スタジオポノック短編劇場がすごかった!

スタジオポノック短編劇場『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』を観てきた。想像してた以上に意欲的で面白かった!ていうかすさまじかった! 川底に住むカニの兄弟(と思ってたけどカニカニで実物が出てくるのよね。謎)が自然界の弱肉強食を生き抜く米林宏昌監督『カニーニカニーノ』、卵アレルギーによりたびたびアナフィラキシーショックに陥る息子と母(声・尾野真千子)の絶え間ない緊張の日常と奮闘を『かぐや姫の物語』同様ソフトな絵柄とリアルな表現技法によって描く百瀬義行監督『サムライエッグ』、職場や社会での存在感のなさを透明人間になぞらえ、誰にも存在を認識してもらえない男の孤独との戦いと孤軍奮闘をダークかつ全カット見所しかないぐらいのすさまじい作画力で描き「なぜ、これを長編にしなかったんだ!」と西村Pに詰め寄りたくなる山下明彦監督『透明人間』の3本で構成されているんだけど、室内山岳映画ことアリエッティを彷彿とさせる『カニーニカニーノ』から始まり(アリエッティ同様、音響の空間設計がまるで河の中にいるようで心地いい)、続く『サムライエッグ』で「すげえな…。やっぱかぐや姫チームはただものじゃないな。あのダンス! あのアレルギー表現! そして卵アレルギーってこんなに大変なのか。私もアレルギー持ちだが比じゃ無いな。Eテレでとっとと放送しろ」と思い「今年観たアニメの暫定1位です」と心のメモ帳に書き留めたら、『透明人間』がそれを更に上回る超絶作画で、「え!?この監督すごくない?何者?しかもなにこの動き?まるで伊藤潤二の漫画が動いてるみたい」と思って鑑賞後ネットでインタビュー読んだら(こちら)、伊藤潤二諸星大二郎に直接的に影響受けたって語ってて大納得(『阿彌殻断層の怪』撮ってほしい・・・)。世界観もキャラデザも構図も作画も背景も全部好きなので、長編と言わないまでも1時間ぐらいでいいのでとっととダーク路線のオリジナルアニメ作ってください。お願いします(WOWOWさ〜ん!お金出して〜)。音楽はまた中田ヤスタカで。彼の刻むビートが動きの心地よさとすごく合ってる。
というわけで9/1(土)は映画の日です。1800円はきつい…ていう人はこの日なら1100円で観られるので是非!



追記(2019.8.16)
まさかの「金ロー」で『千と千尋の神隠し』の後に『透明人間』がサプライズ放送されました。カオナシ→透明人間てこれ以上無い構成。たぶん単独で放送するよりも伝わりやすかったと思う。見逃してショック受けてる人もいるので、シークレットではなく、ちゃんと事前告知してほしかったあ。