断絶する記憶と恐怖(認知症、7秒しか記憶がもたない男)

NHKでやってた『君が僕の息子について教えてくれたこと』がとてもよかった。「クラウド・アトラス」の原作者って8年間日本で英語教師やってて奥さんも日本人だったのか。それで日本語で書かれたエッセイを見つけて翻訳することが可能だったんだね。

The Reason I Jump: one boy's voice from the silence of autism

The Reason I Jump: one boy's voice from the silence of autism

身体的なアウトプットに関する障がいは技術が進めばいずれ代用する機器が生み出されそれほど障がいではなくなってくるような気がするんだけど、記憶が一列に連なっていない、点在する情報をかき集めなければいけないっていうのはなかなか苦しい。今回の青年はたまたま文字に強い興味を示すタイプの自閉症だったから、文字を手がかりに言葉をつないで自分の考えや思いを外へとアウトプットすることが可能だったわけだけど、それはとても幸運だったと思う。話変わるけど、NHKさんは「夫には7秒の記憶しかない〜イギリス・元指揮者と妻の20年」を再放送してくれないかなあ。認知症のドキュメンタリー見てると、彼らが攻撃的になるのは、記憶がたびたび途切れてしまうために、見知った人・場所が認識できず、知らない場所で見知らぬ人たちに取り囲まれ接触されることへの恐怖心で一時的にパニックになってるというのがよくわかるんだけど、「7秒の記憶しかない」に出てくる男性は7秒しか記憶がもたないのに、記憶が無いことに対する恐怖はあっても、見知らぬ人に対する恐怖心や攻撃性はなかったんだよね。常時見知らぬ人に囲まれてるより、ある瞬間突然見知らぬ人に囲まれることの方が恐怖ってことなんだろうなあ。