中継がWOWOWに移って以来、すっかり興味が減退した米国アカデミー賞。それでも、一昨年の『頭山』や昨年の渡辺謙、『たそがれ清兵衛』のように日本勢がノミネートされていたり、自分の好きな作品が賞レースに絡めば、なんだかんだ言って気になるもんです。ところが今年のアカデミー賞は興味をそそられる要素がほとんどなく、ここ十数年来で初めてTV中継を見なかったし、結果だけチェックして、「ヒラリー・スワンクがまた主演女優賞獲ったのか。スゲーな。『ミリオンダラー・ベイビー』、、、覚えておこう」と思った程度で終わってしまいました。
先日「見たい映画をつなぐタスキ」というのを頂いたときに、今年のアカデミー賞で主演男優賞、助演女優賞の2部門にノミネートされながら、現時点で日本公開が見送られている“ある映画”の存在を知りました。
それが↓こちらの記事。
「ホテル・ルワンダ」の日本公開について(ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記)
最近あまり熱心に読みに行ってなかったので知らなかったんですけども、町山さんも大プッシュの映画「ホテル・ルワンダ」の日本公開予定が全く立たないとかで、この映画でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたドン・チードルのファンの方が町山さんに相談してきたそうです。町山さんによれば、公開が見送られた理由は、試写で劇場関係者の食いつきが悪かったせいだとか…。公開を待ち望むファンからすれば、なんとも切ない理由です。
「ホテル・ルワンダ」、、、一時期名前はよく聞いたけど内容は全く知らず(ルワンダってあのルワンダでしたか)。主演のドン・チードルもよく知らない役者さんなので、日本で公開されないと言われても「ファンの子らも大変だねえ」ぐらいにしか思わなかったのですけども、何やらコメント欄の皆さんが熱いので、ちょいと調べてみることにしました。
『ホテル・ルワンダ HOTEL RWANDA』公式サイト(英語)
スチール見る限り、感動系っぽいです。賞をいっぱい獲っています。トップでかかってる音楽はいいですね(ちょっと鳥肌立ちました)。予告観たけど、普通に感動系って感じに見えますが。あ、ニック・ノルティだ! ホアキン・フェニックスも出てる。
英語訳すのめんどいので、日本語であらすじ書いてないかと探してみたらありました。
「ホテル・ルワンダ」@映画の森てんこ森
どうやら1994年に起こったルワンダ大虐殺で実際にあった話を映画化したようです。とあるホテルの副支配人が、虐殺されそうになった人たちをたくさん救ったという話だそうで、『シンドラーのリスト』みたいな感じでしょうか。でもまだ、何がそこまで皆を熱くさせるのかがわかりません。
というわけで、更に調べてみました。すると、アメリカで観たという人(町山さんも含む)から「確かになるほど。これは観たいかも」な紹介文がぞろぞろと出てきた次第。一部抜粋してみます。
- 生きる目的を失い希死念慮(死にたいという願望)にとりつかれた患者さんと、そんな「生きる目的」について話すことがある。しかし、「人生って素晴らしいですよ」といくら力説しても、全く通じない。しかしこんど、「生きていてもしょうがないと思います」という患者さんがいたら、「ホテル・ルワンダを見なさい」と言うかもしれない。
- 殺されるのに理由などいらない。とにかく、つぎつぎと捕まえられて殺されていく。しかし、主人公のポールは、自分や家族の命も危険だというのに、ツチ族、フツ族に限らず、多くの難民と避難者を自分のホテルへとかくまう。その行動が、素晴らしい。
- 映画が終わって、クレジットへと画面が暗転する。その瞬間、どっと涙があふれ出た。途中に感動的なシーンもあるのだが、ほとんど涙など出なかった。あまりの緊迫感で、泣いている暇などなかったから。映画が終わり、ああ「生きていたよかった」と、心から思う。
- 『ホテル・ルワンダ』は現実版『ドーン・オブ・ザ・デッド』だ。
- 高級な服を着た客が高級な酒と高級な葉巻を楽しむ高級ホテルで働く主人公は、いつものように仕事を終えて自宅に帰る。しかし、おかしなことにカーラジオからは呪いのような不気味な歌以外に何も聴こえてこない。家に着くと真っ暗で誰もいない。遠くから銃声が聴こえる。ここから映画が終わるまで銃声は一度も止むことはない。その日、ルワンダ大統領が何者かに暗殺され、これをツチ族の仕業と考えた多数派のフツ族はツチ族皆殺しを始めた。これが犠牲者百万人と言われるルワンダ大虐殺の始まりだ。
- ポールのホテルが『ゾンビ』のショッピングモールとなるのだ。ホテルは駆け込み寺となり、1200人もが逃げ込んでくる。ある朝目覚めると昨日までの隣人が殺人鬼と化して襲って来るという恐怖はゾンビと同じだが、ゾンビよりも凶悪なことに、フツ族はAK47やRPGやマチェットで武装している。撃ちあっても勝ち目はない。
- 人間の残酷なところや正気の沙汰でないところはあまり見たくない私には結構厳しい映画となった。
- ラジオに惑わされる正気でない人間と、世界で行われている悲劇を知ろうともしない一般人がうまく浮き彫りにされていたのが印象的だ。
- あとから考えさせるという意味では、この映画は最近のどの映画よりも考えさせられた。
「らば‘録’」より
- この映画はドン・チードル、ホアキン・フェニックス、ニック・ノルティらハリウッドスターを擁してはいるが、製作国はイギリス、イタリア、そして南アフリカである。
- もちろんこれはハリウッド資本であれば間違いなくサミュエル・L・ジャクソンかデンゼル・ワシントンの役なのだが、そうではなくて地味なバイプレイヤーとして定評のあるドン・チードルだからこそ、限りなく無力であり、目の前で殺されて行く人々に対して何の手立ても持たないごく普通の脅えた魂であることが強調される。
- このところ嫌な役の多かったニック・ノルティが、久しぶりにイイ男ぶりを発揮しています。出演作品を目にするたびに言っていますが、ホアキン・フェニックスは本当に良い役者になりました。ヨーロッパ人だから、という理由だけで担ぎ出されたジャン・レノも、久しぶりに浮きまくらず持ち味を生かして勝負しています。
「見たい映画をつなぐタスキ」の発生元でもある椣平夢若食い散らかし日記さんによると、アメリカでは当初7館で公開され、その後に最大824館まで拡大公開されたとか。しかし、7館って…。アメリカでも劇場関係者の食いつきは悪かったようで。
ちなみに、本作を製作したのはライオンズゲイトという会社。ライオンズゲイト、、、どっかで聞いたことあるぞ、その名前。つーか、前に一度書いたことあるなあと思って自分の日記を検索したら、、、
ありました!
一瀬プロデューサーによると、世界配給を担当するのはアメリカの配給会社ライオンズ・ゲートとのこと。これって、『華氏911』の配給をミラマックスに代わって引き受けたライオンズ・ゲート・フィルム(http://www.lionsgatefilms.com/ )のことか?(追記:どうやらそうらしい)
なるほど。面白い会社です。あ、サイトみたら何げに「SAW 2」の製作が進行してる・・・
というわけで、『ホテル・ルワンダ』とJホラーシアターの些細な関係でした。
−追記−
さっそく、公開を求めるサイトが出来上がったようです。仕事が早い!
『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会