感染による「発熱」のメカニズム

発熱のメカニズム|体温の基礎知識|体温と生活リズム|テルモ体温研究所
↑ウイルスが体内に入ると、マクロファージなどの免疫活性食細胞がウイルスなどの異物を食べるように細胞内に取り込み、インターロイキン1をはじめとする「サイトカイン」という物質を生成する。サイトカインは血液の流れにのり脳へと到達するが、脳の関所である「血液脳関門」を通ることができないため、メディエータ(仲介者)と呼ばれる情報伝達物質プロスタグランジンE2(PGE2)の産生を促し、これが視床下部の体温調整中枢に直接働きかけ体温を上昇させる。発熱が起こる理由として「ウイルスは低温の方が繁殖しやすく発熱によって抑制することができる」「(マクロファージなどの)白血球の働きが活発になる」などが考えられているため、近年では風邪を引いて熱が出ても苦痛を訴えない限り解熱しない方法をとることが多い。


ユニークな人間の体温〜温度が左右する生体反応〜 ※pdf
↑マクロファージが異物を食べる働きは体温37℃を100%とした場合、38.5℃で120%まで上昇する。


発熱に関するQ&A | 看護roo![カンゴルー]
↑感染による発熱のメカニズムと発熱したときの対処法。ヒトの体温は、熱産生と熱放散のバランスを維持することで、いつもほぼ一定に保たれる。体温を何度で維持するかという温度設定は脳の視床下部にある体温調節中枢で行われ、実際の体温が設定温度(セットポイント)と等しくなるよう熱産生(悪寒・身震い・鳥肌)と熱放散(血管拡張・発汗)のバランスが調整される。体温調節中枢に作用する化学物質が血液中に存在すると設定温度は上昇する。設定温度上昇に作用する化学物質には、体内に侵入した細菌の毒素や、細菌駆除に集まってきた白血球の一種マクロファージが産生するインターロイキン1(IL-1)というサイトカインがある。それらが血液に乗って視床下部に伝わると設定体温が上昇する。体温が上昇すると、免疫細胞の働きが活発になったり、ウイルスの活動が抑制されるといったメリットがあり、発熱は人が進化の中で微生物に対して獲得した防衛反応といえる。悪感・戦慄がある時は、体温が設定温度に到達していない状態なので、冷やしたりせずに体を暖かくし、体温を早くセットポイントまで到達させたほうがよい。体温が設定温度に達して悪寒がなくなったら、氷枕などで冷やし発熱による苦痛を和らげる。汗を掻き出したら、体温が設定温度より高くなってる状態なので、衣類交換や手早い清拭などで清潔を保つとともに水分を補給し脱水症状が起こらないようにつとめる。発熱時は代謝が亢進して体蛋白が失われて消化器系の働きが低下するので、栄養価が高く消化のよい食物を取るように留意する。ちなみに熱中症は設定温度ではなく発熱と放熱のバランスが崩れたために起こる。


体温調節の神経回路 - 脳科学辞典
↑体温を適正な温度域内に維持するためには、生体が体温(深部体温)を感知する必要がある。体温調節中枢には温度感受性ニューロンが存在し、発熱により温まった血液が流れ込み脳組織温度が上がると温ニューロンの発火頻度が上昇する。ただ、体温調節は深部体温だけでなく皮膚で感知した環境温度にも基づいて適切な反応が惹起されており、末梢の体温調節効果器の種類によって反応が惹起される温度(深部体温あるいは皮膚温度)の閾値が異なることから、設定温度は深部温度との単純な比較のみで設定されているわけではないことがうかがえる。


正常な体温でも、1日のうちで体温に差があるのはなぜ? | 看護roo![カンゴルー]
↑体温は常に一定ではなく1日の中でも変動する。心拍動、呼吸運動といった基礎代謝のみが熱産生を行っている就眠時(午前2時〜6時頃)が最も低く、運動や消化吸収、精神的興奮などが働いている午後3~8時ごろは、最も体温が高くなる。


