Nana Produce vol.22『熱風』を観る(@サンモールスタジオ)

新宿サンモールスタジオでNana Produceの舞台『熱風』(演出・寺十吾 作・高木登)を観た。ナナプロでのタッグは2019年の『レネゲイズ』以来2度目(新興宗教団体を舞台にした話で、たまに台本読み返してる。これも配信か再演してほしい)。

Nana Produce Vol.22「熱風」
2025.4.4(金)~4.8(火) 会場:サンモールスタジオ
作:高木登 演出:寺十吾
出演:瓜生和成 田崎那奈 奥野亮子 依田啓嗣 杉本有美 堀口紗奈 / 小出恵介
風が吹く
あなたとわたしのあいだに
彼と彼女のあいだに
わたしとあのひとのあいだに
あなたとこのひとのあいだに
冷たい恋と凍えた愛を吹きあげて
熱い風がわたしたちを壊していく


鵺的がひとまずお休みに入り、高木さんの作風にも変化が出るのでは?と思われたこともあって、序盤はどんな方向の作品になってゆくのかしばし見当がつかなかった。↑に記したちらしの文言も読んでなかったので「何が『熱風』なんだろう」と探りながら観ていると、陰影の多いシリアスな照明とは裏腹に「あれ? もしかしてコメディ? 人情喜劇をやるつもりなの?」とだんだん気が緩み(これはひとえに小出恵介くんと、私が鵺的と共に毎年観劇してるラッパ屋の『コメンテーターズ』に客演し“子供部屋おじさん”役を好演した瓜生和成さんのせい!)、会場の笑い声が一気に増えたところで投げ込まれる時限爆弾に「ああ、、、いつものでした」と再び気を引き締めなおす。そこからの伏線回収と、私が三度の飯より大好きなめくるめくマウントの取り合い、梯子はずしからの立て直しと次々移り変わる主導権にニヤニヤが止まらなかった。『フォトジェニック』以来(?)の下からマウント取りに行く奥野亮子さんにはニンマリ。


ただね、気難しくていけすかない親父だと思ってたお父さん(瓜生和成)も、話が進むにつれだんだん愛着が湧いてきちゃって、劇場を出て家路へと向かう道すがら、あのラストからどうやったらこの家族が【再生】できるのかずーーーーっと考えた。でも上手くいかない。今回ばかりは上手くいかない。陽の光に照らされた娘ちゃんの横顔が拒むのよ。(公演が終わったらもうちょい追記)


にしても、あのセットは画期的だったなあ。上演は4月8日まで。
Nana Produce『熱風』公式サイト
https://x.com/ProduceNana



↓こちらがインタビュー。小出くんの役柄について詳細に語られています。観てるこちらの印象と、寺十さんが台本を読んで感じた印象が割と同じだった。



公演が終わったのでもうちょい追記。

ただ思考は全然まとまってない。↑上のインタビューで寺十さんが「グニャグニャしてる」と表していたけど、皮膚の下に脂肪に守られたシコリがあって、力を入れて掴もうとすればするほどそれがぐりぐり動くのでうまく本体を掴めない感じ。妹のアキちゃんと娘のクミちゃんは筋肉質なので掴みやすい。クミちゃんが仕掛けた時限爆弾が最後に爆発し(『レネゲイズ』の冒頭みたいな物理的「熱風」なのかと思っていつ爆発するのかドキドキしながら観てた)、それによって事態は好転しそうな気がするんだが(熱風をより強い熱風で吹き飛ばす感じ?)、その場にクミちゃんは居ないんだよね。クミちゃんだけが居ない。それが致命的。お父さんは頑張りそうな気がするんだが、クミちゃんは見ていない。でもクミちゃんはやられたことをやり返してるだけ。その結果は見ない、気に留めない、そう覚悟を決めれば、なんとなく流れてゆくし、それでもなんとかやっていける。


ん? 家族への執着を捨てる、っていう話? なのか? という宣言? と寺十さんが捉えたが故のクミちゃんの横顔?