ライズX初体験。噂には聞いてたけど、これはすごい映画館ですね。誰が許したんでしょうか。コンタクトなんで、1階席しかあいてなかったら帰っちゃうかも!
というわけで先月、渋谷ライズXで行なわれたイベント「テレビマンユニオン レトロスペクティブpart1 スゴバン/すごい番組がありました」(公式サイト)にて、1980年にフジテレビで放送され、ゴールデンタイムにもかかわらずわずか2%しか視聴率が取れずにたった2ヶ月で打ち切りになった幻のTVドラマ『ピーマン白書』を観てきました。
このドラマは全部で9話制作され、土曜夜8時の1時間枠で放送されたそうです。期間は1980/10/04から1980/11/22までの計6回(え?数が合わないって? それはまた後ほど…)。今回上映されたのは第一話と最終回の2本。脚本はどちらも佐々木守が担当し*1、出演は、坂井裕一(担任・夏目先生)、中条静夫(校長)、岸田森(教頭)、今井健二(生活指導)、ハナ肇(PTA会長?)、梅津栄(生徒の親)、柿崎澄子(生徒)、比企理恵(生徒)、富永みーな(生徒)、生田智子(生徒)、樋口可南子(マドンナ)、ふとがね金太(ラジオDJ)など。吉田日出子がナレーションと謎の生物“X”*2の声を担当。第1話に“ベンジャミン伊東”こと伊東四郎もゲスト出演してました。生徒役に高橋克典の名もあったけど、あの高橋克典なのかどうかは不明(追記:本人だそうです)。
お話はこんな感じです。せっかくなのでちょいと詳しく。
- 第一話「大脱走! みんなで逃げればこわくない」
「小学校からやり直せ!」。杉並八中3年3組の落ちこぼれ軍団に日頃から手を焼いていた校長は、ある日堪忍袋の緒が切れて思わず彼らに口走る。しかし、これを真に受けた生徒らが出身小学校に押し掛けはじめたからさあ大変。小学校からの苦情で事態を知った校長は、騒動が公になることを恐れて教頭(岸田森)らを先回りさせた。行く手を阻まれ途方に暮れる生徒達だが、「日本のどこかに自分たちを受け入れてくれる小学校があるかもしれない」と町を飛び出す決意をする。夜の教室。集まったのは3組の落ちこぼれ軍団25名(柿崎澄子、富永みーな等)。何故か優等生のキョーコ(比企理恵)もいた。そこへ突如現れた謎の生物。彼は黒板に書かれた方程式の「X」を指差し、自らを“X(エックス)”と名乗った。
25人と1匹は、トラックの荷台に潜り込み一路西へ向かう。生徒の一人が「いつも聴いてる番組があるんだ」と言ってラジオをつけた。すると、ふとがね金太(本人)がDJを務めるその番組に、家出に参加しなかったクラスメイトが電話をかけてきていた。「友達が家出したの。きっとこの番組を聞いてるはず。帰ってきてと呼びかけて」。こうして彼らの家出は全国に知れ渡り、DJ金太は引き続きこの件を追いかけると宣言。翌日、真偽を確かめるべく番組ディレクターが杉並八中を訪ねてきた。公にされてはたまらんと、他クラスの生徒を3組に移動するなどしてカモフラージュを試みる教頭。家出した生徒の父母(梅津栄ら)も学校に押し掛け、「受験も控えてるのに勉強が遅れるじゃないか。補習は受けさせてくれるんだろうね」と責め立てる。「彼らだけ特別扱いすることはできない」と言う校長。しかし、彼らが戻るまで親御さん達が代わりに学校で授業を受け、戻ってきた彼らに教えたらどうだろうという案を提示し、なんとかその場をおさめてもらった。
