラマっぽいというか*1、台詞のやりとりや間に流れる空気をじっくり見せるように撮ってあったので、これをプロの役者使って撮り直したらどうなるのかなあという興味もあったり。奥さん役の人が普段芝居をやってる人じゃないということで、その辺の拙さがちょっとネックになってた気がするけど、他の3人の雰囲気は作品に合ってたと思う。

  • 「酸欠の海」(作品の詳細はこちら

唯一のフィルム作品。雰囲気は“ソフトなピンク映画”と言った感じで、今日観た中では、物語映画としてトータル的に一番完成されてたと思う。

想像してたものとは違い、台詞のやりとりが南海キャンディーズなコメディだった。笑った。終わり方は意外というか、ちゃんとオチがついてないので、まだ続くのかと思った。

  • 「ERIMO(いーあーるあいえむおー)」(作品の詳細はこちら

人形作家・えりもの作品制作風景を追ったドキュメンタリー。何も無いところからモノが出来上がってゆく様や作ってる過程を見るのが好きなもんで、この日一番のお目当てでした。なんてたって、作ってるモノがそんじょそこらの人形じゃない。“水木しげるの等身大人形”ですよ。しかもライフマスクとってないのに、出来上がった人形は本人ソックリ! それを若い女性が作ってるということで、とても楽しみにしていました。作品は映画も人形も想像以上の出来で、ものすごく良かったし、観終わった後ですごく幸せな気分になった。


当時、若干23歳の人形作家・えりも。水木先生とはおじいちゃんと孫ぐらい年齢差のある彼女が、普通なら造型業者に依頼される仕事を任されたのには理由があった。対象者と実際に会って話して、そこから受けた印象や感触からその人物の最も生き生きとしてる瞬間を人形にするという彼女の制作スタイルに、制作を依頼した担当者が共感したかららしい。この等身大人形は現在岐阜で開催中(東京は既に終了)の「大(Oh!)水木しげる展」の入り口に飾られるものであり、そこで販売される公式フィギュアの造型も彼女が担当している。
とにかく、このえりもちゃんがとっても魅力的な子で、観た人みんなやられちゃうと思う。ほんとに純粋に人形作りが好きで好きで、その想いと幸せな気分が終始画面から溢れ出ており、完全にあてられてしまいました。作ってる最中はモデルになってるその人のことばかり考えちゃうそうで、自分の顔も忘れてしまうぐらいに頭の中がその人でいっぱいになるんだとか。出来上がった人形の素敵な笑顔を見てると、もし対象者が嫌いな相手だったらものすごく醜悪な人形が出来上がりそうとか思ってしまった。
もちろん制作風景も丹念に撮られていて、人物に重きを置きすぎて物足りない!なんてことも全然なく、骨格作りから肉付け、色づけ、眼球作りに植毛(!)まで堪能。こちらも非常に面白かった。
なんつーかねえ、水木先生ってば、愛されてる。元々この「大水木しげる展」は、先生を師と仰ぐ荒俣宏京極夏彦プロデュースなわけですよ*2。今回制作することになった等身大水木しげる人形は、展示会場の入り口で水木先生になりかわりお客さんを出迎える役目を背負っている。その人形がただの精巧な銅像であってはいけない、水木先生の魅力が伝わる人形じゃなきゃダメなんだってことで、彼女に依頼が回ってきたわけで。出来上がった作品を見せたときの依頼者の嬉しそうな顔。首を持って水木プロを訪ねれば、みんなが「似てる似てるー」てはしゃぎ写真大会になるし。作り手にしたら全ての苦労が報われる至福の時だねえなんて思ったら、しみじみ泣けてきた。


上映後の舞台挨拶ではえりもちゃんも登場。映画の中で、監督にだけタメ口きいてたんで不思議に思ってたら、二人は同級生。10代の頃からの知り合いだったことが判明。観客賞あげたいけど無理かなあ(夜9時過ぎの上映だったのでお客さん一番少なかったし)。でも明らかに拍手の量も質も他と一線を隔してました。


ちなみにえりもちゃんの公式サイトにて制作過程の一部が掲載中。
人形作家えりも公式ホームページ




Fプロ、Gプロの上映はもう1回あります。興味をもたれた方は是非足を運んでみてください。

第27回ぴあフィルムフェスティバル公式サイト(場所:渋谷東急(クロスタワー2F)
7月13日(水)13:45 Fプロ「BAMBI BONE」「フアンナイ」
7月14日(木)10:30 Gプロ「酸欠の海」「コスプレイヤー」「ERIMO」

*1:高橋陽一郎っぽいというか・・・

*2:荒俣宏鯛焼き大食いエピソードについて語る水木先生がとっても面白かった。ほんと仲いいねえ。