『放送禁止 劇場版〜密着68日復讐執行人〜』の<真実>とは【解決篇(仮)】

はっきりしてない箇所がまだあるので、本格的な解明はDVD待ちになりますが、現時点でわかる範囲の<真実>をざっくり書き連ねてみたいと思います。重要情報を見間違えてる(見落としてる)可能性は充分にあるので、実際どうなってるのかはご自分の目で確かめてみてください。

↓この先は、劇場版をご覧になってからどうぞ。
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12年前のいじめ事件から時系列順に追ってみます。記憶が曖昧で再見が必要な箇所は【】でくくりました。


平成7年(1996年)、神奈川県にある横浜市立静那○高校で悪質ないじめ事件が起きた。いじめのターゲットは神野留麻(当時17才)。主犯格は留麻のクラスメイトで医者の息子である深町和彦、いじめグループにはクラス一の美人・内田貴子や留麻の幼なじみ・江口来実(当時17才)もいた。【担任の高岡輝男もこれに荷担する】など、かなり悪質ないじめがクラス内で行われていた。当時のクラスメイトの証言によれば、江口は留麻のことをなんとかしてあげたいと思いつつも、今度は自分がいじめられるのではないかと思い、それが怖くてやめることができず、いつも悩んでいたという。


留麻は映像ジャーナリストの小茂田俊作に相談。小茂田はいじめグループに接触をはかるものの、スクープ映像を撮ることが目的で取材してる小茂田はいじめを解決する気がなく、留麻に対するいじめはどんどんエスカレートしていった。ある日、主犯格の深町は江口にビデオカメラとガソリンの入ったポリタンク、ジッポライターを渡し、「【留麻にガソリンをかけ】自殺を強要しその様子をカメラで撮影してこい」と命令する。江口は留麻と学校の倉庫に入り、入口にカメラを置いて、自らガソリンをかけようとポリタンクを取り上げるが、留麻と取り合いになりあえなく奪われてしまう。留麻は奪ったガソリンを江口に浴びせ、火のついたライターを投げつけた。またたくまに燃え上がる江口。留麻は入口のカメラをとりあげ、【燃え上がる江口を撮影しながら】逃げようとするが、火だるまになった江口の手がカメラへと伸び・・・(ここで録画が止まる)。


江口につかまり顔に大火傷を負った留麻は倉庫を飛び出し意識を失う。江口も全身大火傷で絶命。近所からの通報で消防がかけつけ、留麻は病院へ。警察は生徒達への聞き込み調査を行い、主犯格の深町から「江口が留麻にガソリンを被って自殺するよう強要してた。冗談のつもりだったのに留麻が真に受けたのでは?」という話を聞かされ、身元不明だった2人の女生徒のうち、全身火傷で死亡した女生徒を神野留麻、顔に大火傷を負って意識不明の重体に陥ってる女生徒を江口来実と判断しマスコミに発表。意識が戻り次第生き残った江口(実際は留麻)から事情を聞くことにした。


しかし、江口の意識回復を待たずして、彼女をいじめの主犯格とした内容のドキュメンタリー番組が小茂田によって発表される。マスコミはいじめグループを激しく非難し、主犯格とされた江口の自宅や入院中の病院にマスコミがおしかけるなどの報道被害が発生。【いじめを見て見ぬふりだった】学校は、担任の高岡も同席させ記者会見で謝罪。たったひとりの身内を亡くした留麻の兄・神野光留(当時20歳)はマスコミの記者会見で「妹は殺されたようなもんです」と訴えた。意識を取り戻した留麻は、事実とは異なる事態に驚き、マスコミから逃れるように失踪。消息を絶つ。


いじめドキュメンタリーによって知名度を上げた小茂田はそれ以降もスクープ報道を連発。しかしやらせや捏造が多く業界からの評判は良くなかった。主犯格の深町は父親と同じ医者の道へと進むが、医療ミスでいくつものトラブルを抱えていた。内田貴子はその美貌をいかし、“メグ”という源氏名でホステスに。結婚詐欺で客の男性をだましては数百万の金を得ていた。そして担任教師だった高岡は、事件から12年経った平成19年(2007年)4月、校舎から飛び降り自殺した。「告発!これが淫行教師・高岡の正体だ!」【との告発ビラが校内にまかれており社会的制裁に耐えられなくなっての自殺だと思われる。そのビラにはかつていじめ事件が問題になった高校でも、生徒にまじっていじめに荷担、いじめていた女生徒に対しいじめを餌に暴行するなどの行為に及んでいたことが書かれていた】。


番組制作会社に就職していた留麻の兄・光留は、妹の担任だった男の突然の自殺に興味を抱き取材を開始。飛び降りた学校の生徒から「先生が死んだのは数年前に起こしたレイプ事件のせいで、シエロという闇サイトに復讐を依頼されたからだ」との情報を得る。すぐさまシエロの管理者・七川ノラムにコンタクトを取った光留は、高岡の自殺から2週間後、ビルの一室にある「ジーンベリー企画」という会社を訪ね、七川ノラムと対面。仮面をつけて現れた彼女にインタビューを試みる。


シエロの理念を淡々と語る仮面の女だが、高岡の淫行記事を突きつけると「どうやらあなたは知りすぎたようだ」と言って「人が復讐される瞬間を見たいとは思いませんか?」と提案してきた。光留が拒否すると「家族がどうなってもいいのか。あなたに選択の余地はない」と脅し、光留の68日間に及ぶ密着取材が始まった。


まずは結婚詐欺のホステス・内田貴子への復讐に密着。貴子はかつて留麻をいじめてた人物だが、真相を知らない光留はそのことに気づかない。次のターゲットはジャーナリストの小茂田。今回は撮影だけでなく宋野登津雄という男になるよう指示され、先に参加してた宋野真津(29歳)という女性と数週間にわたり夫婦を演じ続けた。


