PFF前夜祭『死者の書』トークショー、宮台真司(@渋谷東急)

上映前に宮台真司によるトークショーが行われました。といっても、司会抜きだったのでゼミの講義を受けてる気分。意外な人選だったけど、「人形アニメ折口信夫の両方に詳しい人」ということで決めたらしいです(主催者・談)。


人形好きで、自身も人形を何体か持ってるという宮台氏。川本さんやイジートルンカ等の作品もほとんど観てるし、人形劇の上演にもよく足を運んでるということで、人形の良さ、人形だからこそ表現できるものについての持論を展開し、その内容から映画の感想を遠回しに悟らせるという高度な技に出てました。宮台さんのトークショーって初めてだったけど、これをいつもレポしてる宮台ウォッチャーの皆さんはすごいと思った。2字熟語とか横文字が多くて、言葉を知らない自分には覚えにくいと言うか、非常にアウトプットしにくいトークショーです(汗)。でも、かなり面白いこと言ってたんで、かろうじて覚えてるとこだけ断片的に・・・。

  • 「いい人形」とは、その周りに世界が見える人形だ。それも、目にした瞬間、自分の周りの世界がひゅっと消えるぐらいの。
  • 折口信夫の話になり)天皇は神を降ろす“依り代”だった。
  • 「表現」とは、何かを人に伝えること。叫ぶ、喚くといった行為は「表現」ではなく「表出」。その行為だけでは、何を伝えたいのかは分からない。しかし稀に、「表出」してるだけにもかかわらず、周囲に何かわけのわからないものが伝わる(伝染、感染する)ことがある。
  • 人形は、人と人との間で交わされる「叙情」より、その周りの世界、すなわち「叙事」を伝えるのに適している。
  • 人形は動きに制約がある。もし、人間のように細やかな動き、表情を作れるようになったら、そこには情緒や叙情が入り込んでくる。しかしそれについて人間と同等以上のものを人形は表現することができない。人形は「不自由」だから良いのだ。「不自由」だから、人はそこに叙事的な世界を読みとるのだ。
  • 説明のつかない訳の分からないものを、観てる者に読みとらせ納得させるチカラが人形にはある。
  • 観客の「読みとるチカラ」も大事。
  • 以前、ある劇団の人形劇を観に行った。その劇団にしては珍しく現代劇だった。スケジュールの都合で観に行ったのは千秋楽間近。周りの評判は良かったが、正直、出来は・・・。劇団の主宰者から感想を求められたので、「ボク的にはダメでした。人形がやる意味がない」と率直に答えたところ、後日、ものすごい分厚い手紙が来た。反論かと思いきやそうではなかった。「元々今回の作品は、脚本段階で一度、無理だと思って破り捨てたものだった。しかし契約の問題等で中止にすることはできず、なんとか形にして上演したところ、評判はとても良かった。だから、宮台さんからダメだと言われた時、ちゃんと観れる人がまだいたんだと嬉しくなった」という内容だった。
  • 荒唐無稽なことほど、人間より人形がやった方がよい。


とりあえず、こんなとこです。思い出したら書き足すかも。