『放送禁止4〜隣人トラブル編』の<真実>とは?【解決編・後編】

引き続き、先日放送された(と言ってももう2ヶ月も前の)『放送禁止4』について、映像の裏に隠された<真実>を探ってみたいと思う(遅くてゴメンネ)。今回は殺害の【動機】について。情報が少ないのでなかなか確定しづらいところはあるが、若干妄想を交えつつまとめてみた(妄想かよ!笑)。一応、これでおしまい。


これから番組を見る予定のある方は、ネタバレしまくりなのでご注意を。「もう内容忘れちゃったよ」という私みたいな人は↓こちらであらすじを参照されたし。

ちなみに殺害方法についてまとめた【解決編・前編】は↓こちらです。



以下、ネタバレ
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夫・仁志さん殺害の動機とはいったい何だったのか。


番組スタッフが最後に提示したヒント*1や、門に貼られてた中傷ビラの内容*2、「ご主人は会社の女性と浮気をしている。奥さんはそれを知ってご主人をひどく憎んでいる」というUさんの言葉が真実ならば、浮気話を口にした時の妻・利香子さんの逆上ぶりから見ても、《二度目の浮気発覚に激怒した妻が夫の殺害を企てた》とみるのが自然な流れだろう。


一度目の浮気は引っ越してきた当初に発覚しており、その時の相手も会社の女性だった*3。当時利香子さんは、Uさんに相談するなどして夫と浮気相手を別れさせることに成功した(と思っていた)が、ほどなくして二度目の浮気が発覚する。利香子さんが「あんなつまらない女」と敵意剥き出しにしてるところを見ると、相手は一度目と同じ女性なんだろう。二度目の浮気がいつ発覚したのか、どうやってバレたのかはわからない。ただ、相手の女性は、毎日会社で会っているにもかかわらず、妻子が出る可能性のある自宅電話に直接電話をしてきたり*4、家族と共に過ごす休日でさえ携帯に電話をかけてくる*5などなかなかに積極的。また、夜中とはいえ自宅近く(しかもUさん宅からも森下家からも丸見えの場所)まで仁志さんを送り、別れ際にキスしあうなどかなり大胆な行動もみせている。おそらく浮気がバレたのもその辺りが原因なのではないか。


ところが当の仁志さんは二度目の浮気がバレたことに気づいてない模様。利香子さんに「Uさん、TV局の人に浮気のこと喋ってるよ」と相談されても、「おいおい、あれいつのことだと思ってるんだよ。別に喋られたっていいよ。もう済んだことだもん。終わったことだもん」と答え、気づかれてることを知ってるような素振りを全くみせていない。おそらく、二度目の浮気に気づいた利香子さんは、仁志さんを問いつめる前にまずUさんに相談。その際「あんな甲斐性のない男は生かしておいても無駄だ。ひとおもいに殺してしまおう」と『鎌腹』の奥さんのような気分にでもなり、あっという間に殺害する方向で気持ちが固り、それ以降は「疑いをもたれてはまずい」とあえて気付かない振りをしてきたのだろう。二度目の浮気発覚時期はまったくもって確定しないが、殺害の動機が「夫の浮気」であるなら、発覚時期はUさんがご主人を殺した後だと思われる。一度目の浮気は話し合いで解決してるわけだし、いくら殺意があってもそれを計画し実行に移すというのはなかなかに難しい。それに他人の夫の殺害を人殺しをしたことのないUさんがいくら同じ宗教の信者どうしとはいえ、自分の生活を犠牲にしてまで手伝うとも思えない(当初は嫌がらせの際にUさんが宙に描いた「×」印のこともあって、Uさんと利香子さんの交換殺人の可能性も考えたが、Uさんのご主人が「自宅で急性心不全により亡くなった」ことがわかり、すぐさまその可能性は消滅した)。しかしUさんがご主人を殺害したあとなら、Uさん自身も「殺しちゃえば」と勧めやすいし、利香子さんにとっても身近にこれほどの成功例はないわけで、「ノウハウを持ってるUさんと教団が力を貸してくれるのなら、私でも出来そうだわ」とその気になってもおかしくはない。