発熱・不明熱 | 今日の臨床サポート - 診断・処方・エビデンス -
↑1992年に行われた研究で18歳から42歳の正常男女の口腔内体温を測定した結果、正常の40歳以下男性の99%が朝6時では37.2℃、夜6時では37.7℃が上限であった。従ってそれ以上に上がった場合「発熱」と呼んでもいいのではないかと結論づけている。日本の感染症法では、37.5℃以上を「発熱」、38℃以上を「高熱」と定義。41.5℃を超える発熱は「超高熱」と呼ばれ、脳出血や重症感染症が原因疾患の鑑別として考慮される。


大人・子ども別【40度以上の高熱の対処法】後遺症の危険は?救急車は? | Medicalook(メディカルック)
↑40℃以上の高熱が出た場合で、意識朦朧、けいれん、手足の脱力、嘔吐、呼吸困難(肩で息する)などが見られた場合は救急車を呼んだ方がよい。特に突然40度以上の熱が出る、突然の激しい頭痛、何かにつかまらないと立てない、突然手足がしびれる、突然片側の手足が脱力する、突然胸や背中に激痛が走る等の症状が出た場合は危険。



新型コロナ感染体験記【参考】

↑医師からcovid-19だろうという診断は受けてるが軽症のため検査を受けさせて貰えず自宅待機を言い渡された在米邦人の2週間にわたる闘病記録。最初は3/18に夫が発症。家庭内隔離生活を始めるが、数日以内に妻や子供も発症。深刻度はかなり異なり、ブログは最も症状が重かった夫によって書かれている。発症から改善に向かうまでに出た様々な症状と、それが終息し別の症状へと移行する過程が五感を研ぎ澄ました描写で詳細にレポートされている。特にこれまでの報告症例でも見かけた「37〜38℃台の熱がだらだらと続く」「朝下がり夜上がる」という症状が筆者にも起こり、元看護師である妻の助言で「解熱剤は使わない」という判断をしたため、解熱剤の作用ではなく筆者自身の免疫反応や生理反応によって上がったり下がったりしてることがよくわかるのが有り難い(3/18微熱、3/19に40℃、その後12日間37.3℃〜38℃台を上下して3/29突然36.4℃に解熱)。40代男性で糖尿の持病があり5年前まで喫煙。闘病中の食事についての詳細はないが、ビタミン剤とお粥・うどんが妻より差し入れられてる記述が何度か出てくる。3/26突然呼吸症状が悪化し医師に連絡するが、「病院は既に戦場で処置は酸素吸入のみ。更に酷くなれば人工呼吸器」と言われ、最後まで自宅待機を続けた結果、3/29突然解熱し終息する。


尚、解熱剤を飲んだ場合はどうなるかというと、いったんは薬の効果で下がるがまたすぐ上がることが国内感染者の体験インタビュー報告されている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200313-00000006-htbv-hok
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200312-00000573-stv-hok
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200314-OYT1T50097/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200313/k10012328751000.html
↑70代男性(日本)。気管支喘息の持病あり。
2/16 発症。朝から頭痛あり。発熱(37.5度)。咳が出る。風邪薬服用して早々に就寝。
2/17 朝熱が下がるが夕方にまた上がる。
2/18 薬で熱が下がっても夕方には上がるの繰り返し。咳はそれほど酷くない。
2/19 保健所に電話相談。
2/20(発症から4日後)受診。レントゲン検査と血液検査を受け、肺炎が見つかる。防護服姿の医師にたんなどの検体を採取される。
2/22(検査から2日後) 新型コロナ陽性と判明し感染症の指定医療機関に入院。入院中は咳で夜も寝られない状態が一週間ほど続く。そのため医師が別の薬(10日間の服用が必要)に変えたら、2日目には劇的に改善。2度にわたり検査を受け、両方とも陰性だったため退院が決まる。
3/11(入院から19日後)退院。2週間後にもう一度病院へ行き、肺炎の検査予定。



