8年ぶりとなる伊藤潤二の新作ホラー短編集「魔の断片」絶賛発売中です!

いやー、なんの気なしに本屋に立ち寄ったら、奥さん、まさかのフライングゲットですよ!
前情報なんも仕入れてなかったのに。これが運命の赤い糸ってやつですね! わかります!!! 

魔の断片 (Nemuki+コミックス)

魔の断片 (Nemuki+コミックス)

隔月雑誌『Nemuki+』の2013年5月号から連載を再開していたらしく、今回の新刊にはこの1年に描き上げた新作7本と2009年に描いた短編1本が収録されております。自身もあとがきで「8年は時間が空きすぎだろう」と書いてる通り、久しぶりの連載再開ということもあってか、これまでと比べると構成がやや荒削りで、内容は1話目から飛ばしてるのに、似た感じのエピソードやイメージが続くこともあって、ちょっとバランスが悪い。また、ところどころ「え? ほんとに伊藤潤二?」ってぐらい絵が別人のようになってるコマがあり、絵の不安定さが内容のキチガイさと相まって、読んでるこちらの精神がおかしくなりそうでした。潤ちゃんが実写映画の監督に初挑戦した映画『富夫』の漫画版(内容は若干違う)も収蔵されてるんだけど、実写にはあった伊藤潤二らしい笑いの成分がだいぶ抜き取られており、絵が随分違うこともあって正直なんだか気持ち悪かったです。しかしそれも4話目の『緩やかな別れ』から調子を戻し始め、しみじみとした余韻の残る切ない良作に仕上げてきたかと思えば、5話目に出てくる新キャラ“解剖ちゃん”があいかわらずの神出鬼没な自己中かまってちゃんだったりと、「本当におかえりなさい!」と笑顔で抱きしめたくなる一冊に仕上がってますので明日書店に行ったら是非是非探してみてください。ちなみに、画像だとわかりませんが、装丁がかなり凝った作りになっています。


そういえば今回の新刊5話目に収蔵されてる『黒い鳥』という話。「え?! そうくるのか!」という予測不能な展開でとても気に入ったのですが(諸星大二郎にありそうな話だけど絶対こうはならないよね。作家性の違いって恐ろしい)、これに出てくる“黒鳥”のイメージってどう見ても↓これじゃないかって気がしてならんのですけど・・・。

ぶっちゃけ接吻シーンのたびにアンジー姐さんのクチビルが覆い被さってきてどうしようもないわけです(汗)。もしハリウッドで実写化されるようなことがあるならば、是非黒鳥役をお願いしたい(無理です。ピート・バーンズなら…>アンジーがいいです)。