ABC『安楽椅子探偵 忘却の岬』の犯人をむりくり考えてみた

関西では今晩深夜に「解決編」が放送されるそうなのでその前に一応書いておきます。ただし、誰を犯人にしても全然スッキリしないので後半かなり投げやり(苦笑)。だって、わかんねえもーん!(怒)


ABC「安楽椅子探偵と忘却の岬」公式サイト


視聴者が考えねばならないのは「真犯人の氏名」と「推理のプロセス(400字程度)」。番組から与えられた犯人捜しの《基本ルール》は以下の通り。

  • 表示された時刻は全て日本標準時
  • 登場人物の氏名の表記に嘘はない。
  • 犯人は単独犯。共犯者は存在しない。立石殺害を行った人物と卓也の部屋に花やメッセージを残した人物は同一。
  • 動機の強弱は決め手にならない

「動機の強弱は決め手にならない」と言ってるだけあって、犯行の動機については出題編だけだとよくわからなかった。故に犯人捜しはかなり難航し、ぶっちゃけ難破した(爆)。やっぱ動機は大切ですよ! 動機を考えるのが一番楽しいのに。ねえ。・・・などと愚痴っててもはじまらないので、とりあえずシンプルに考えてみた。


* * *


まずは(私が考える)事件のあらまし。
↓↓↓↓↓↓ネタバレ↓↓↓↓↓↓


1992年6月26日、潮田卓也(津田寛治)の父親が何者かの手によって殺害される。血のついたレンガを握り現場に立ちつくしてた卓也はその場から逃亡したために、父親殺しの重要参考人として指名手配される。時が経ち、時効間近の2007年6月13日早朝、何らかの理由で15年ぶりに故郷を訪れる卓也。到着早々、沢に転落し、通りがかった佐多医師に助けられるが、記憶喪失となり、村のリーダーである宗谷正太郎(伊武雅刀)宅にやっかいになることに。何らかの理由で、時効が成立する前に15年前の事件の記憶を卓也に取り戻させたかった犯人は、卓也の部屋にメッセージを残す。幼なじみである佐多真紀(前田愛)の働きかけもあって、ようやく事件の記憶を思い出す卓也だが、あまりのおぞましい事実に再びその記憶を封印してしまう。そして時効まで残すところあと3日となった6月23日、運悪くカメラマンの立石が卓也のことに気づき警察に知らせようとしたため、犯人は彼を殺害。殺害時刻におけるアリバイがなく窮地に立たされた卓也は、オカリナを吹いて救世主の出現を待つ。


動機の面から考えると、「どんなにつらい記憶でも思い出してきちんと向き合うべきだ」と主張していた真紀が一番怪しい。彼女には卓也に記憶を取り戻して欲しい理由がある。しかし、今回動機は無視しなければならないので、とりあえず犯行の可能性についてのみ考えてみることにした。


真紀の場合、忘却の座で殺害することは時間的にほぼ不可能。かといって別の場所で殺害した死体を段差の多いあの座までかついで運ぶことも体力的に不可能。同じことは宗谷泰江、日向亜紗子(宗谷家の家政婦)、伊良湖エリ(室戸の姪)の女性3人にもあてはまるため、車いす生活を送ってる宗谷正太郎も含め、犯人から除外。


残るは、佐多医師、室戸孝(陶芸家)、都井研作(宗谷家の運転手)、宗谷正彦の男性4人。まず始めに、この4人のうち誰だったら卓也の部屋に「思い出せ」のメモや15年前の事件の新聞記事を置くことが可能かを考えてみる。


宗谷家に住んでる都井は、家人の動向を把握しやすく誰にも気づかれずにメモや新聞記事を置くことができる。佐多医師は「思い出せ」のメモを残すことは可能だが、新聞記事が置かれたと思われる時間帯は居間で卓也を取り調べてたので無理。室戸も「思い出せ」のメッセージが置かれたと思われる時間帯は自宅でエリや立石と一緒にいたので無理。大納町に住んでる正彦は、近くまで車で行き徒歩でこっそり自宅に侵入すれば「思い出せ」のメッセージは残せるが、新聞記事については大納町と海馬地区をつなぐ一本道が土砂崩れで封鎖された後に置かれたので、海馬地区に入るための別ルートでも存在しない限り宗谷家に来ることは無理。「メッセージを残した人物と立石を殺した人物は同一犯」というヒントに従えば、メッセージが残せて、殺害時刻の6時から7時までの間、第三者に一度も目撃されてない運転手の都井が犯人ということになる。


都井が犯人だと仮定すると、次のような犯行手順が考えられる。


忘却の岬へ続く道で卓也とすれ違った立石は、彼が時効間近の指名手配犯だということに気づき、デジカメで顔写真をおさえ、すぐに110番するが、ケータイは依然として圏外のままで警察につながらない。仕方なくイチバン近い民家である宗谷宅を訪れ、応対に出た都井に写真を見せ指名手配犯らしき人物がいたので警察に連絡したいと伝える。突然の邪魔者に焦った都井は、人目につかないように立石をひとまず裏手へと案内し、外出用の車椅子の傍に置いてあったレンガで殴り殺害。一撃即死で倒れた立石の遺体を車椅子に乗せ、着信音がけたたましく鳴るケータイの電源を切り、血が周囲に付着しないようフードを被せ、凶器に使ったレンガと共に裏の倉庫の奥の物入れにひとまず隠す。そして家人が夕食を済ませ、真紀が家路につくのを確認し、家政婦が洗い物に勤しんでる隙に、再び倉庫から死体を搬出し車いすに乗せ岬へと運んでいった。


うーん、自分で書いててあれだが、なんか無理があるよね。だって大量出血なんでしょ? ま、いいや(投げやり)。


 * *


実は引っ掛かることがひとつあるので別の説も考えてみる。「都井」ではなく「正彦」犯人説。


本作では2007年と2008年を意図的に誤読させるような演出が施されている。仮に現在が2008年であるなら、大納町と海馬地区は既にトンネルでつながれてることになり、地図に載ってた一本道以外にも両者を行き来するルートは確保されてることになる。となると、「道が封鎖されてる」という理由でアリバイが確保されてた正彦にも殺害や新聞記事を置く機会が存在することになる。正彦と立石はエリを挟んで三角関係にあり「別れろ」「別れない」と言い合ってるうちに殺害に至ったという可能性も浮上する。ただしこの場合に問題なのは、例え正彦に犯行の機会があったとしても、依然として都井にも犯行の機会が残されているということ。故にトンネルが開通してるからといって、即「正彦が犯人」とは決められない。


というわけで明日はスッキリする解答をよろしくお願いします>スタッフ様。個人的には真紀ちゃんが犯人だと嬉しい。


ちなみに真紀は東京で看護士をしてた頃、逃亡生活を送っていた卓也と付き合ってたんじゃないかと思う。理由は、真紀が卓也に対しただの幼なじみ以上の感情を持って接していることや、真紀のケータイの待ち受けが「赤ん坊の写真」っぽいところとかね。あと、フラッシュバックにしか登場しない(?)資産家の伯父さんの役割も気になるところ。わざわざ「資産家」と言ってるぐらいだからこの設定は何かに使われるはず。それから、卓也の父親を殺害したのはいったい誰なのか。一度思い出した記憶を再び封印するぐらいだから、通常なら卓也が犯人でFA。でもそれだと、メッセージを残した犯人が卓也に過去の事件を思い出してもらいたがってる理由がよくわからなくなる。真犯人は他にいて時効前に卓也に告発させるのが目的とみるのが流れとしては自然だから。


あー、早く動機を知ってスッキリしたい!!!