次の時代を担うのは…

漫画家・楳図かずおは、ドラマ版『漂流教室』の制作にGOサインを出した真意をこう語っていた。「ドラマは、いまの子供たちが原作を読むきっかけになってくれればそれでいい。そのうちの誰かが、いつの日か完全な形で『漂流教室』を実写化してくれるだろう」。


未来に向けて種を撒き続ける…。怪奇・オカルトの分野において、小中学生時代の体験が及ぼす影響は大きい。


元祖『ウルトラQ』が放映されたのは、今から38年前の'66年。2年後の'68年には『怪奇大作戦』『ゲゲゲの鬼太郎』『妖怪人間ベム』が相次いで放映。70年代に入ると、「木曜スペシャル」にて超能力、UFOを扱ったオカルト番組が、昼のワイドショーで「あなたの知らない世界」が放映され始める。'73年恐怖新聞」「うしろの百太郎」連載開始、「ノストラダムスの大予言」出版。翌'74年ユリ・ゲラー来日(スプーン曲げブーム到来)、『エクソシスト』公開やこっくりさんブームによって、約15年の長きにわたる<第1次オカルトブーム>が幕を開ける。'77年には天地茂版「明智小五郎シリーズ('77-85年)」、水曜スペシャル川口浩探検隊シリーズ('77-86年)」が放映開始。'79年口裂け女が現れ全国の小学生を震え上がらせる中、オカルト雑誌「ムー」創刊。80年代に入ると、ラジオ「三宅裕二のヤングパラダイス('83-'90 )」からヒランヤブームが起こり、『13日の金曜日』を皮切りにアメリカン・ホラーが多数上陸。それに終止符を打ったのが'89年宮崎勤逮捕。テレビのオカルト番組は生き残り、'90年に宜保愛子ブーム、ミステリーサークルブームが起こるも、オカルト叩き、UFO映像のネタ切れ、深夜番組「プレステージ」の打ち切りにより下火に。しばらくの沈黙の後、'96年“ロズウェルの宇宙人解剖フィルム”をテレ朝が特番で放映、'97年『スクリーム』公開、『奇跡体験!アンビリーバボー』放映開始により復活の兆しが見え始め、'98年『リング/らせん』公開で起こったJホラーブーム、'00年富加町ポルターガイスト騒動によって<第2次オカルトブーム>が幕を開ける。



現在、Jホラー界で活躍する人材はいつごろ生まれた人が多いのだろうか…。ちょっと調べてみた。

35年生:矢追純一(TVディレクター)*1
36年生:楳図かずお(漫画家)
37年生:実相寺昭雄(監督)


46年生:日野日出志(漫画家)
47年生:荒俣宏(作家)
49年生:諸星大二郎(漫画家)
51年生:吉田秋生(監督)


55年生:黒沢清(監督) 佐野史郎(俳優)*2
56年生:
57年生:鈴木光司(作家)
58年生:落合正幸(監督)
59年生:高橋洋(監督・脚本家) 飯田譲治(監督)
60年生:鶴田法男(監督) 木原浩勝(作家) 三池崇史(監督)
61年生:中田秀夫(監督) 鈴木浩介(監督) 佐々木浩久(監督) 小中千昭(脚本家) 平山夢明(作家) 一瀬隆重(プロデューサー)
62年生:
63年生:伊藤潤二(漫画家)
64年生:
65年生:葉山陽一郎(監督・脚本家)
66年生:長江俊和(TVディレクター) 大槻ケンヂ(ミュージシャン)*3
67年生:福谷修(監督・脚本家)
68年生:高木登(脚本家)
69年生:井口昇(監督)
70年生:村上賢司(監督) 中村義洋(監督・脚本家)
71年生:豊島圭介(監督) 山口雄大(監督) 加藤淳也(脚本家)
72年生:清水崇(監督) 三宅隆太(監督・脚本家) 古澤健(監督・脚本家) 平野俊一(監督)
73年生:白石晃士(監督)
74年生:坂本一雪(監督)
75年生:
76年生:安里麻里(監督)
77年生:松江哲明(監督)
78年生:山本清史(監督)


※生年不明
中山市朗(原作)
寺内康太郎(監督・脚本)


「ほん怖」「Jホラーシアター」「ほん呪」「怪談新耳袋」あたりを中心に思いつくまま列記してみたんだけど、なんか偏ってるなあ…。これだと次は80年生まれ前後に密集することになるんだろうが、彼らが思春期を過ごした90年代は、宮崎('89年)、オウム('95年)、酒鬼薔薇('97)ショックによって怪奇・オカルト業界が地下に潜り込んでた時期だから微妙だ…。映画業界も'91年『羊たちの沈黙』公開によりサイコものが流行ってた時期だし、現実の事件の方がすごかった時代。次の90年生まれ前後は、第二次オカルトブームを経験してきた世代になるんで、こっちの方が楽しみかな。

*1:Jホラーとは関係ないけど、いろいろ影響を与えた人なので入れてみた

*2:俳優はあんまり関係ないんだけど、芸能界きっての怪奇マニアなので入れてみた

*3:関係ないけど、芸能界きってのオカルトマニアなので入れてみた。