最近観た映画、『逆境ナイン』『闇を見つめる羽根』他

逆境ナイン
近所での上映が終わるというので10日ぐらい前に観に行きました。「こ、これが逆境かーー!」 この台詞、今後様々な場面で使わせて頂きます(笑)。どんな逆境もこの一言で乗り越えられる気がする。やっぱり「発声」は大事ですね。荒唐無稽なスポ根映画ほど、きちっと声の出る役者揃えないと説得力にかける。今回は主役の玉山鉄二を始め、藤岡弘、やら坂本真やらライバル校のちびっこキャプテンといいバッターといい、ポイントで出てくる脇役も皆、声優並みにちゃんと喋れる輩だったので気持ちよく観れました。冒頭からずーーーーっと濃くて暑い、暑苦しい。あまりに暑いので暑さダレしちゃったけど、決勝戦で不屈が復活した「恋に恋して恋気分」あたりからは、ぐぐんと音楽のバリエーションも増え、演出にもガチッとはまり、「ああ、やっぱり“暑苦しい”って素敵だね」と思いました(ってどんな感想よ。笑)。
早いとこ堀北真希主演でアイドル映画撮るように! 岡本孝子の『夢をあきらめないで』がこれほど似合うアイドルがかつていただろうか。ビジュアルの旬は一瞬で過ぎ去ります。『渋谷怪談2』を越えるアイドル映画を何卒、なにとぞー。。。それにしても、これ1作で玉山鉄二がいつもの涼しげなイケメン俳優に戻ってしまうのかと思うと、非常に残念。これ1作であの声も封印なんてことのないよう、業界関係者はじゃんじゃか仕事回すように。


『心中エレジー
映画を1800円で観たのは何ヶ月ぶりだろう。それに見合う作品だったら良かったんだけど、途中からちぐはぐになり、何がやりたいのかよくわからなかったです。収穫は、画が好みだったのと、主演の眞島秀和塚本晋也リリー・フランキーがトップに君臨する私の個人的な「いい男声ランキング」に食い込む“いい男ボイス”の持ち主だったことかな。


マリといた夏
結局『ターネーショントークショーはやめて、こちらに行くことにしました。韓国アニメって断片的にしか観たこと無いんだけど、私が韓国アニメ好きだったら『マインド・ゲーム』並みに大プッシュしてたと思う。日本アニメ(特にジブリ)の古き良き部分を残しつつ、そこから独り立ちして、オリジナルの映像世界を構築して魅せた良作。高畑勲が誉める理由もよくわかる。アニメーション好きの友達誘ってもう1回観に行こうかな。イ・ビョンホンのファンしか観ないのは勿体ない。


『シンキング・アンド・ドローイング』
すっかり忘れてたんですけど、イメージフォーラムで木、金、土の3日間、『シンキング アンド ドローイング』と題した日本の若手アニメーション作家の短編作品上映会が行われていたんです。個人的に絵柄が好みだったけど未見のままだった辻直之監督の木炭画アニメ『闇を見つめる羽根』*1も上映され、本人もトークショーにくるというので観てきました。やばい、私この人の作風というかアニメーションの動きがたまらなく好きです。作家の頭を離れ、絵自らが意思を持ち勝手に動き出しそう。気持ち悪い。上映前のトークショーで「物語をきっちり作って見せた方が観てる人には伝わりやすいんだけど、それだと木炭画でやる必要があるのかなと思って。絵コンテをきっちり作らず、自分のバイオリズムにあわせて作る方が合ってる気がする」と語っており、実際に作品を観て納得。絶対、その方がいい。諸星大二郎の描く人間の形をとどめない異形のモノたちが動いたらきっとこんなだろうなあっていう動きだから。(関連:新星アニメ作家・辻直之 カンヌ国際映画祭凱旋上映


*1:宮崎淳監督『FRONTIER』と共に昨年のカンヌ映画祭に出品された作品。