鵺的第五回公演「荒野1/7」を観劇した(@渋谷ル・デコ)

そんでもって土曜には渋谷ル・デコで現在放送中のアニメ「黒子のバスケ」や「さんかれあ」の脚本・シリーズ構成でおなじみ高木登さんが作・演出を担当する鵺的第五回公演「荒野1/7」を観てきた。

『荒野1/7(コウヤナナブンノイチ)』
2012/08/07 (火) ~ 2012/08/12 (日)
【作・演出】高木登
【出演】長男…成川知也
    次男…平山寛人(鵺的)
    長女…古市海見子
    三男…山ノ井史(studiosalt)
    四男…小西耕一
    次女…ハマカワフミエ
    三女…森南波

鵺的の芝居を観るのは2年ぶり2度目。40人ちょいの小さな劇場で、客席のすぐ目の前に横1列に並べられたイスに7人の役者が座って行われる会話劇。ただし役者は終始一貫して共に芝居をする相手役ではなくそれを観てる観客と正対しながら芝居をするため、話してる役者と話しかけられてる役者の表情が同時に正面から観られるというちょっと変わった演出方法で非常に面白かったです。横長の狭い劇場だったこともあり、客席との距離はほぼ無いに等しく、終始役者は最前席の客と顔をつき合わせる形で芝居が行われ、内容がヘビーだったこともあり、最前席の人はよく心折れないなと感心するぐらいの緊張感だった(ていうか鵺的は前に観たときも体力消耗したんだよ)。もしリアルに兄のいる人が長男の前に座るはめになったら相当しんどかったと思う(苦笑)。


話としては幼い時に父親が母親を殺しバラバラに養子に出された兄弟姉妹7人を長男が探し出し、数十年ぶりに再び集めて病気で意思の疎通がとれなくなった父親の延命治療について話し合いを持つという内容。うちも数年前に父親が末期宣告受けて看取った経験があるのであまり他人事ではない内容なんだけど、父親が何故母親を殺したのかという方に重きが置かれてたこともあり、あまり自分に引き寄せることもなく客観的に観てるつもりだった・・・、つもりだったんだけど、終わって劇場出てラストの次女の告白場面を思い出してたら、急に感極まってきちゃって、ちょっといま渋谷の喧噪には戻りたくないと、しばし裏の寂れた路地裏を散歩し、渋谷のお気に入りスポットでもある駅傍のどぶ川(渋谷川)を眺めながら黄昏れるハメに。

やっぱあの兄弟の関係かなあ。あれにやられたのかなあ。別に台詞はリアルじゃないんだけど、なんていうかさ、うちは親が病気になったとき兄弟がいて良かったって思ったもん。精神的支柱だった父親が倒れ、父の次にしっかりしてる自分が崩れたら家族総崩れだってプレッシャーはあったけど、1/7ならぬ1/3(母親もいたから1/4か)を引き受ければいいんだっていう逃げというか安心感はあったからね。ひとりっこだとああいう状況に置かれたときどういう感じになるんだろ。




追記:
本作は高木さんの親族の家系をモチーフにした内容ということもあり、そのあたりに踏み込んで書いた感想があったのでご紹介しておきます。
鵺的「荒野1/7」 – ワンダーランド wonderland