映画版『OUT』とドラマ版『OUT』

録画してあった映画版『OUT』を観た。これについては原作→ドラマ→映画の順での視聴となったわけだが、原作やドラマが、平凡な日常から抜け出す女の生き様をハードボイルドにカッコ良く描いてたのに比べ、映画はブラックでコミカルな味付けにしてしまったがために、どこまでも平板でスカッとしない。キャスティングが予想外にダメで*1、特に雅子と師匠は映画版(原田美枝子倍賞美津子)よりドラマ版(田中美佐子渡辺えり子)の方が適役に感じた。師匠を見比べると、身から染み出る生活感って大事だなと思える。死体解体と弁当調理がシンクロしない。弁当工場のあのなんともいえない不気味さが伝わらない。平凡な主婦が鬱屈した日常から一転、死体解体業にはまり生き生きしてゆく様、佐竹や警察に追いつめられる緊迫感、追われる快感、なーんもなかった。安川さんの音楽も今回は・・・。


唯一良かったのは、死体解体シーン。でもドラマ版の方がもっともっと血の臭いがした。


ハリウッドは中田秀夫監督に、原作と映画、どちらの『OUT』をやるせるつもりだろう。


*1:聞いた時はハマリ役だと思ったんだけどな、私の脳内では。