都内新型コロナ陽性者数の増加推移と、海外での学校再開対策事例

今週めちゃ増えた印象だったけど、1週間単位でまとめたら先週とたいして変わらなかった。

陽性者数 主な出来事
5/15-5/21 59人
5/22-5/28 63人 5/25緊急事態宣言解除
5/29-6/4 128人 6/1学校再開
6/5-6/11 125人 街中に人出が戻る

この1ヶ月、数十人規模のクラスターとして認識されてるのは病院(世田谷/小金井)とホストクラブ界隈(新宿)。都は1日平均20人を休業要請基準としてるが、ここ2週間の感染者数は1日平均18人(10〜20人台)。昨日(6/12金)は25人、今日は22人と高めで推移してるが、日曜15人、月曜10人でおさまれば先週と同じ18人は維持される。緊急事態宣言前は週ごとに43人→142人→431人と増えていったが、400人越えるには1日平均57人(50〜60人台)の感染者が必要となり、現時点でそこまでの勢いはない。


↓こちらが緊急事態宣言前後の推移。

陽性者数 主な出来事
3/6-3/12 23人 欧州帰国者の感染発覚。夜の街クラスター発覚
3/13-3/19 43人 欧州帰国者の感染相次ぐ
3/20-3/26 142人 芸能人・スポーツ関係者の感染発覚。病院クラスター発覚
3/27-4/2 431人 3/30都がライブハウス・カラオケ・夜の街に自粛要請を出す
4/3-4/9 862人 4/7緊急事態宣言。都内感染者の2-3割が夜の街
4/10-4/16 1110人 病院クラスター相次ぐ
4/17-4/23 982人 家族感染が7割。夜の街感染は1割に減少

都の公表データをみる限り、保健所の調査がおいつかなくなったのが3/27(それ以前は発症日も公表されていたが現在はすべて「調査中」)。20人以下におさまってた1日の感染者数が3/25,26と2日連続で40人を越え、3/27以降から「調査中」がデフォルトとなり3/30に都の自粛要請が出されたという経緯があるため、自粛要請の目安20人ていうのは、保健所が余裕をもって追跡調査できる人数なのではないかと個人的には解釈している。


現在の陽性者数(約130人)は増加ペースの違いはあれど自粛要請が出る前(3/20-3/26 142人)と同程度。このまま同じように増加してゆけば2週間後には400人だが、そうなるためには1日50〜60人台の感染者が必要。現在の東京は1日20人台の日もあれば10人台の日もあるといった上がるのか下がるのかはっきりしない煮え切らない状態がじわじわと続いており、この状況から1日平均50〜60人に行くにはもう1ステップ必要な気がする。逆に宣言前は、たった1日で20~30人一気に増える現象が数日おきに繰り返されていて、週の終わりには倍に増えてる感染者数によって、ネットやマスコミが散々煽ってきた「2週間後はNY」が現実味を帯びてしまい、「いつになったら政府は緊急事態宣言を出すんだ?」という気分が一気に蔓延してゆく。

合計 主な出来事
3/20-3/26 11 7 3 16 18 41 46 142人  
3/27-4/2 40 64 72 12 78 67 98 431人 3/30(月)都内自粛要請
4/3-4/9 92 118 141 85 87 156 183 862人 4/7(火)緊急事態宣言
合計
5/29-6/4 22 14 5 13 34 12 28 128人
6/5-6/11 20 26 14 13 12 18 22 125人
6/12- 25 22

34人が出たときは「お!」て思ったけど、いまのような煮え切らない感じがダラダラ続く限りは「あ、またクラスターでちゃったんだ。しょうがないよねえ」で乗り切っていくんだろう。
不確定因子は、やはり「学校」かな。緊急事態宣言前と違い、今後感染拡大が始まったときに学校再開の影響がどの程度あるのか未知数。インフルエンザは学校内感染から親を通じて職場へと広まってゆくけど、新型コロナは拡大前に引き締めちゃったからよくわかんない。数値的にわかってることは、学校閉鎖で家族内感染が主体となる場合は10代以下への広がりを確実に抑えることができるということ(全体の3%程度)。また感染者数でみると、10歳未満は女子28人/男子40人、10代は女子55人/男子32人と男女間で随分差が出ているのが興味深い。


海外に目を向けると、集団免疫を目指したスウェーデンは3月18日時点で「高校以上閉鎖、中学以下は対象外」としていた。
スウェーデンは高校以上を閉鎖 中学以下は対象外 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
その結果がどうなったのか探してみたがたいしたものは見つかっていない。


