『とんかつDJアゲ太郎』を観た@シネコン

初日に観てきました。緊急事態宣言が明け、映画観賞を再開した時に、最も多く劇場で観た邦画の予告がこの『とんかつDJアゲ太郎』だった。北村匠海くんの目がおもいのほかまん丸で「彼ならアゲ太郎がやれると気付いた人は天才か?」と思い、半ば使命感で観に行くと決めてたけど、まさか公開までこんな紆余曲折あるとは思いもしなかった。ようやく観れたよ。


前半ちょっともたついて空回りが続くのでヒヤヒヤしたけど(汗)、「気づき」のシーンを境にしっくり回転しはじめ、クライマックスのクラブシーンでがっつりアゲて終わるんで、迷ってる人がいたら「迷わず観に行ってくれ」と背中押しときます。


以下、ちょいネタバレ


意外にも今回の不祥事が作品的には邪魔になっておらず、伊藤健太郎が自身のセリフにグサグサ刺されたり(そう思えるのは事故直後のいまだけよ)、いい年した伊勢谷友介がいい年したおっさん(川瀬陽太)にめちゃめちゃ怒られて頭下げまくったりと、いま観るからこそ味わい深いシーンがいくつもあります。伊藤健太郎くん演じる“屋敷”と北村匠海くん演じる“アゲ太郎”のDJバトルでは、多くの観客が役柄と役者を混同し「アゲ太郎よ、健太郎に一発かましてやれ!」と拳を握りしめたんじゃなかろうか。伊勢谷くんに関しては、新境地というか、役者としての新たな魅力を提示できた貴重な作品だっただけに、私生活で借金トラブルを抱えていた渡辺謙がテレ東年末時代劇「壬生義士伝」でいままであまり演じてこなかったカネにがめつい男を演じて返り咲いた感じを思いだし、「これが復帰作だったら良かったのに」と残念に思った次第。


半年以上渋谷に行ってないので随所に出てくる円山町の風景が懐かしかった。そして、美味い厚切りのロースかつがこんなにも食べたい気分なのに老舗トンカツ屋「しぶかつ」が渋谷に実在してないことが残念でなりません…。コロナ前の撮影なので、満席の客で賑わう店内で皆がわいわい楽しく肩を寄せ合いトンカツを食べてるのが羨ましかった。


現実世界で大失敗した人が多数出ている映画だけど、「独りよがりな振る舞いによって大失敗をやらかし、期待してくれた周囲の人に多大な迷惑をかけた人物が再チャレンジするさまを描いた映画」でもあります。大失敗での共感性羞恥がすさまじいので、テレビや配信でいいやと思ってる人は間違いなくそのシーンすっ飛ばすと思う(逃げ場のない映画館だからちゃんと観れたけど、居たたまれなくて家では無理よ)。


最後の曲を流したときの山本舞香ちゃんの笑顔がどんぴしゃすぎて唸る。


日舞台挨拶の模様がYoutubeにUPされてた。

こんなに辛い舞台挨拶がかつてあっただろうか。
「僕は決して可哀想なやつではないし、とても幸せ者だと思っている」なんてなかなか言えない。



アゲ太郎に幸あれ!