さて、殺害の動機は本当に「夫の浮気」だけなんだろうか。実はひとつ気になる情報が提示されている。


嫌がらせが始まる直前、仁志さんは妻・利香子さんを通してUさんから宗教の勧誘を受けている。仁志さんはお布施の額が多かったこともあり断ったそうだ。しかしその直後からUさんの態度が豹変、様々な嫌がらせをしてくるようになったという。このエピソードはいったい何を意味するのか…。「高額なお布施を要求するほどお金にがめつい宗教団体だ」ということを知らせたいだけなら、「勧誘を断った直後に嫌がらせが始まった」という情報は不要。何故ならこの後「浮気が原因で殺害された」という方向で話は進んでゆくため、この一文が入るとその流れに無理が生じてくる。


仮に、勧誘する時点では仁志さんの浮気がまだ発覚してなかったとしよう。利香子さんの勧誘に成功したUさんは夫の仁志さんも勧誘しようと試みる。しかしそれは失敗に終わる。時同じくして仁志さんの浮気が発覚。激怒した利香子さんはUさんに相談。「勧誘も断られちゃったし、うちの夫みたいにいろいろ邪魔だてするかもしれないから、いっそのこと殺してしまった方がいいわよ」とでも話が盛り上がり、教団にも相談して支援を取り付け、殺害計画はすぐさま実行へと移された。こう書くと「どこに無理が?」と思われるかもしれないが、浮気発覚という偶然を機に企てられた計画にも関わらず、計画立案から実行までが「勧誘を断った“直後”に嫌がらせが始まった」と思わせるぐらいのハイペースで進められてるところにいささか強引な印象を受ける。「強引でもいいじゃないか」と思うかもしれないが、「勧誘を断った直後に始まった」の一文さえ無くせばその印象も消えるのに、「何故わざわざ入れたんだ?」という疑問が生じるのだ。


反対に、仁志さん殺害計画が立てられたのは勧誘以前であり、たまたま実行時期と勧誘を断られた時期が重なっただけだとしよう。この場合、Uさんが仁志さんを勧誘した理由がいまひとつ見えてこない。もし仁志さんが入信をOKしたら、ことは夫婦間の殺人では済まなくなる。信者間の殺人ともなれば、教団からの支援も難しくなるだろう(そもそも信者である仁志さんを殺すメリットや、信者にしてから殺す必要性が教団側に見当たらない)。


「勧誘を断った直後に態度が豹変し嫌がらせが始まった」
この一文がある以上、浮気以外にも何か別の動機を疑う必要があるのではないだろうか。。。



そこでクローズアップされるのが、Uさんと利香子さんが信仰してる「新興宗教団体」の存在。


そもそも教団は何故仁志さん殺害に力を貸したのだろう。計画遂行に教団の支援は必要不可欠であり、たとえ殺害に成功しても、教団が一言「手助けしない」と拒否すれば、完全犯罪などあっさり崩れてしまう。となれば成功の鍵は教団が握ってると言っても過言ではない。多額のお布施を要求してくるような教団が、一信者の境遇を不憫に思ったぐらいで殺人などというだいそれたことを無償で手助けしてくれるものだろうか。殺害することで教団が得られるメリットとは何なのか? その辺りのことを吟味すると、教団が殺害を支援する裏にはやはり多額のお布施が関係してると思えてならないのだ。


浮気した夫に復讐したい利香子さんとお金が欲しい教団の利害が一致し仁志さん殺害計画は実行に移された、、、と仮定し、仁志さん勧誘の理由を再度考えてみたいと思う。


殺害を計画していた利香子さんとUさんにとってこの勧誘がなんのメリットもないことは前述した通り。となると夫を勧誘するよう指示したのは教団だということになる。二人から殺害計画の支援を持ちかけられた教団だが、殺害して得られる一時しのぎの金より、生かして生涯にわたりお布施して貰った方がメリットが高いと考え、二人の計画に一時待ったをかけ、仁志さんを勧誘するよう指令を出す。計画成功の鍵を教団が握ってる以上、利香子さん側はこの話を断れるわけがない。しかし目論みはうまくゆかず入信を断られたので、当初の予定通り殺害計画は実行に移された。


ちなみに保険金の話は一切出てきてないので、実際、利香子さんがどれぐらいの遺産を手に出来たのかは全くわからない。仁志さんの葬儀から3週間後、利香子さんは同じ市内の別のマンションに引っ越している。今まで住んでた家は、買ってまだ3年しか経ってない一戸建てだ。住宅ローンも相当残ってるはずだし、家を引き払って得たお金はローンの返済に充てられるだろう。引越し後の生活費や家賃の支払いを引けば、教団に渡るお金は意外と少ないのかもしれない。。。