↓こちらはストックホルム日本人会の報告
ストックホルム日本人会
5/6に「感染者の多い地区では、4月に半数の生徒が欠席し、3割の先生が体調を崩して休んでいる」というニュースがあったそうだ(感染して休んでるのか感染が怖くて休ませているのかは不明)。また自粛対象外とされながらも、親の指示で休んでる中学生以下の子どもは多いそうで、登校の是非が子どものいる夫婦の喧嘩の種になってるようです。川崎病の話題はでてるものの、子ども同士で感染が拡大してるようなニュースは特に出てないみたいですね。


↓こちらはスウェーデンで保育士をされてる方の話(4/23配信)。
スウェーデンのプレスクールの新型コロナウイルス対策とは?|保育士・幼稚園教諭のための情報メディア【ほいくis/ほいくいず】
3月中旬からとられてる対策は、「健康な子ども、保育士のみプレスクールに出席可能(熱・鼻水・せき・のどの痛みがある人は自宅にて静養し、快復後2日は自宅待機)」「手洗い、消毒、ビュッフェの禁止」「屋外活動の徹底」。当初は30人中5人しか出席しないこともあったが、職場で感染者は出ておらず、4/23現在は自主欠席は5名にとどまっているとのこと。


↓こちらはイギリスでの対策(5/12配信)
【解説】 イングランドの学校再開計画、クラスは15人以下に - BBCニュース
イングランドの場合、中学校以上は9月まで閉鎖するが、「レセプション(入学準備学年、4-5歳)」の児童と、小学校1年生と6年生は「最短で」6月1日から登校を再開。その後、小学校の全学年や保育所なども順次再開していく予定。対策として、「クラスを15人以下のグループに分け、それぞれのグループは登校中に別のグループと接触してはいけない。休み時間や昼食、登下校の時間もグループごとにずらす。マスク着用は特に推奨しない。こまめな手洗いと教室の掃除の徹底させる」とした。しかし教員労組からは無謀との懸念が表明され、多くの親からも心配の声があがり「行かせるかどうかは保護者に判断させよ」という署名が40万人に達した。一方、アイルランドスコットランドウェールズは「6月中の再開はありえない/可能性は低い」とし学校再開は夏休み明けの9月以降になる模様。
【英国】英、本格的な封鎖緩和始まる 学校再開や屋外市場の営業解禁(NNA) - Yahoo!ニュース
実際に6月1日より登校再開した結果、保護者の46%は引き続き子供を自宅にとどめると回答。教員の25%は自身もしくは家族の健康上の理由で欠勤すると答えているとのこと。


↓こちらは韓国での対策(5/20,6/8配信)と、韓国における若年層の主要感染経路(6/4配信)
韓国、高校3年生が授業再開 生徒「受験勉強しないと」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
きょう(8日)全学年の登校完了、校内での伝播防止に緊張感=韓国(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース
韓国では5/20より高校3年生、5/27より高校2年生、中学校3年生、小学校1~2年生、幼稚園、6/8より中1と小5~6年生の登校・登園を再開させた。韓国政府は学校に対し、登校時に児童・生徒の発熱検査を行うように指導。37・5度以上の熱や疑わしい症状があれば、隔離し、保護者に連絡するよう求めている。また「登下校時と教室内でのマスク着用を徹底。校舎の窓は冷房稼働時でも開放。感染が判明した場合は、すぐに全校児童・生徒と教職員を帰宅させる」としている。
学生70%、家族・塾で感染=学校の外が”より危険”=韓国|ニフティニュース
「韓国で5月以降に新型コロナウイルスに感染した18歳以下の小中高校生は70人で、主要感染経路は家族や塾など学校外だった。」となってるが、学校が始まったのは5月末なので、「塾」がダメなら「学校」も要注意な気がする。
韓国の新型コロナ対策本部(中央防疫対策本部)の定例記者会見(5/25)|yota8|note
小児の場合は感染力が弱いとみなされていたが、韓国での小児感染事例では小児も成人とおなじように家族や他人に感染しうるものであるとの見解。小児は成人に比べて行動範囲が狭いため、感染したとしても家族内感染にとどまることが多く、接触の範囲が狭いから感染が広がらないのであって、感染力が弱いからではないとしている。


ちなみに韓国の定例会見は日本とは違い感染経路がかなり詳細に公表されるため、情報として非常に参考になるし読み応えもあってオススメです!(↓こちらが翻訳サイト)