一方、他県の小学校に辿り着いた落ちこぼれ軍団は、そこの教師(伊東四郎ら)に「ぼくたちに授業をしてください」とたのみこんでいた。困り果てた小学校側は杉並八中に連絡。しかし、校長から「うちの生徒ならこちらにいますよ」と言われてしまう。「まるで幽霊じゃないか…」。校長の言葉にショックを受けた生徒らは、連れ戻しにきた3組担任の若手教師・夏目(坂井裕一)に「小学校の授業を受けるまでは帰らない」と宣言。彼らの固い意思にふれ、夏目は旅への同行を決意する。
- 最終回「仰げば尊し 我が師の恩」
全国を放浪し続ける夏目先生と落ちこぼれ軍団たち。ラジオでも反響を呼び、全国の中学生が彼らを応援した。次に彼らがどこを訪れるのか、受け入れる側の市町村は戦々恐々としながら動向を見守っている。杉並八中の校長は相も変わらず「うちの生徒は皆ちゃんと登校している」と事実を隠蔽。確かに3組の生徒は全員登校している。でもそれは、子供達になりすまして授業を受ける父母達であって、本当の生徒ではない。落ちこぼれ軍団の居場所がわかるたび、姿がバレないようにと周囲の目を警戒し、毎回あらゆる変装をほどこし現地に赴く教頭。生徒達に戻ってこいと説得を試みるも、いっこうに埒あかず。「これ以上は無理か…」。そう思った教頭は、奥の手として、夏目先生が恋するマドンナ(樋口可南子)に「彼と結婚してくれないか」と頼み込む。申し出を了承したマドンナは、夏目先生の元へプロボーズに向かう。苦渋の選択を迫られた夏目だったが、最終的にこれを拒否。恋は儚くも散っていった。
打つ手が無くなり途方に暮れる教頭のもとを、同じ学年の優等生たち(生田智子ら)が訪れた。優等生軍団はこう言った。「彼らのせいで杉並八中の評判はがた落ちです。学校には毎日学生服を来たおじさんおばさんたちが登校してきて気味が悪いし、このままじゃ受験に差し障る。僕たちが彼らを説得しに行きます」と。喜んだ教頭は、優等生軍団を連れ最後の説得にあたる。友達の口から直接学校の現状を聞かされ、自分たちの行いを反省する落ちこぼれ軍団。「友達に迷惑かけてまで続ける意味があるのだろうか…」。悩んだ末、全員一致で帰宅を決意。
「友達のメンツを保つため、いったん帰る」。その連絡に皆が喜び安堵する中、戸惑ったのはDJと番組ディレクター。いまやたくさんのリスナーが、彼らの旅を楽しみにしているのだ。こんなとこで完結させるわけにはいかない。「これまでだって世間から幽霊扱いされてきた彼らだ。このまま番組内だけでも放浪を続けさせることにしよう」。一方、彼らの帰宅を心待ちにしていたはずの教頭も、これでもう日本中をあちこちと出かけることもなくなるのかと思ったら、寂しさがこみ上げてきた。教頭だけじゃない。子供達の代わりに登校しては、仕事や家事を忘れ、学生気分に戻って青春を謳歌してた父母も同じだった。なんだかんだ言って、皆、この状況を楽しんでいたのだ。
数ヶ月ぶりに杉並八中に戻ってきた落ちこぼれ軍団たち。懐かしの校舎を前に満足げな表情を浮かべていた。長い旅、楽しい旅も、ひとまずこれでおしまい。「あれ? Xがいない!」 キョーコが叫ぶ。皆で周囲を探すが、Xが彼らの前に姿を見せることは二度となかった。落ちこぼれ軍団の旅についてきた謎の生物X。いったい彼は何者だったのだろう。。。
エンドロール。塾で必死に勉強する小学生のドキュメンタリー映像。月明かりに照らされた無人の教室内にはいつしか雪が降り始め、だんだんとだんだんと雪で覆われてゆく。そんな暗喩めいた映像を最後に、ドラマ『ピーマン白書』は幕を閉じる。
