『テキサス・チェーンソー』を観た(@シネコン)

昨日の話の続き。『クイール』の後に観た2本目が『テキサス・チェーンソー』。客は50〜60人ぐらい。10代後半から20代といった客層で、男女比は2:8ぐらいで女性客の方が多かった(ちなみにレディースデイです)。


テキサス・チェーンソー コレクターズ・エディション [DVD]


これは『悪魔のいけにえ』(ASIN:B00005G0LH)のリメイクなんだけど、本編は子供の時に一度観たきりなんでもうほとんど内容忘れてた。だからなんの支障も無し。んで、感想。


以下、ネタバレします

本末転倒なことを言わせて貰うと、チェーンソー男・レザーフェイスはあまり出てこない方が良かったかもしれない。この映画に登場する人物は、殺されまくる若者グループ以外、みんなガイキチさんなんですよ。しかもレベル分けすると、チェーンソー男のガイキチ度は主役にもかかわらず下の方。一番怖かったのは保安官の親父で、悪党としての魅力はばっちりだし、保安官絡みのショッカーシーンが一番客の反応も良かった。チェーンソー男は全然オーラないし、ショッカーシーンも「え、あったっけ?」てぐらいに滑りまくり。痛いだけで怖くないし、お間抜けさは鼻につくし、「てめえ、チェーンソーなけりゃ何もできねーだろ!」と蹴り入れたくなるぐらい、精神的に弱っちく声もか弱い。ああ、主役なのにほんとうに不甲斐ない。ヒロインが強すぎるのも考えもんだなあ。たとえシリーズ化されても、悪役としてきちんと大成するとは思えんぞ、これじゃあ。あ、ミシンで縫い物してる姿はとってもチャーミングでした(いいのか、それで?)。


基本的にこれは、“怖い映画”ではなく“痛い映画”です。痛いシーンがお好きな方にはどうぞどうぞとオススメしますが、そうじゃない方には…。私は痛いの大嫌いなんで、切り刻むシーンや突き刺さるシーンで3回ぐらい目を背けました。


ヒロインが死なないのは最初から分かっていたわけで…。だって彼女、マリファナも吸わないし、セックスに対する考え方もしっかりしてるんだもん。ホラー映画は一種の道徳教育だから、道徳観念がしっかりしてる子は助かるように出来てるんです。そこら辺の演出が『テキサス〜』はあからさますぎてちょっと萎え。あと、メガネの男の子が穴に腕突っ込んで『ローマの休日』の“真実の口”状態になるのは、引っ掛けだとバレバレなので、裏の一つもかいて欲しかった。


まあ、いろいろ言ってはいるけど、好きな演出も結構あったり。脳みそ散乱させた死体を後部座席に乗せたまま延々ドライブしなきゃいけないとことか、チェーンソー男がヒロインの恋人の顔の皮を剥ぎ取って作ったフェイスマスクを被ってヒロインを襲うとことか、苦しんでる仲間の介錯をヒロイン自らがかってあげるとことかね。もうちょっと広げても良かったのに…。


ヒロインが精肉所に入っていった時は、ぜってーチェーンソー男をミンチにすると思ってたのに、そんなこともなく、腕切っておしまい。ラストでぶち切れたヒロインが保安官を何度もひき殺すんだけど、別段カタルシスも感じなかったり。『リップスティック』(ASIN:B00005HBLA)のマーゴ・ヘミングウェイを越えることは無理なのだろうか…。チェーンソー男が怖くないから、オーラスの展開もいきないんだよなあ。


ネタバレ終了


いいとことダメダメなとこと両方あってなんだか評価しにくい映画。“痛い映画”好きな人にはオススメです。