殺害の動機に「金銭」が絡んでくるなら、次のような線も浮上してくる。


ここまで「二度目の浮気発覚に激怒した利香子さんが夫の殺害を目論んだ」という前提で語ってきたけど、実は、浮気が原因で殺害したというはっきりした証拠を利香子さん自身は残していない。浮気発覚の時期もはっきりしてないし、仮にUさんの「奥さんは浮気した旦那をひどく憎んでる」という言葉がカモフラージュであり、「浮気に激怒した」という素振りも全て仁志さんを追い込むための利香子さんの芝居だったとしたら…。つまり、殺害の一番の動機は「浮気」ではなく「金目当て」だとしたらどうだろう。


そもそも利香子さんは何故宗教などにはまってしまったのだろう。その裏に二度目の浮気発覚があったと考えてもおかしくないのでは?


Uさんのご主人が亡くなる少し前、利香子さんはUさんからお茶会と称した宗教の集まりに誘われている。何も知らずに参加した利香子さんは「気持ち悪くなって帰ってきてしまった」と話している。しかしその後、利香子さんは元気君を連れて宗教の集まりに通うようになり、次第に宗教にのめりこんでいった(元気君はまだ子どもなので、いまだ遊び感覚かもしれない)。勧誘を受けたのは引っ越してまだ1年も経たない頃だ。専業主婦*6の彼女にしてみれば、慣れない土地で昼間はほとんど家にひとりきり。夫の浮気が解決しホッとしたものの、営業マンの夫はあいもかわらず毎晩仕事で帰りが遅く、夕飯はいつも子どもと二人きり。一番の話し相手になってくれてた仲良しのUさんは、宗教に凝りだし自分とは別のコミュニティへ。そんなときに再び夫の浮気が発覚したら、、、その心の隙間に宗教がするっと入り込んでもおかしくないのではないか。


仮にこちらの線が有力だとなると、仁志さんの殺害は計画段階から教団主導で進められてるんじゃないの?という疑いも生じてくる。つまり殺害計画の立案から毒物の入手、殺害方法のレクチャーまで全て教団主導で行われ、利香子さんは単なる実行犯。森下家の財産を我がものにしようと目論んだ教団は、先に入信した利香子さんを使って夫への勧誘を試みる(夫は「Uさんから勧誘された」と言ったが、直接その話を夫にしてきたのは妻の利香子さん)。それが失敗に終わったので、第二のステップとして殺害に着手した。Uさんのご主人も同じ方法で殺害されてることを考えると、そちらも教団側からもちかけた話かもしれない。また「拝んで呪い殺す」なんて噂の立ってる宗教だから、別の信者の周りでも死人が出てる可能性は十分ありうる。


教団主導だと思わせるヒントが無いこともない。それが、例の《カマキリ》。劇中、カマキリがこれ見よがしに3回も登場する(「事実を積み上げることが必ずしも真実に結びつくとは限らない…」という締めの映像も含めると4回)。まず、【1度目】。今一番好きな昆虫はカマキリだと答える元気君。理由は「鎌がカッコイイから」だそうだ。【2度目】。画用紙に×印をいっぱい書いてる元気君の傍にカマキリの入った虫かご。スタッフが問うと、「大きいのがメスで小さいのがオス」と答える元気君。そして【3度目】。引っ越し先で例の虫かごを見かけるスタッフ。1匹しか入ってないので理由を問うと「大きい方が小さい方を食べちゃった」と答える元気君。


カマキリのメスが交尾後、出産に備えオスを食べてしまうという習性を持ってることは広く一般に知られている。よって、雌雄つがいのカマキリが出てきた時点で「ああ、これは奥さん(利香子さん)が旦那(仁志さん)を殺す話なのか」ということは理解できるわけで、わざわざ子どもに解説までさせて、何度もだめ押しする必要はない。奥さんが旦那を殺すヒントはそれ以外にも散りばめられてるわけだし、雌雄のカマキリの登場は【2度目】の1回でやめとくか、恐怖演出としての効果も発揮してる【3度目】との2回で止めておくべき。【1度目】に至ってはやりとりも不自然だし、3回も出てくるとはっきり言ってクドイ。締めの映像も含めて出しすぎなのだ。そのせいで、これまでに本シリーズを見たことのある人に「ヒントがあからさますぎる」というマイナスな印象を与えてしまってる。


