大木裕之 Work In Progress『哪木(ナム)』『ウム/オム1』を観た(@スペースneo)

凄く良かった。『心の中』からこんなことになっていたとは。チベット(?)のあの山はヤバすぎるって。空があまりに近くて、遠近感がおかしくなる。群青色の空にモクモクと吹き出るあの雲は何なの? おかしいでしょ。ほんとにここは同じ世界なの? 人類が存在する以前の地球じゃないの? あそこなら神に出会えてもしょうがないと思うよ。


この日に上映されたのは以下の二作品。

大木裕之 Work In Progress 最新Version作品上映会
『哪木(ナム)』2004〜2007年/71分/ビデオ
 撮影地:東京、パレスチナイスラエル、トルコ、ネパール、チベット、香川、高知
ウム/オム1』2005年〜/40分/ビデオ
 撮影地:上海、高松、高山、上高地 他

監督自身が現在チベット仏教に傾倒しているらしく、どちらも神や宗教といったものについていろいろ模索している非常に哲学的な作品だった。『ナム』はこれが完成形。『ウム/オム1』はまだ制作途中で、『ナム』に比べ政治的な側面もいくらかかいま見せる。今回は土台になる部分を初お披露目。ここから筆が足され変化していくのだろう。最終的にはどこに行き着くのか。どちらも非常に面白く、かなり脳みそが刺激された。


いや、ほんとはね、頭ん中が猥雑になってきたんで「ちょっとリフレッシュしたいなあ」っつって、なんとなく「あ、『心の中』が見たい」って思ったら、偶然neoneoのメルマガに明日大木監督の上映会やりますよって書いてあって、「いろんなとこ撮影行ってるから風景いっぱいありそうだなあ」と思い、御茶ノ水はちょっと遠いんだけど「まあ、これも何かの縁だろ」と内容もよくわからないままに見に行ったらこんなことになってて、リフレッシュのつもりが頭の中このことばかりで、仕事に集中できないしもういまにも脳みそパンクしそうです。見なきゃ良かった(苦笑)。嘘。これから地道に他の作品も制覇していきます。明日の『メイ4』『TRAIN』『カム』も観たいが体力的にちょっとむずかしいので、またいつの日か是非に。


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◆光と風景、神はどこに宿る? 人はどこに神の姿を見る? 「光背」とは、仏像、仏画をはじめキリスト教の聖人などで体から発せられる後光をあらわしたもの。実在の人物ならオーラがそれにあたる。しかし神に実体はない。神の光背は、神から放たれた光ではなく、光の中に神を見た(=神の存在を感じた)のでは?
◆大木監督の手により、神の「存在」を感じさせる風景映像が何カットか撮られている。映像による宗教画。これはスゴイ。日本の風景でも撮ることはできるのだろうか。
◆二つの映像を重ねるという手法。『心の中』でも見せたが、ビデオ映像では印象が異なる。16mmは心象風景・記憶映像、ビデオは実際に目で見た映像に近い。
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日本のドキュメンタリー作家インタビュー No.11:大木裕之(YIDFF:DocBox#11 1998.1.31)
チベットの空 その1,その2,その3