『君たちはどう生きるか』の簡単な感想

ネタバレがコワくて大入り満員の映画『君たちはどう生きるか』を観に行く。この作品のネタバレ許容ラインが全然わからないので感情に訴えない温度の低い感想を。


団塊世代に説教されるつもりで観に行ったら、タイトルの“君たち”は私のことではなかった(宮さんて作りながら話を考えてくタイプだった気がするけど、制作に関わったスタッフはどこで気づき、先の展開が明らかになるにつれどう思ったのだろうということがとても気になったので、NHKさん、頼んだよ!)。アート表現ていう土俵だとやっぱ高畑勲には敵わない(自分では描けない人と自分で描けちゃう人の違いなのか)。終盤に出てくるアレを観て「ば●●●」を思い出したのは私だけではなかったのか(メッセージ性の強いタイトルなので実はダジャレだったらどうしよう)。佐々木蔵之介みたいな父親が出ていたが声が佐々木蔵之介ではなくて終始戸惑う。ただ、少年の歩き方は父親を演じた俳優さんの歩き方に似ており、彼が演じるのは必然なんだと思う。キャラクターのルックスが少年の心象に合わせ変化してゆく様が好き(映画『ゆれる』みたい。あれも後半は“弟から見た兄”しか出てこない。兄は何も変わってない。弟から見た兄が醜悪に見えるだけ)。私は『コクリコ坂』が好きで、吾朗ちゃんもきっと作風的には高畑さんの方が肌に合ってるはずなのに宮さんみたいなファンタジー路線を求められるのはどうなんだろうと思ってたんだが、『君たちはどう生きるのか』を観て意外と『ゲド戦記』を思い出したので戸惑っている。(あの怖くて不安で気持ち悪い場面はいつも誰が担当してるのだろう。宮﨑駿作品にも出てくるとは思わなかったが同じ人だよね?)。キャラクターの動きは見ていて飽きない。近年のジブリ映画で不満だった「少女は強いけど少年キャラがひ弱で救われない」点が解消されていたのはとてもよかった。



「結局、当初原作とされてた『君たちはどう生きるか』てどういう内容だったの?」「この映画にはどの程度反映されてるの?」という興味が出たので、出版社はいまが売り時だと思います!




そういや、スタジオポノックの新作『屋根裏のラジャー』の制作が延期されたのは『君たち〜』を手伝っていたせいだったことをエンドロールで知る(苦笑)。上映前の予告が私の好きそうな感じに仕上がってたので12月が楽しみ(早くYoutubeにも最新版をUPして)。今度こそポノック短編集並みにジブリ印を脱却してほしい。