CX『ボクらの時代』トーク、仲間由紀恵×山田太一×陣内孝則

今回は現在フジテレビで放送中の木10「ありふれた奇跡」つながりで、脚本家の山田太一、そして出演者である仲間由紀恵陣内孝則が呼ばれてました。日本語の文法を無視した山田太一脚本独特の台詞まわしについて俳優さんたちはどう思っているのかといった話や、陣内さんが即興で作ってみせた山田太一脚本風「日本昔ばなし」が非常に的確で面白かったので、HDDから削除する前に書き起こしておきます。

独特の台詞回しで世界観を構築する山田太一脚本について

仲間「いままで見たことのない台本に挑戦させていただいてるというか(一同笑)。」
陣内「やっぱり、最初に先生の台詞(を言うとき)って難しくなかったですか?」
仲間「最初、とまどいました。書かれたものとかお芝居を全部ご自身でなされるって…」
山田「“発声”してね。」
仲間「“発声”して。で、(句読)点も全部、点のひとつひとつも、ただ点を打ってるだけじゃなく、もちろんきちんと(意味が)あって打ってる点だから『どっちなんだろうな?』って。撮影を毎日してても、ひとつの台詞が…これは加瀬さんも仰ってましたけど、『道筋がきちんとできているのに、ちょっと何かがズレると全然違うシーンになってしまう』って加瀬さんが仰ってたんですけど。」
陣内「会話がようするに昔ばなしを語るような会話じゃないわけですよね。『おじいさんが山へ芝刈りへ、おばあさんが川へ洗濯へ…』じゃなくて、『ももたろう…芝刈り行ったでしょ?…洗濯してたの…流れてきた…何が?…桃が…桃…』」
山田・仲間「(大笑い)」
陣内「『でも、居たの…中に…ももたろう……』みたいな。」
仲間「ありますよね、そういういうの。わかりますわかります。」
陣内「(仲間の方に身を乗り出して)あるでしょ? そういう世界。」
仲間「すっごくよくわかります!」
山田「(笑)」
陣内「確かに日常の会話って、そんな順番通りにみんなわかって言わないじゃん。僕らも普通の台本だと、わかりやすい、読みやすい、覚えやすい台本だと、もうすぐ覚えちゃうから、鮮度がどんどん薄れてきて…」
山田・仲間「(うんうんと大きく頷く)」
陣内「あれは、先生の“山田マジック”だなあと思うんですけど、あれは狙ってらっしゃるんですか?」
山田「もう、クセみたいなものですね(笑)。」
陣内「え?クセなんですか?!」
山田「つまり、普通にするとほんとに説明になっちゃうのよねえ、台詞って。だからなんとか普通じゃなく言えないかなあとは思ってますけれどもね。」

台詞の覚え方について

陣内「仲間さんはさ、何か独特な台詞の覚え方とかってある?」
仲間「いやあ、私は特別こうして覚えようっていうのはないですね。でも一度、どなただったっけ? (しばらく考えて)中井貴一さんがそうだったと思うんですけど、台詞を覚えるときに家の中で静かにして覚えない。わざとテレビをつけて音楽をつけて部屋をやかましくして覚えるっていう話を聞いたことがあるんです。現場って結構わさわさしてるじゃないですか? だから集中するって言っても『ちょっとごめんなさい。静かにしてください』なんてことはやっぱり絶対できないので、そういう訓練もしながら台詞を覚えるみたいなことを聞いたことがあって、私もできるだけどんな状況でも、車で移動してても、リラックスしてるときにフッと『そういえば、なんだっけ? あの台詞』って(台本をとって読み返すジェスチャーをする)。」
陣内「だって、あれでしょ? 紅白(歌合戦)の司会をやるときは(親指と人差し指で10センチ程度の幅に広げながら)こんな(厚さの)台本覚えるわけでしょ?」
仲間「紅白は・・・分厚いですよねえ。でも怖いから保険で『お願いですから、人の名前とタイトルだけはカンペをお願いします』って言って。」
陣内「僕、あの、『ライスカレー』(86年放送 倉本聰脚本)ってドラマをやったときに、三木のり平先生とご一緒させていただいたんですけど…」
山田「(既に笑ってる)」
陣内「あの方、(台詞を)覚えないじゃないですか?」
山田「覚えない(笑)。」
陣内「すごいんだよ!!! こんな長ゼリフを顕微鏡で見るようなカンペ作って。村瀬幸子さんが僕のお母さん役で、それを見て『のり平さんは台詞は覚えないの?』ってお聞きになったんですよ。そしたら、『ええ。医者に止められてます』って(一同爆笑)。僕は最高だなあと思って。『医者に止められてます』っていうのはなんでかっていうと、自分は大病をしたと。それは何が原因かというとストレスだと。ストレスは何から来たのか。私の仕事の場合、台詞を覚えることがすごくストレスなんだと。だから台詞を覚えなくなったんだと後で仰いましたけど。」
仲間「陣内さんにも言ってほしいなあ(笑)。」
陣内「いや、たまに言いますよ、現場で。山田先生の作品だけは一回も言いませんでしたけど。」
山田・仲間「(笑)」


そしてトーク収録後に山田太一の口から真実が明かされる。。。


山田「のり平さん、(自分がまだ)助監督のときにね、覚えないでしょ? だからね…」
陣内「え? その頃から覚えないんですか?(笑)」
山田「ええ、覚えないんですよ。」
陣内「医者じゃなかったんだ。」

ちなみにwikipedia山田太一氏の経歴を見たら、「大学卒業後松竹に入社し木下惠介に師事、1965年に退社しフリーの脚本家になる」と書かれてあるので、助監督時代って相当前ですよw。



ああ、なんか陣内さんの「桃太郎」聞いたら、久しぶりにウンナンのコント「レンタルビデオショップ(山田太一篇)」が見たくなってきたああああ!