『ニッポンの大家族 Saiko! The Large family 放送禁止 劇場版』を観た(@池袋シネマ・ロサ)

連休中に見てきました。年配の人の姿もあり、「真っ当なドキュメンタリー映画と間違えてるんじゃないか?」と一瞬心配になりましたが、とりあえず笑ってくれてたんで良かったです(汗)。



4本分のネタを1本に詰め込んだ劇場版1と比べると、今回はかなりあっさりした作りになってましたね。内容や時系列を把握するために何回も見たり、真相について議論が白熱するといった類の作品ではないため、「さあ、謎解き頑張るぞー!」と意気込んで観ると肩すかしをくらう可能性は高いです。そもそも「あなたには真実が見えましたか」といういつもの問いかけ自体今回はありませんので、浦さん一家をフューチャーした「スピンオフ作品」だと思って、普通のドキュメンタリーのように、浦家の子供達の成長ぶりを楽しんだり(蜜柑ちゃんを筆頭に何人かの子は「放送禁止2」と同じ子役がそのまま演じてます。残念ながら林檎ちゃんは前とは別の人です)、お父さんの奮闘ぶりや子供達の頑張りを見守っていると、最後に「おお!そういう展開できたか!」というオチがついてスッキリ終わるといった感じでしょうか。シリーズ中もっとも笑える作品であり、恒例の「見切れ」はあいかわらずドキッとします。


以下、「放送禁止2 呪われた大家族」と映画「ニッポンの大家族 放送禁止 劇場版」のネタバレです。ただし謎解きは割愛(見てもらえばだいたい分かるし、知りたい人はネットのあちこちにUPされてるのでそちらを参照されたし)。代わりに、劇場版だけでは解決できない“ナゾ”というか、ベロニカ・アディソン版「ニッポンの大家族」(=今回の劇場版)とは別の真実を描いた長江俊和版「ニッポンの大家族」(=放送禁止7)でも制作されない限り解決しないであろう“疑問点”を野暮を承知で列記しときます。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓


ひとつめは、「お母さんが何故サイコ化したのか」ということ。テレビ版では優しかったお母さんが劇場版ではサイコ化し、自分の子供を次々と襲ってゆくわけですが、その“理由”というか“きっかけ”がなんだったのか、劇場版を見ただけではよくわかりませんでした。「放送禁止2」の続編とみせかけて実はパラレルワールドだったってことなんでしょうか。


もうひとつは、「手に持った“リンゴ”にナイフを突きつけてるお母さん」の姿がちらしに掲載されていたり、本編中にも「果物かごの“リンゴ”にナイフが刺さってる」という思わせぶりな描写がありながら、お母さんが林檎ちゃんの命を狙ったような形跡がないのは何故なのかということ。隆太君や檸檬ちゃんが怪我をした(もしくは怪我をしたという情報が提示された)とき、果物かごのレモン(檸檬)やドラゴンフルーツ(隆太)にはそれぞれナイフが刺さっており、同じ法則なら林檎ちゃんも怪我なり事故なりにあってしかるべきだと思うのですが、そういう描写が最後まで無かった。仮に家出の本当の理由が「お母さんから命を狙われたからだ」というなら、借金背負って会社辞めて風俗で働いてるという描写はいったいなんだったのかと。フェイクだとしても誰から何を隠すためにそんなことをしたのかがいまひとつよくわかならなくてもやもやします。


そういえば、「日本人だから気づかない、日本の家族問題」って結局なんだったんですかね。カナダ人のアディソン監督はちゃんと気づいたんでしょうか。



とまあ、野暮なツッコミはこのぐらいにして、個人的には謎解き要素が薄いならもうちょっと人間関係に複雑さがあっても良かったかなと思いました。できないことはないんですよね。現に私なんかは、「普通の親子丼は親と子が別々だけど、うちの親子丼はホンモノの親子なんです」と誇らしげに力説するお母さんや、「お父さんは梨枝のことを愛してるんだ!」と血のつながってない赤の他人にもかかわらず梨枝ちゃんに対し「愛してる」という言葉を連呼する“純な夫”の純夫さんを見て、「実はお母さんと純夫さんは前のお父さんが生きてるときから付き合っていて、失踪後に出来た下の二人(すもも、雷智)だけじゃなく梨枝ちゃんとか檸檬ちゃんとか10代の子らも全て本当は純夫さんの子だったんじゃないの? 前のお父さんはそのことに気づいて子供たちを虐待してたんじゃないの?」なんて思いながら見てたのに、実際は全然そんなオチにならなくてちょっと寂しかったです。


以上。


さーて、今年はもうテレビ版はやんないのか? 一応10月改編期ぐらいは楽しみにしております。