鵺的第11回公演『奇想の前提』を観た(@中野テアトルBONBON)

中野テアトルBONBONで去年の鵺的『悪魔を汚せ』コンビ(作:高木登 演出:寺十吾)による鵺的新作公演『奇想の前提』を観劇。



乱歩のパノラマ島を“モチーフ”にした話なのかと思いきや、人間花火の惨劇から数十年後の菰田家を描いた完全なる後日談だったもんだから、帰りの車中で、速攻、青空文庫を検索し「パノラマ島綺譚」を読み直しましたよ(こちらからどうぞ)。相変わらず言えないことが多いシナリオなんですが(今年初めの鵺的『フォトジェニック』(作・演出:高木登)では福永マリカのサプライズ登板をみんなよく頑張って隠し通したよね)、クライマックスで叫ぶ「○○さ〜ん!」は悲しいシーンなのに笑い屋が大爆笑して狂気を感じる某恐怖映画を思い出し、「誰か笑い出したらどうしよう」とドキドキしますぐらいは言っても大丈夫なのかしら。実は初回観劇がまさかの最前列だったので、あのシーンやこのシーンを舞台全体が見渡せる場所でどうしても観たくなり電話で当日券予約して2回目観てきました。やはり最前列と最後列じゃ観てる景色や臨場感が随分変わる(どっちがいいかは一長一短。ただ今回照明が暗いので、最前で観る方が役者の表情はよく見えます)。そして再見するとあの人の芝居がかの人にだいぶ寄せてきてるのがわかってうなります(ちなみに久貝役で出てる佐藤誓さんは金曜深夜のテレ東ホラードラマ『デッドストック』第2話に出ます)。公演も残り金土日の3日間となりましたが、当日券出るそうなんで行きたい方はツイッター上で「鵺的 当日券」で検索かけてみてください。


鵺的は場面転換のわずかな暗転で家具の配置や人物の立ち位置をガラッと変えてくるんだけど、あの至近距離で目をこらしても何も見えない真っ暗闇の中、どうやって正確な位置を把握し動いてるのかいつも謎なんだよねえ。で、思いも寄らないところに人が立ってて、照明がついた瞬間ビックリするのが快感で正直クセになってます(笑。去年の『悪魔を汚せ』はほとんどなかったので、高木さん演出回でしか観られないのかと思いきや今回はたっぷり何度もやってくれたので嬉しかった)。今年は5月に寺十さんが演出を手がけた風間俊介趣里主演のファンタジーホラー『黒塚家の娘』(作・北村想)を観劇したんだけど、『黒塚〜』で好きだった“観客が開かずの間に積み上げられた無数のされこうべに見立てられる”演出が今回も別の形で再現されてたり、語り部となる人物につける芝居など双方に共通した演出から寺十さんの演出家としての個性が段々掴めてきた気がする。。。


尚、水曜昼の回アフタートークに作家の芦辺拓さんが呼ばれてたのは、↓こういうことだったのか。高木さんが鵺的で書く家族にまつわる戯曲が横溝的なのでうってつけの人材(行きたかった…)。