これまでのシリーズが必要最低限のヒントしか与えてこなかったことを考えると、「何故こんなにカマキリを登場させるのか? 何か裏にもうひとつ真実が隠されてるのか?」と深読みしたくなるのが人情ってもの(笑)。そもそも教団が掲げる「×」印、教団は何故これをシンボルにしてるのか? このシンボルはいったい何を表してるのか? ひょっとして「×」印と「カマキリ」には何か関係があるのでは? いま一番好きな昆虫は「カマキリ」だと語る元気君。彼がカマキリを好きになった理由も教団と何か関係があるのではないだろうか。メスがオスを食い殺すことで知られるカマキリ。旦那が妻に殺される事件が2つ。そのどちらもが教団主導の殺人だとしたら、、、と考えると見えてくるモノはひとつだが、これ以上の妄想は不可能。せめて死因偽証に協力した医者が「女」だったら「カマキリ教団」と確定しちゃうのに(笑)。 


妄想はここまで。



今回は意味ありげな映像が多すぎていくらでも脳内補完できるのが「推理モノ」としてはマイナスポイント(「恐怖モノ」としては『放送禁止2』を見てないのでなんともいえない)。一見楽しそうに見えるが、考えても考えても妄想の域を出ないというのは、労が多い割に徒労感ばかり募り逆につまらない。その点、『放送禁止3』はほんとによく出来てた。まるで一人でやるオセロのよう。現在、板の上はほぼ「黒」で占められてる。しかし最後の一マスに「白」を置けばこの列もこの列も全て全て「白」にひっくり変える。どうする? 「黒」を置くか「白」を置くか、うーん迷うぞー!っていうのが楽しかったんだ。それに比べると、今回は白黒ぐちゃぐちゃ何でもアリ。最後の一マスに白を置こうが黒を置こうがたいした違いはない。


あと、やっぱり惜しいなと思うのが、合間に挿入される「体験者や有識者の証言」「実際のデータ」の使い方。「隣人トラブル」に関する証言やデータが本筋にほとんど絡まず、ドキュメンタリーっぽくみせるためだけに存在してるのが物足りない。あれだけ「騒音によるトラブル」が強調され、本編でも「大音量で流れる狂言テープ」や「子供」を出してきてるのに、「騒音問題」が全く絡んでこないのは如何なものか。せめて妄想する余地ぐらいは与えてくれよ(苦笑)。いや、一瞬は妄想したけどね。元気君が元気すぎるためにお隣のUさんがうるさく思って嫌がらせを始めたんじゃないかとか。妄想したといえば、お隣のUさんがなかなか姿を見せず、「嫌がらせはいつも主人が居ないときに行われるんです」と利香子さんが証言、その後カメラの前に初めて姿を見せたUさんの顔がぼやけてよく分からなかった時点で、「もしかして既にUさんは仁志さんに殺害されており、まだ生きてると見せかけるために仁志さんがUさんに変装して嫌がらせを続けてたのでは!?」と一瞬だけ妄想した(その直後にちゃんと顔が映ったので、妄想はあっという間に否定されたけどね…残念)。



さーて、次回はどんな手でくるやら。個人的には「恐怖モノ」と「推理モノ」と交互にきて楽しませて欲しいので、次こそは「推理モノ」でお願いしたい。


【関連】


「放送禁止」シリーズ関連過去記事一覧


*1:利香子さん・Uさん・医者は同じ宗教の信者という証拠映像→仁志さんが現在浮気しているという証拠映像→Uさんのご主人と同じ方法で毒殺されたと思われる証拠映像→仁志さんの毒殺には利香子さんも関与してるという証拠映像

*2:「懺悔せよ」「裏切り者に死を」

*3:これは仁志さん自身が認めている。

*4:窓ガラスが割られた直後にかかってきた電話がそれ。仁志さんではなく息子が出たのですぐ切った。

*5:Uさんと和解した直後に携帯にかかってきた電話がそれ。

*6:具体的には語られてないが、仕事してるそぶりはないので専業主婦で間違いないと思う。