『恋する幼虫』を観た(@テアトル新宿)

昨夜、レイトロードショー中の恋する幼虫と、その後に行われたオールナイトイベント“愛の井口昇劇場”に行ってきました。眠気が襲う前に一気に書き込むぞ〜!



恋する幼虫』の客の入りは50〜60人ぐらいで、客層は20〜30代の男女半々といったところ。映画の詳細については過去の日記を参照されたし。

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そもそもこの映画を観に行こうと思ったきっかけは、“帰ってきた刑事まつり”の1本として上映された井口監督の『アトピー刑事』、および藤田秀幸監督が大人計画のメンツで撮った荒川良々主演映画『イヌ的』、この2本がどちらもすこぶる面白かったからである。本作はその両者、監督・井口昇と俳優・荒川良々の魅力が見事に掛け合わさった作品に仕上がっていました。井口作品を観るのはこれがまだ2本目…ということもあるのかもしれないけど、とにかく観ていて先の展開が読めない。「そう来るのか、おい!」という方向へどんどんどんどん話が転がってゆき、最後はすんごいとこに着地する(笑…ラストのあれは『グーニーズ』のスロースを思い出すな)。オールナイトイベントで他の作品も観たが、今のところ自分の中ではこれが井口監督のベスト! まともなキスシーンすらないくせに、裸&絡み満載のエロVシネマで撮ってるときより、遙かにいやらしく官能的。人が嫌み言ったりねちねち叱ったりする時の台詞は、どれもいや〜な感じにリアルで、全体的にテンポもギャグもいい。キャストがとにかくハマっていて、やりとりのひとつひとつがほんとに可笑しい。


『イヌ的』の藤田監督もそうだけど、荒川良々を被写体にすると、何故みんな彼の顔をフューチャーしたがるのだろう…などと愚問を吐いてみる(笑)。良々くんは感情を顔に表すのがうまいというのか、隠しても出ちゃうというのか(笑)。嘘つくのヘタそうだよなあ…。監督はできるだけ役者の表情を素に近い感じで撮りたいと言っていた。脚本を書く時は大概当て書きなので、「この俳優さんならこういう時こんな表情をするだろう」というのを思い描きながら書いているため、そのとき想像したのと同じ表情が本番でも欲しいんだそうだ。


イベントで話していたけど、井口監督は女性の顔を撮るのがどうしようもなく好きなんだそうだ。また「女性の顔=綺麗なもの」というイメージがあり、その綺麗な顔の中に変なものが出来てしまうという設定に胸ときめくタイプだとカミングアウトしていた。ということはつまり、監督の理想をそのまま映像化したのが『アトピー刑事』や『恋する幼虫』のヒロインということになるのか。ふむふむ。劇中、荒川良々演じるエロ漫画家のフミオが、漫画の中での女性の描写について、カズエ(新井亜樹)に「読者に伝わりにくい」とクレームつけられた時に返した言葉などは、監督が日々思ってることなのかもしれない。