『citylights』を観た(@ユーロスペース)

映画美学校の生徒が作った作品を上映する『1st Cut 2003』のCプロとして、1/31から3日間、ユーロスペースで上映されてるドキュメンタリー作品『citylights』を観てきた(映画の詳細は以前の日記を参照)。


目の不自由な人でも映画を楽しめるようにと音声ガイドを制作してるボランティア団体“City Lights”の活動を追ったドキュメンタリーなのだが、いやー、これは、すごい! 普通に面白い! 障害者を扱ったものにイメージされる“世間に現状を訴える”とか“社会的意義”みたいなものを越えた次元で、作品として普通に楽しめ、しかもかなり面白いのだ。映画を観るという行為に「知らない世界を観たい」「好奇心を満たしたい」という側面があるならば、これはまさに最良の1本。ちょうどいま、ユーロスペースでは『パリ・ルーヴル美術館の秘密』というルーヴル美術館で働く人々の姿を映したドキュメンタリーが上映されているのだが、それと同じ感覚で、いや、それ以上に「ああ、こういう世界もあるのかあ」「このひとたちはいま頭の中でどんな映像を観ているんだろう」と知的好奇心がかき立てられ脳みそがフル回転で揺さぶられる映画なのだ。


このページをいま読んでる、そう、そこのあなた! 
これも何かの縁だ。騙されたと思って観に行ってくれ。
2/2(月)夜21:00の回が最後の上映です。


これを見逃したらもう観る機会はないんじゃないかなあ。映画美学校の生徒が作ったので、どっかのテレビ局が放映してくれる確率はほぼ0に近いだろうし、次に上映される機会があったとしても、それは健常者向けではなく視覚障碍者向け。ユーロスペースが上映しない限り、ドキュメンタリーにとくに興味のない人や、視覚障碍者と普段なんの接点もなく暮らしてる健常者がふらっと見に来るなんて機会は無いにちがいない。


でもね、この映画は「映画を目で観る」感覚に慣らされた人が観ると一番楽しめる。右脳全開、脳みそがリフレッシュする感覚、とでも言うのだろうか…。映画好きはもちろん、知覚や学習心理学をかじったことある人なら直球ど真ん中でヒットするはずだ。


とにもかくにも、他人の視点を想像することの楽しさを教えてくれる、これはそんな1本です。


NHKさん、国営放送ならCity Lightsの活動に賞をあげるだけじゃなく、マスメディアとして、その後のフォローをする意味でも、地上波でこれを放映するぐらいの度量を見せたっていいんじゃないかい?



同じ日にユーロスペースで観た『パリ・ルーヴル美術館の秘密』も面白かったんだが*1、これ観たら感想が吹っ飛んでしまった(苦笑)。断然『citylights』の方が面白いや(嬉)。『パリ〜』の監督が以前に撮った聾唖の子供たちを扱ったドキュメンタリー『音のない世界で』も面白そうなんだけどね。


まったく余談だが、ユーロスペースで公開中の『息子のまなざし』は、開場待ちしてる客層を見た感じだと7:3ぐらいの割合で男の方が多かった。しかも年代は幅広い。かなり意外だ。確かに少年と親父が主人公だが、重い映画だし、内容的に特に男が強く惹かれる要素ってあったっけ? 映画自体は12/13から上映されてるのだが、どうやらロングランの様相を呈してきた模様。いつ観に行こうかなあ…


それからユーロスペースでようやく『映画番長』の予告が流れ出した。ちらしはまだ無し。とりあえず製作発表記者会見の模様はこちら



*1:そういえば、内田春菊らしき人がきてた