『崖の上のポニョ』を観た(@シネコン)

観終わってから幾度となく考えるのは、「本作を長編ではなく中編として世に出すことはできなかったのか」ということ。それは物語の中盤に訪れる「人間の姿になったポニョが波の上を駈けながらソースケに会いに来る」というCMでもお馴染みのシーンが本作一番の見せ場であり、アニメーター宮崎駿がもっとも描きたかったシーンもそこだと思えたから。それ以降の話は、お行儀良くこじんまりとまとまりすぎて、ただただ時間稼ぎのために無理矢理話を引き延ばしるようにしか見えなかった。中編だったら、あのシーンをクライマックスにして終えることだってできただろうにと思うと、それができなくて残念。長編にするにしても、なんであんなゆったりした展開にしたのか疑問で、どうせ破綻するなら、腹ぺこポニョがハムを求めて街中の肉売り場を襲撃して回る話でも良かったのにね。「ポニョ大暴走ー!」「街中大騒ぎー!」「ポニョ、ソースケ、スキー!!!」で最後まで突っ走るのは体力的に無理だったんだろうか。『パンダコパンダ』の頃の宮崎さんならそれぐらいの脚本、朝飯前で書けたのに。


余談になるけど、『パンダコパンダ』は、目が点になるぐらい凄かったんですよ(「雨ふりサーカス」じゃなくてサブタイの無い「パンダコパンダ」の方ね)。テレビアニメ3本分を33分に凝縮したような話で、ビックリするような台詞をサラッと言ったり、あまりにナンセンスで強引な展開の数々に「“この話はおかしい”と思う私の頭の方こそ“おかしい”のか?」と不安になるぐらい有無を言わせぬ作品に仕上がってます。未見の方はこの機会に是非。

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高畑さんはもう新作撮る気ないのかな。もし「短編だったらまだまだやる気はあるよ」っていうなら、なんとか今回引きずり出して『ポニョ』と20分、50分の二本立て興行にして欲しかった。そうすれば『ポニョ』もハイテンション維持したまま最後まで突っ走れたのに。


なんにせよ、宮崎さんの表現意欲はまだまだ涸れてないことがわかったのは大収穫。体力的にはだいぶ衰えてるので中編でもいいような環境作りをするべく、鈴木Pは頑張って!(できれば高畑さんのケツもちょっとばかし叩いてみて!)



ちなみに、敬愛する楳図かずお先生が日頃から「宮崎さんに作品をアニメ化してほしい」と言っており、「いくらなんでもそれは無謀」と苦笑いしながら聞き流してましたが、ポニョ観て気が変わりました。楳図先生の想い、全面的に支持させてもらいます! と言っても、『まことちゃん』限定ね。まことちゃんだったら、宮崎さんに一度動かしてもらいたいと、海の上を駈けるポニョ観て強く強く想いました。