黒坂圭太『みみず物語』を観た(@アップリンクファクトリー)

16日から始まった短編集『ミニマル・アニメーション』を観てきました。アップリンク・ファクトリーに来たのは初めてだったんだけど(なんせ公式の地図を見ると道に迷いそうで倦厭してた…汗)、ミニパラの格段に分かりやすい地図をGETできて一安心。思った以上に狭く(ビルの一室って感じ)、劇場と言うよりは上映会のためのイベントスペースですね。客は20代を中心に15人ぐらい。


上映作品は以前の日記を参照。


あまり好みの作品はなかったんだけど、私的にもっともヒットしたのは、今回一番のお目当てでもある黒坂圭太『みみず物語』。これはねえ、ダントツに面白かった。すごく笑えるし、映像に関しては想像をはるかに越える素晴らしさで、観に来て良かったあ(嬉)。一応、「うさぎとカメ」よろしく、“ミミズとウサギがどちらが速いか競争する”というストーリーはある。ただし途中から、そんなことお構いなしに風景写真を使った映像の洪水が押し寄せてきて、これが、もう、観ていてたまらんですよ(嬉)。何度となく鳥肌立ちまくりで、だんだんと右の脳がムズムズしてくる。この人が浴びせてくる映像は、人が見た映像を再現してるのではなく、見た映像を元に脳の中で再構築された記憶映像の再現なんですよ。映像が流れてゆくスピード、唐突に割り込んでくる別映像などは、何かを思い出そうとして記憶を巡らしてる時の状態にすごく近い。自分の記憶の扉が何度となく叩かれるんだな。人物入りの風景写真などは、一度白黒コピーしたものを使ってたりするので、輪郭が黒く潰れて、人体と風景の境目があいまいになり、まるで諸星大二郎の世界。それでいて観終わった後に去来する感情は、楳図かずお『14歳』最終回を読み終えた時と同じだったりするから、「いやー、黒坂さんってもしかして天才か!?」と思わず叫びだしたくなりました(笑)。


やっぱ映像を前に進めるのは「瞬き」だよ、「瞬き」。



帰り際に早速ビデオ「黒坂圭太作品集」を買う(そんなつもりなかったのに…)。22日にアニメーション制作の実演会があるんだけど、行きたい。でも、行けない(鬱)。