フジテレビさん、忘れてるかもしれないけれど改変期特番の後夜祭企画はあんたが先に『なるほど!ザ・ワールド』でやってたのよ

このあと、夜6:25より4月からTBSで始まる新ドラマや人気バラエティ番組の出演者を集めた改変期恒例のぶち抜き生放送番組、TBS『オールスター感謝祭'18』が放送されます(裏はフジテレビ『めちゃ×2イケてるッ!』最終回5時間SPです)。1991年から始まり今年で54回目を迎える感謝祭ですが、今回は番組史上初の試みとして、感謝祭放送終了から約1時間後の深夜0:58より、TBS『オールスター後夜祭』というのが放送されます。内容はと言うと、

学生時代、学園祭には後夜祭が付き物だった。お祭りを締めくくる後夜祭。半年に一度のお祭りであるTBSの名物番組『オールスター感謝祭』が5時間半の生放送で盛り上がった3月31日を締めくくるもう一つのお祭り。『感謝祭』のセットをそのまま使い『感謝祭』出演者も数多く出演する深夜の生放送クイズ祭り。それが『オールスター後夜祭』だ!
MCを務めるのは有吉弘行高山一実(乃木坂48)。そして演出は藤井健太郎。深夜放送ならではの笑いに振った出題や、『感謝祭』を熱心に見ていた人ほど楽しめる連動企画なども鋭意考案中。どんな仕掛けが『感謝祭』に仕込まれるのか!?そして生放送ならではの企画も用意!『感謝祭』という30年続く名物番組の骨格を最大限に利用した深夜のお祭りを見逃すな!!

といった感じになっているようです(公式サイトより抜粋)。後夜祭と聞いたときから既視感満載でしたが、司会が有吉で「『感謝祭』を熱心に見ていた人ほど楽しめる連動企画」と聞いたら思い出さずにはいられないとある番組があるのです。


有吉弘行といえば、2015年よりフジテレビ『なるほど!ザ・ワールド』の新司会者として登板しているわけですが(関連:有吉司会で7年半ぶり『なるほど!ザ・ワールド』復活 滝クリと初タッグ)、愛川欽也楠田枝里子がいた頃の『なるほど!ザ・ワールド』も、改変期になると新しく始まるフジテレビのドラマや新番組、『笑っていいとも』など人気バラエティ番組の出演者を多数取りそろえた改変期特番を放送し、高視聴率をたたき出していた時代がありました。当時の印象からすると、この『なるほど!ザ・ワールド』のお祭り騒ぎを見てたTBSが「うちもあんなのやりたい!」と始めたのが『オールスター感謝祭』だったように記憶するわけですが、『オールスター感謝祭』が誕生する直前の1990年、「JOCX-TV2 第8チャンネル」としてフジテレビが深夜の覇権を思うがままにしていた頃に一度だけ、深夜版『なるほど!ザ・ワールド 春の祭典SP』が放送されたことがあったのです。今回の『オールスター後夜祭』と同じ様に、『なるほど!ザ・ワールド 春の祭典SP』放送から数時間後、同じ日の深夜に、同じセットを使って。具体的な内容について引用できるソースがあれば良かったのですが、「なるほどザ・ワールド 深夜」で検索かけても自ブログ以外に書いてる人が見つからないので、記憶を頼りに書いた昔の記事を改めて再掲します。

教えてくれ! 深夜版『なるほど!ザ・ワールド 春の祭典SP』の何がダメだったのか
http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20060502/p3


その昔(たぶん1990年)、一度だけ深夜番組版なるほど!ザ・ワールド 春の祭典SP』が放送されたことがある。それも本家『なるほど!ザ・ワールド 春の祭典SP』と同じ日の深夜に。解答者席に座るのは深夜番組の出演者たち。しかし、当時の深夜枠といえば今ほどメジャーな存在ではなく、出てるメンツはかなり地味。誰もが知ってる有名どころといえば、既に人気番組だった『さんまのまんま』の明石家さんままんまちゃん。そして4月から放送を開始する新ドラマ『子供、ほしいね』の工藤夕貴大高洋夫ぐらい。「有名」と言っても、当時の大高さんは第三舞台の役者さんとして活躍していたけどテレビ的にはほとんど無名。レギュラー出演していた大人気番組『たほいや』の放送はこれよりずっと後で(1993年4月〜)、前年の『IQエンジン』(1989年1月〜9月放送)には出題VTRの方でたびたび登場していたけど、そんなのは『IQエンジン』を熱心に見ていた深夜番組フリークぐらいしかしらない。『なるほど〜』の回答者席にいた工藤夕貴以外の出演者にしてみれば「あ、俳優さんなんだ」ぐらいの認識。司会は、マチャアキとヤックン。いや、リポーターがこの二人だったのかな。


深夜枠であるが故に予算が足りない。そのため新たに海外へリポーターを派遣するなど無理な話。そこで各問題は、数時間前に放送された本家のVTRから出題されることに。すなわち使い回しだ。ということは、本家を見てた視聴者には答え丸わかり。明石家さんまは本家にも出演しており、いくら「自分にしか興味がない」とはいえ、俄然有利な立場にある。こんなんで面白いんだろうか?と思いきや、ここからがこの番組のうまいところ。出題されるのは本編で出された「問題」ではなく、本編中でリポーターや解答者が見せたギャグ、ダジャレ、珍回答、リアクション、ハプニングなどなど。それらを取り出し、「問題」として出題してきたのだ(つまり『さんまのからくりテレビ』方式っすよ!)。チョイス具合も絶妙で、視聴者も「あーーーーなんだっけそれーー!????(ここまで出てきてるのにぃ)」と身悶えするよなネタばかり。


これがねー、これが本当に面白かったんだ。夜中だから大きな声で笑えないのが実に苦しかった。腹筋痛くなるぐらい腹抱えて笑ったよ。解答者が地味でも、さんちゃんが全部掬って一人でコケて突っ込んでくれるから無問題! 「うわー、もうこれ絶対レギュラー決定!」と確信したのに、結局これ1回キリ。


ねえねえフジテレビさん、いったい何がダメだったの? あんなに面白かったのに。そんなに視聴率とれなかったの?  