「カルト」以外に誉めようのない、勢いだけで作った岸田森頼みのドラマ…かと思いきや、幻のカルト作品にしたい人には申し訳ないぐらい、作品の出来は悪くない。子供向けのコメディに社会風刺を盛り込むなど、やろうとしてることは意欲的。視聴率が2%だった理由は、私見だと単なる《枠違い》。当時の「土曜夜8時」という枠に、この作品の雰囲気(および対象とする視聴者層)が致命的に合わなかったことに尽きるんじゃないかと思う。「ピーマン白書」に登場する人物は皆どこかしら子供っぽく、“ゴン太くん”によく似た着ぐるみの生き物を出すなど、ドラマの雰囲気は小中学生向きで、どちらかというと夜8時台というよりは、「ナッキーはつむじ風」「レッドビッキーズ」「コメットさん」「あばれはっちゃく」といった当時夜7時半台にやってたドラマ近いものがある。'80年頃の夜8時台といえば、「トミーとマツ」「太陽にほえろ」「金八先生」「西遊記」などが放送されていた頃であり、そんな時代にこの作風で8時台に乗り込むのはかなりの冒険だったかなと。しかも当時の土曜夜8時といえば「8時だよ!全員集合」の全盛期。あちらに流れる小中学生層を取り込むつもりで作ったのならば、当初の予定通り、夜7時半からの90分枠は死守して欲しかったなと思う。
上映後に行なわれたトークショーやネットで得た情報を総合すると、「ピーマン白書」の辿った経緯はかなり悲惨だった模様。本作は当初、90分枠全26回(2クール)で放送される予定だった。しかし開始時には60分13回(1クール)に縮小され、始まってみると視聴率はたったの2%。1ヶ月ちょっとで打ち切りが決まり、第5話の翌週には最終回を迎えていた。ドラマ自体は全9話制作されたが、打ち切り決定により第6〜8話の放送は見送りに。再放送時にようやくオンエアされたが、深夜だったのでどれだけの人が見られたのかは不明。ちなみにこれが最終回放送時のラテ欄。ああ、「暴れん坊将軍」も裏番組だったのか。
allcinema onlineに全部のタイトルが載ってるのだけど、タイトル見た限りじゃどれも面白そうなんだよなあ。特に「SOS! 白骨樹林の大遭難」なんてそそられる。老人しかいない村の話や、岸田森が無駄に女装してる回なんてのもあるそうで、お蔵入りなんて言わずになんとか全話お披露目して欲しいもんです。
ちなみに『ピーマン白書』終了の半年後にフジテレビで始まった新番組こそ、後に「8時だよ!全員集合」を終了においやった「おれたちひょうきん族」だとか。そんな時代の変わり目に生まれ不遇のうちに幕を閉じた『ピーマン白書』だけど、自分がもし当時10代にさしかかる年齢だったら、「8時だよ!全員集合」ではなくこっちを選んだと思う(なんてたって、テレ朝の幻の低視聴率ドラマ『プリズンホテル』を毎週楽しみに見てたような人種ですから)。「せめてもう少し早い時間帯に放送してたら」とか「せめてビデオの普及がもう少し早ければ」とかいろいろ思うことはあるけれど、『プリズンホテル』(こちらも土曜の8時放送)も堤作品なのにいまだソフト化されないことを考えると、結局は、土曜8時に凝ったコメディドラマを放送するのはタブーだという結論に落ち着く以外ないのかもしれない。放送局さん、制作スタッフの皆さん、結果はこんなだったけど、あまり意固地にならないで。やった枠が悪かったのよ、枠が。
「スゴバン」というイベントは第2弾、第3弾と続くそうで、テレビマンユニオンさん、次回もまた楽しみにしています! イーストとか共テレもやってよー。
-追記(2011/11/3付)-
第1話以外録画してたという猛者がついに現れました!(多謝)
ベータテープからおこすというのでなかなか大変そうですが、暇を見て徐々にUPしてくれるということなので、定期的に↓こちらを訪ねてみてください。
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