日テレ実写版『火垂るの墓』を観る

久々の号泣ドラマでした。もう、清太(石田法嗣)と節子(佐々木麻緒)の配役がドンピシャで(声までアニメとそっくり!)、二人観てるだけで泣けてくる。石田法嗣はだいぶ身体絞ったんじゃないか? 心配してた台詞回しも今回は上手くなっており、台詞の量が多いにもかかわらず安心して聞いてられた。清太の背景が更に詳しく描写されたことで、彼の幼さ、未熟さがアニメ以上に浮き彫りにされてたと思う。戦時下を子供だけで生き抜くにはお坊ちゃんすぎたんだよね。なんか余計に辛くなってきた。


正直な話、二人がいなかったらこのドラマ、全然ダメだわ。どっからどう見ても画が「現代」だし、もうちょっと映像マジック使えなかったのかよと。脚本も演出も微妙だし(東弥Dに普通の戦争モノは無理だったか…)、あの展開で「死んだら負け!」ってもうちょっとなんとかならんかったのか。本末転倒なことかもしれないが、叔母さん(松嶋菜々子)を必要以上にいい人に見せようとしたことがドラマのまとまりを悪くしてる気がしてならない。普通の人でよかったのに。嫌な人(アニメ版)にいい人(オリジナル脚本)の側面をむりやりくっつけた感じで、キャラクターの整合性が微妙にとれてない気がした。松嶋菜々子を使うなら、普通の人が追い詰められてエゴ丸出しになってゆく様を無自覚に演じさせといた方が良かったなあ。「あえて心を鬼にして」とかそんな演技はいらない。清太にさらっと嫌み言うときの冷めた目つきや声色は悪くないんだが、善人演技からちょっとした飛躍があって悪人演技に移るもんで、なんであの優しかったおばさんが兄妹にだけこんなことするのかあまり伝わってこない。彼女の演技力だけに頼らず、もうちょっと脚本と演出でフォローしてあげるべきじゃなかったのかと思う。エンドロールに流れる外国の子供達の写真も本編から浮いてたし(せめて現代パートでそれにちなんだエピソードでも絡めてあれば受け止め方も違ったんだろうけど…)。


今回の実写化は清太(石田法嗣)と節子(佐々木麻緒)、この二人が見れただけでも価値ありとしておこう。