『犬猫』を観た(@シネ・アミューズ)

12/25(土)からモーニングショーに変わってしまうということで、慌てて時間作って行ってきました。客は20人ぐらいで、意外にもほとんどが男性(しかもアイドルおたく風ではない)。年齢層も20〜40代ぐらいまでと幅広く、これはいったい誰効果なんだ?(謎) 

犬猫 [DVD]

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映画の詳細は以前の日記を参照。んで、感想だ。


これは良かったです! 延々と綴られるどこか見覚えのある日常に、笑ったりうなづいたりしながら、ほんわか日向ぼっこな気分。このまま最後まで行くのかとおもいきや、ふいに起こるドラマチックな展開に予期せず泣かされたり…。予告見ずにちらしのイメージだけで観に行ったけど、写真から受けるイメージと実際の役柄が逆でねー(笑)。しかもこれが見事にハマッてるんだから不思議だ。


幼なじみのヨーコ(榎本加奈子)とスズ(藤田陽子)。根が似たもの同士であるふたりは、好きなモノや男の好みも一緒。でも性格は正反対。クールで聡明、しっかりもの、だけど好きな相手にはなかなかアプローチできないオクテで頑固で不器用なヨーコに対し、オシャレで明るく天真爛漫、料理上手で世話好きで、気に入った相手には臆することなく自然にアプローチできちゃうスズ。昔からヨーコが好きになる相手は、みんなスズの方を好きになる。離れても再びどこかで繋がってしまうくされ縁な二人が、ひょんなことから同居生活を始めるわけだが、延々と続きそうな何気ない日常に波風立てたのは、やはり「男」だった。。。


写真だといまいち伝わらないが、藤田陽子演じるこのスズちゃん! タッキーによく似たボーイッシュな外見とは裏腹に、めちゃめちゃむちゃむちゃカワイイのだ。モテモテなのもよくわかる。何故写真だと伝わらないのか…。それはこの子のかわいさの80%が「声」「言葉選び」「喋り方」からきているせいなんだな(そこら辺は『犬猫』の予告編で垣間見れます)。飼い猫を呼ぶときの「むーちゃーん、おばーかちゃん」といった言い方や、数々の独り言。彼女が喋ると周囲の空気がほんわかなごんで、非常に心地いい。しかも、ご飯作ったりお茶入れたりとかいがいしく世話をやく姿なんて、夏休みに帰省してきた孫に世話やく田舎のおばあちゃんのよう。痒くないところまで手が届く。ぶっきらぼうなヨーコちゃんと、日当たりのよい縁側でお茶を飲む姿なんて、長年連れ添ったじーちゃんばーちゃんといった雰囲気で(写真じゃあんま伝わらないんだけどね…汗)、男の趣味さえ別々だったら、こんないい子は居ないのに。。。切ないですよ、運命ってやつは。


この先、ちょびっとネタバレかも


一方、榎本加奈子演じるヨーコちゃんは、キュートで人懐っこいスズに比べると、女の子としての魅力がちと劣る。話すとそうでもないんだが、モサッとした服装や黒縁メガネのせいで、一見すると暗くお堅い感じ。隙が無い。だから二人並ぶと一目瞭然なんだな。ヨーコちゃん、ごめん。私が男でも付き合うならやっぱスズちゃん…(汗)。「どうしてあたしじゃダメなの?」って言われたって、そりゃあ元カレも口篭もるがな。でもだがしかし、恋する乙女は頑張るのだ。好きな男の子にアピールするため、いつもジーンズなのにワンピース着てみたり(コーディネートはめちゃくちゃなんだが…汗)、メガネをコンタクトに替えてみたりと、ほんと健気でいじらしい。だけど相手には全然通じないどころか、会って半日のスズにあっさり男心をもってかれる(涙)。「あー、またか。またスズか」って、物にあたるぐらいしかできないヨーコちゃん。その姿が切なくていじらしくて愛しくて…。腹いせにちょっとしたウソついて、怒ったスズにワインをかけられた直後の寂しげな表情見たら、「誰かヨーコちゃんのとこ行って、ギューッてしてあげて」と叫び出したい感情でいっぱいになった。いやね、このシーンはほんと不意打ちで、まさか『犬猫』に泣かされるとは思ってもみなかったもんだから、涙がこぼれ落ちるまでまったくの無意識。映画観て泣く時って「やばい! この展開泣く!」って予感があるのが普通で、涙が目のふちに溜まってるときにふき取るぐらいの余裕があるもんなんだけど、今回はそういうのがまったくなくてねー。あまりに思いがけずキレイに泣けてしまったので、「泣く時に涙こらえないと鼻水にならないっていうのは本当なんだなー」なんてヘンな感慨に浸ってしまったぐらい。しかしほんともう、何が切ないって、スズちゃんの「女の子」としての魅力が圧倒的なんだ。同じ土俵じゃ絶対勝てない。ヨーコちゃんだって、美人だし、カワイイし、いい子なんだけど、スズちゃんは別格なんだぁ。。。ヨーコちゃん、いつかヨーコちゃんにもいい人が現れるから。


ネタバレ終了


そんでもって、実はまあ、何が一番ツボだったかというと、食事シーンだったりする。「お腹が空いた」と騒ぐ榎本加奈子が元カレの家で食したのが、食パンの上にハムを乗っけてマヨネーズをたっぷりかけたやつ。自分も子供の頃、小腹が空くたびよく作ったけど、あれは美味いんだ(笑)。できればパンを半分に折って、マヨネーズをハム全体にぬりたくってから食して欲しかった(加奈ちゃん、育ちの良さが出ちゃったね)。ちなみに、食パンにとろけるチーズをのせて、余白にマヨネーズをたっぷりつけてトースターで焼いたのも美味かったりする。あと、育ちの悪さが非常に出ており、私もあれをやったことがあるとは大ぴっらに言えないのが、カレーをおたまで食べるってやつ(笑)。皿によそったご飯量に比べ、思いのほか、作ったカレーの残りが少なかった時というのは、おたまに残ったわずかなカレーも無駄にはできないものなのさ。いまは、カレーが少ないことに気付いたら、フライパンで炒めてカレーチャーハンにするという技を覚えたので、そんな行儀の悪いことは断じてやっておりません!


映画が終わって気持ちよくロビーに出ると、数人の男性陣が食い入るように『犬猫』のインタビュー記事に見入っていた。なんだかちょっと嬉しい。上映中も、あちこちで笑い声がもれてたし。いったい、どの辺りが一番ツボだったんだろうなあ。。。


追記(2005/1/4付)
現在、劇場で配布されてる「犬猫新聞:号外」に、ここにUPした感想の短縮バージョンが掲載されることになりました。他の方の感想も多数載っていると言うことなので、劇場で見かけた際にはお手にとってみてくださいませ。