『下妻物語』を観た(@シネクイント)

昨日、仕事が休みだったので、安料金で見れる平日初回に行ってきました。客は40人ぐらい。7:3で女性の方が多し。客層は10代後半から20代が中心で、平日のせいかカップルは少な目。なんか、スクリーン右手の暗がりから、変なパンダ(?)が客席をじーっと覗いててビビッたです(汗)。


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映画の詳細は以前の日記を参照。原作は未読。んで、感想。



本作が、普段こんな映画観ないだろっておやじさん達にまで幅広く絶賛されてる理由がいまいちよくわからないんだけど、ロリータはともかく、ヤンキー文化にヒットする世代ってのが想像以上に幅広いということなんだろうか。映画は最初から飛ばしまくりで、気が付けばあれもこれも伏線だったってもうお見事としか言いようのない出来に笑ったし泣きました*1深田恭子土屋アンナが実にベスト・キャスティングで、この二人が同じ時代に生まれてくれてホントに良かった。しみじみ思う。二人とも漫画から抜け出てきたみたいだね(でも原作は漫画じゃないんでしょ? それが不思議)。


私が高校生になる頃、ヤンキー文化は終焉を迎え始めてた。高3にもなるとミニスカの波に飲み込まれてたから、ひと世代下あたりじゃ、完全に「ヤンキー=ダサイ」って図式が出来上がってたんじゃないかと思う。ヤンキー文化花盛りの頃は小学生だった。銀蝿、なめ猫、男の勲章、、、。リアル・ヤンキーに憧れることはなかったけど、テレビの中のヤンキーには憧れた。「不良少女と呼ばれて」「ポニーテールは振り向かない」「ヤヌスの鏡」、大映テレビが世に送り出した一連の不良ドラマを号泣しながら見てたせいで、「ヤクはやらねえ」「男は作らねえ」といった硬派なヤンキー描写にはすこぶる弱い(「花のあすか組」も好き)。土屋アンナ演じる“イチゴ”は、小学生の頃テレビで見てたかっこいいヤンキーの典型なのさ。彼女の言動、純情で一本気な性格は、見ていて清々しく、惚れる要素満載だった。イチゴが憧れるレディースのリーダー“亜樹美さん”(小池栄子)の登場シーンもめちゃめちゃかっこよかったなあ。中島監督はツボをよく心得てる。このシーンは予告でも流れてたけど、本編のあの文脈で見せられると尚更だった。一目惚れに値する貫禄と風体だよね。ただ、小池栄子は声がダメ。優しすぎて『茄子〜アンダルシア』なのが勿体ない。他にもヤンキーねえちゃんいっぱい出てきたけど、腹の据わり具合は土屋アンナがダントツだった。喋り方も歩き方も全てが素晴らしく自然体で様になってた。タイマンはった矢沢心は完全に眼が押されてたもん。ほんとのヤンキーは総じて声が高いものだが、負け犬の遠吠えみたいで迫力無いから、ハスキーボイスのままで正解だったと思う。


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そして今回、一番驚いたのが深田恭子。ものすごい久しぶりにフカキョンを心の底からカワイイと思った。いや、前からかわいかったけど、魅力は感じなかった。自分にとって彼女が女優として一番魅力的に見えたのはドラマ『それが答えだ』あたりだけだから。特に近年は、何故にホリプロがいつまでも深田恭子に拘るのか理解に苦しんでいたぐらい。『下妻〜』で映画の主役をやるって聞いた時も「監督、アホだ」と思った。予告初見時には「ロリータならいつもよりマシか」と思いながらも、主役とは名ばかり、絶対絶対、素でヤンキーな土屋アンナに食われてるはずだと信じて疑わなかった。ところがどうした。蓋を開ければ全然そんなことなかった、、、ってのは、すまん、言い過ぎた。さすがに前半は「やっぱ土屋アンナだろ」って思ったが、最後にフカキョン、ちゃーんともっていきやがったよ。「いつまでデブってる気だ」「やる気ないなら佐藤仁美に道を譲れい」などいろいろ罵倒してごめんなさい。今回ばかりは撤回します。ロリータは太ってなきゃダメ! 今となっては、メルヘンチックな夢見る乙女キャラ、そしてぷくぷくした二の腕のお肉、全てが必然に思えてしまうぐらい“竜ヶ崎桃子”は深田恭子以外にあり得なかった。かわいかった。貫禄あった。しかも(これが自分にとっては一番意外だったのだけれど)土屋アンナを従え、いつもよりちょっと大人びた顔つきでヤンキー姉ちゃんを自信ありげに睨みつけるフカキョンを見てたら、いつものようなかわいこぶりっこじゃない、もっともっと“カッコイイ役”をどんどん彼女にあてがってみたくなった(それも無性に!)。もちろん実際に出来るかどうかは別の話だが(笑)、ビジュアル的にはクールな役もいけるよ〜、彼女は。


内容については語り尽くされて今更語ることもないけど、これだけは言及したい。映画の中で、イチゴが桃子の生き方を真っ正面から肯定しすげー奴だと褒め称えたこと、これは原作がそうなの? 正直、これを言ってのける感覚はスゴイと思った。ただ、世のマイルールちゃんたちが勘違いすると困るので「キミたちは桃子とは違うからね。キミのことを肯定してるわけじゃないよ」とだけは言っておこう。


女の子がすこぶるカッコイイ、素敵な青春映画でした。シネクイントでの上映は8/6(金)まで。


追記:久々に見る“なめ猫”はやっぱりかわいかった
http://homepage2.nifty.com/4986-MPH/nameneko.html

*1:「ヒミコのネタ元が実は…」ってのはさすがにやりすぎな気もしたが。