これほんとに面白くて、いまだに何故1回で終わってしまったのか不思議だし、定期的に思い出しては「同じような番組誰か作ってくれよ」と切願してたらまさかTBSがやるとは(苦笑)。


TBSさんといえば、2010年あたりまでいまのフジテレビさんと同じようにどんどんどんどん視聴率が下がり、ドラマは低迷、老舗番組は無理矢理な枠移動で常連客を失っては次々終了においやられ、新しく始まった番組も打ち切り・リニューアル続出。何をやっても裏目に出ては、「視聴者にあなたが見たいドラマを教えてくださいなんてお伺いを立てるようじゃ終わり」「社長の顔色しか見てない」「安易に手を出してはすぐ放り投げるのがお家芸」「こらえしょうがない」と罵倒され続ける存在だったわけですが、見事復活しました。フジテレビさんはかつてのTBSさんとかなりの部分で同じ轍を踏んでるにもかかわらず、視聴率低迷から老舗番組終了までのスピードがTBSの倍以上かかっており、超えなきゃいけないハードルがまだいくつかあるので、復活はもうちょい先になりそうです。


何をやっても視聴率1桁から抜け出せないという泥沼にもがき苦しみ迷走しまくってたTBSが一番酷かった2009年に書いた過去記事を以下にまとめてみました。さわりだけ抜き出したので詳しくはリンク先でどうぞ。

4月からのTBSは改編率70%超だそうです

“放送関係者の目は、TBSの空前の大改編にクギ付けだ。先週、TBSが4月の番組改編を発表。なんと、新番組改編率がゴールデン帯71.4%、プライムタイム60.7%、全日帯46.8%という前代未聞の大幅チェンジになっているのだ。・・・”
http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20090308/p1

TBSが朝1回の放送で見捨てた東野&岡村「旅猿」を日テレが拾い第3弾で早くも特番!ゴールデン進出!

http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20090526/p1

TBS「水曜ノンフィクション・関口宏モトをたどれば」が急遽打ち切り!後番組は「激安バラエティー

“・・・しかしこのひっちゃかめっちゃかな状態はいつまで続くのか。もうそろそろ腰を据えてほしい。誰に振り回されてるのかは知りませんけど。同じTBSでも深夜帯は結構落ち着いてるんだけどね。”
http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20090606/p1

11月以降に報道された気になるテレビニュース(番組終了・降板・受賞・BPO)を備忘録としてまとめてみる

“まずは打ち切り・リストラ関連。あいかわらずTBSとテレ朝です。「小林麻耶ショック…視聴率低迷TBS報道番組打ち切り(2009/12/08付)・・・”
http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20091229/p1


2007年から始まったTBSドラマの迷走期については、その都度動向を追い、2010年に一度まとめ記事を書いてるので↓こちらでどうぞ。このあとTBSドラマ班はなんとか落ち着きを取り戻し、2013年夏『半沢直樹』で視聴率40%を獲得。これ以降も話題作を連発し奇跡の大復活を遂げます。

10月から土8をバラエティ枠に戻すTBSが、金曜深夜に実験的ドラマ枠を新設!
http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20100829/p1
“「家族全員で見れる、語れる、考えられる、そして参加できる新しいドラマ作りを目指した視聴者参加型ドラマ」として2008年4月よりスタートしたTBS土8枠が、壮大なる構想を一度も実現させることなく2年半で幕を閉じることが正式発表されました。・・・”

こんなぐだぐだな状況からTBSは抜け出したんですよ。皮肉なもので、私はTBSがドラマで迷走してたときに「フジテレビを見習って」と書きました。だから今度はフジテレビがTBSを見習ってほしい。袋小路にいる間は「なんでうちばっかり」と思うかもしれないけど、つらかった時期を経験してるのはフジテレビだけじゃないし、乗り越えた先人がちゃんといるんだから。


ていうかね、私が長年復活もしくは放送を熱望していたフジテレビの深夜番組『AM3:00の恐怖』(関連過去記事:現代に甦れ!『AM3:00の恐怖』)がこないだCSで放送されたんですよ。それもテレビ朝日のチャンネルで。CSのテレビ朝日のチャンネルがフジテレビで放送されてた番組のマスターテープを捜索して放映してくれる。しかも観た人から、テレ東の『闇芝居』ってこれの現代版なのねって言われるっていうこのもやもやした感じ。テレ東が『ジョージ・ポットマンの平成史』作ったときも『カノッサの屈辱』みたいと言われたのに、フジテレビで「昔のフジテレビみたい」って言われるような番組がなかなか出てこないのは、言うてもまだまだ深夜の予算はテレ東に比べたら潤沢にありますよってことなのかな。
『乱れからくり』『アニメちゃん』『AM3:00の恐怖』幻の円谷プロ作品を一挙紹介
ジョージ・ポットマンのプロデューサー「『カノッサの屈辱』は知らなかった」