祝!日本民間放送連盟賞特別表彰部門受賞

松江監督の日記(id:matsue:20060922)に嬉しいお知らせがあがってました。今年3月に放送された『森達也ドキュメンタリーは嘘をつく』が、番組はもちろん公式サイトや村上&松江両監督ブログをもひっくるめた形で、日本民間放送連盟賞特別表彰部門「放送と公共性」優秀賞を受賞したそうです!(おー、スゲー!)


講評はこちら↓

優 秀 <テレビ東京>メディアリテラシー


実施責任者 替山茂樹


メディアリテラシーといえば子どもに対する活動、との先入観を捨て、「わかっているつもりなのに、ついついメディアからの情報の吟味を怠ってしまう」大人に向けた、斬新な企画。事績と連動した番組では、様々な手法を駆使して「送り手自身が原点に帰って放送の公共性を考え直す」ことに重点を置いており、さらに公式番組サイトや制作スタッフのブログなども用いて、インターネットのメディアリテラシー企画にも挑戦している点が高く評価された。
 “実は、大人にこそメディアリテラシーの向上が求められているのではないか”との問いかけがストレートに伝わってくる、優れた取り組みである。

審査員は制作スタッフブログまで読んでるのか。凄いなあ。侮れんなあ。


活字と映像、どちらがより本当っぽく見えるかっていうと圧倒的に「活字」だということが分かったのがこの企画でイチバン面白かったところかな。活字の場合、特にブログなんかだと、面白おかしくデフォルメされて書かれてるイメージがあるので、どんなに森さんが社会人としてひどい行いをしていてもウソっぽくは見えない(しかも書いてるのは身内だし)。プロデューサー日記については、テレビ局の公式サイトらしからぬくだけっぷりに一瞬ビックリしたけど、番組を制作してる局がこんなことこんなことが日常茶飯事に行われる《テレビ東京》というのがミソだった。あの局の社員なら「どーせ誰も見てないだろ?」と開き直ってあのぐらいのことはやりかねない(というイメージがある)。まあ、タイトルがタイトルなだけにフェイクの可能性もあるだろうなとは思ったけど、実際に観るまでは基本的に信じておりました。

ところが映像の威力はすごいもんで、始まって数分の村上監督が森さんからカメラを奪い取るあたりで「あれ? やはりこれまでのは全て仕込みだったのか?」とピンときたり。しかも、「こんなもの放送されるわけがない」という心的ブレーキがかかるのか、森さんがひどければひどいほどウソっぽく見えてしまう。吉田サンのシーンもそう。あり得ない失態を見せるほどウソっぽく見える(でも吉田サンは吉田サンだと思ってました。「吉田、テレビ局来るの初めてか?」「初めてです」があまりに自然だったので)。


不自然さがフェイクかどうかを見分ける境なのか?と問われると一概には言えなかったり。何故なら森さんの『A』があるから。あの作品のラストには、公安だか警察だかが信者の前でわざと転けて公務執行妨害で逮捕するというコントみたいなわざとらしい展開のシーンが収められているわけだけど、それが森さんの仕込みに見えるかっていうとそんなことはないわけで、撮る者と撮られる者の関係性や、撮られる者がその作品においてどういう位置づけにあるのかなども関係してくるんだろうなあ。


とにもかくにも、制作に関わった皆さん、おめでとうございます!
関連:『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』公式サイト



また、この他にテレビドラマ番組部門優秀賞を『女王の教室』が受賞しております。え? まだ選考対象なの? 


(※ドキュ嘘を観たい!という方は、テレ東さんが受賞記念で再放送してくれるのを待つか、もしくは*1。)


*1:ネットで大人気のアソコに行くとゴニョゴニョゴニョ・・・でございます。