風間くんの四人芝居『黒塚家の娘』が千秋楽を迎えたようなので覚え書き。
シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.4 【能「黒塚」より】
『黒塚家の娘』
作:北村想 演出:寺十吾 出演:風間俊介・趣里・渡辺えり・高橋克実
時は現代。傷心を抱え放浪の旅に出た若き牧師は、霧深い森に迷い込んでしまう。謎めいた母と娘が住む屋敷で一夜を過ごすことになった彼の前に、「開けてはならない」という禁忌の扉が。そこに、後を追ってきた盲目の先輩牧師が現れて・・・。さて、森の奥には、どんな秘密が眠っていたのでしょう・・・。
数年前に出演した『ビリーバー』同様、またしても宗教(今回はスピノザの汎神論)にまつわる哲学的な話が盛り込まれてたんだけど、芝居のなかで出てきた「人間が神を信じるのは、死んだときに天国に行けるからだろ? もし天国を破壊して亡きものにしたら、それでも人間は神を信じるのか?」ていうのが、私がエクソシスト映画を見たときに考える「何故、キリスト教には悪魔って概念が必要だったのか。悪魔はそれ単体でも存在しうるけど、神は悪魔がいなくてもその存在意義を維持できるのか」ていうのと通じるものがありぐるぐる考える。
ちなみにアンソニー・ホプキンスがエクソシスト役で出演した『ザ・ライト 〜エクソシストの真実〜』は「俺は神も悪魔も信じていなかったけど、悪魔に限ってはどうやらこの世に実在するらしい。そうとしか思えない不可思議な出来事が次々起こるんだ。だから俺は悪魔の存在は信じることにした。そしてその悪魔に対抗する唯一の手段が神の力を使うことなので(何故なら悪魔自身が神の存在を信じ恐れているから)、俺は悪魔を倒すために神の存在も信じることにした」っていうとても理にかなったお話でとても面白いのでオススメします。
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観念的な話をわかりやすく伝える役を担わされてた風間くんだけど、ここ数年のEテレ仕事がこういう形で役に立つとは思わなかった。ちなみに怖いお芝居なのかと思いきや、笑いの絶えないお芝居でした(笑)。
尚、『ビリーバー』の感想は↓こちらでどうぞ。「たくさんの人が宗教戦争で死んでるのに神を信じることは賞賛され、信じても誰も殺さずむしろいい子になるサンタクロースを信じるとバカになされるのは理不尽じゃないか」というお話です。
それにしてもスピノザって面白いね。「肌に合う」って思ったのはニーチェ以来かも。今度本屋巡ってみるわ。