↓こちらは発症後に解熱剤(ロキソニン)を服用したベルギー在住20代男性(非喫煙者)のケース。
↑3/21体調が悪い。3/22発熱(38℃)でロキソニン服用。服用中は37℃前後で推移。3/26薬の量を減らす→すぐ39℃以上に上昇。3/29アセトアミノフェン(パラセタモール)に切り替えるが熱下がらず。3/30呼吸が苦しい。3/31夕方病院へ。歩くだけで息切れ。発汗で一時的に熱が下がるが2時間後再び上昇。酸素吸入とコロナの薬(錠剤。名称不明)を飲む。4/1注射と薬と点滴で徐々に熱が下がり夕方には平熱に戻る。4/2平熱。CTの結果は新型コロナ肺炎でほぼ間違いないがPCR検査は陰性で退院。※発症中、咳の描写なし。


↓こちらは発症後にアビガンを服用し続けた薬剤師の男性(子どものとき水泳やってた)のケース。発熱のつらさは果物摂取で対処し、1度だけアセトアミノフェン服用で解熱。肺炎像あるが呼吸症状なし。
↑医療関係者だけあって、体温やサチュレーション、血圧、脈など記載情報が細かく大変参考になる。入院20日目と21日目(最終日)に感想とこれまでのデータを書き出してくれてる。解熱に関してはできるだけ自然解熱を試みたが、38℃越えが続くと体力がもたなくなってくるので、38℃を越えたら無理せず薬で解熱し、脳がやられないよう頸動脈をアイスノンで冷やすとかなり楽になるとのこと(尚、カロナールの解熱効果はきっかり4時間)。自然解熱に役だった食材はバナナ(カリウム)とみかん(ビタミンC)。


↓陽性診断前に、医者で解熱剤と抗生物質アジスロマイシンを3日分服用した以外は特に何も飲んでない男性(喫煙・飲酒多数)のケース。入院時にはほぼ治ってた。入院に必要なものリストあり。
↑発症1日目37.8℃。2日目38.7〜38.9℃(医者で3日分の抗生物質と解熱剤を処方)。3日目朝40.2℃。夜38.8℃。4日目37.4℃。コロナ検査。5日目36.6℃。解熱したが関節痛とだるさが酷い。陽性判明の連絡。6日目たまに37℃台。嗅覚消失に気付く。7日目入院。腹筋できるぐらいの体調。入院2日目〜食欲旺盛。36.5℃前後でずっと平熱。検査で陰性になったら退院。


↓入院治療でオルベスコを吸引した男性のケース。入院時に意識朦朧とし嘔吐したため、栄養剤&抗生剤(マイコプラズマ肺炎用)点滴でその日のうちに熱が下がる。肺炎像ありでオルベスコ吸入を選択。入院2日目からは平熱で悪化もなく入院7日目には陰性。
カシス on Twitter: "実は4/8より新型コロナ感染症の陽性で入院しておりましたが、4/18に無事退院しました。何かの参考になればと思い、発症から退院までの体験談を置いておきます。
#StayHome… "



↓自宅療養で治してる20代後半女性(非喫煙者、ジム通いで鍛えてる)。呼吸症状あり。コロナっぽくない肺炎像、嗅覚消失あり。解熱剤・抗生物質・抗菌薬いろいろ飲んだ結果、肺炎が治ってきた。発熱から2週間で解熱。食欲・体力あり。解熱後陽性判明。その後悪化なし。
味覚傷害が戻らず、都の方針が変わったために自宅からホテル療養に切り替わる。「その3」でホテル療養に必要なものがたくさん書き出されてる。必読。ホテル療養は「飯が冷たい」というのが「ポジコロ入院記」の人とも共通意見。スープや味噌汁、ふりかけ、お茶漬けの素、ビタミン剤は持参したい。