この時真津は光留の前で、復讐のために雇われただけの人間であるかのように振る舞っていたが、彼女こそが本当の七川ノラム、シエロの真の管理者だった。何も知らない光留から「なぜこんなことをしてるのか」と問われ「すべてはノラムのため」と答える真津。彼女が「仮面の女」こと神野留麻の復讐計画をサポートするに至った理由は、【真津がかつての留麻のクラスメートであり、12年前いじめに荷担してしまったことへの贖罪と、いじめを餌に暴行した高岡への復讐心からではないのか】。


小茂田への復讐を終えた後、「仮面の女」のことを知るために真津を呼び出す光留。光留が留麻の兄であることを知っている真津は、彼に「彼女は復讐という名の亡霊に取り憑かれてるんです」と言い、光留が留麻の正体にたどり着けるようヒントを残す。しかし、光留はそのヒントを生かし切れず、最後のターゲット、主犯格・深町への復讐を撮影するために飛んだ沖縄の地で、サイアクの結末を迎えることになる。。。


  * * * *


劇場版における<表の真実>は、『死んだのは○○で、仮面の女は○○だと思われていた○○○○であり、登津雄役を演じてた取材スタッフは○○の実の○だった』ということ(googleでもろだしされてたので伏字に変更)。そして<裏の真実>が『宋野真津の正体』。彼女が「管理者・七川ノラム」であることは復讐を依頼してきた人物のハンドルネーム「村の初孫(むらのはつまご)」で示唆されてるが、もうひとつの重大なヒントが光留が仮面の女につきつけた高岡の淫行記事(週刊誌のコピーだと思ってたけど、どうも告発ビラっぽい)に隠されているように思う。長文にもかかわらず数秒しか映らず2度読んでもなかなか全文を把握しきれないのだが、拾い読みしたところでは「高岡はかつていじめ事件が起きた高校で、いじめてた女生徒をいじめを餌に暴行した」と書いてあるように読めた。ただ、映ってる時間が本当に一瞬なので、「いじめられていた」を「いじめていた」と読み間違えてる可能性も大いにある。故に、この件に関しては現段階ではグレー。再見時にいまいちど確認したい。


あと、気になるのが『仮面の女の服装』。個人的に彼女の戦闘服は「全身白」だと思ってたので、下だけ黒だったり上だけ黒だったりするときがあることに違和感を覚えた。あれには何か意味があるのだろうか。


そしてもうひとつ、火事があった倉庫で『留麻と江口はどんなやりとりをしたのか』ということ。映像だけ見ると冒頭で説明したようなことが起こったように見えたのだが、留麻の台詞では映像と矛盾するようなことが語られていたような気がしてならない。これも再見時に確認したい。(追記:思い出したんだが、確か留麻は倉庫の出来事を振り返り「あの子(江口)は自分がガソリンを被ると言ったんだけど、その程度では許せない。もっと苦しむべき」とかなんとか語ってた気がする。結局、いじめられた憎しみよりも、憎しみにまかせ仲の良かった友人を焼き殺してしまったという事実こそが彼女を復讐せずにはいられない心境へと追い込んでいるのかもしれない。)


それから、復讐サイトが昔からあったものなのか、(依頼者のメールも含め)全て今回の計画のためにこしらえたものなのかも気になるところ。昔から存在するサイトなのだとしたら、サイト名と管理者の名前を見た留麻が12年前の事件の関係者が立ち上げたサイトだと思って復讐を依頼、それがきっかけで二人は再会を果たした可能性も考えられる。逆にそうじゃない場合、ふたりがどうやって知り合ったのか謎。(追記:サイトを調べたら、一応「2005年」から開設されてることになってた。それが本当なのかどうかは判別できないが。)


追記。まだまだあるな。


まずは、仮面の女の「声」。劇場版では光留がジーンベリー企画の戸を叩いたときに返した声以外全てボイスチェンジャーがかけられているのに対し、「デスリミット」では地声のままだった。これはどう解釈したらいいのか。声を変えたのはお蔵入りテープを引っ張り出して劇場版を作ったスタッフで、実際にはどのシーンも地声のままだったということなのか。世間的には「真津=留麻」説も根強いので、地声のままなのに光留に気づかれることなく仮面の女の中の人物が入れ替わることは可能なのか。


それから深町の「彼女」について。自分はすっかり見落としてたんだが、「中華料理店で『替え玉』を頼んでた」「小茂田を襲った仮面の女がかけてたのと同じネックレスをしてた」という目撃情報が上がってる。小茂田に硫酸かけたのも彼女、深町に毒をもったのも彼女ということになると、ネットで集めた協力者にしてはかなり重要な役を次々と担わされてることになる。いったい彼女は何者なのか。小茂田への報復の言葉が演技にしてはあまりに真に迫りすぎてるのもいささか引っかかるところ(そういえば、依頼が捏造でなければ小茂田は誰かの父親の冤罪事件に関与してるってことだった。あれはどういった内容だったろう)。また「同じネックレスをつけてる」ことが「小茂田を襲った仮面の女=深町の彼女」の根拠だとするなら、仮面の女は真津と一緒にいるシーンで必ずネックレスをつけてなければいけないことになる。再見時に確認したい。また小茂田を襲った仮面の女については「デスリミット」にボイスチェンジャーをかけられてない地声が収録されてるので、深町の彼女として登場してる時の声と聞き比べることができる。比較した結果まったくの別人だったら特に問題はないが、もし同一人物だった場合、その後に出てくる仮面の女と声が違うのに何故光留は気がつかなかったのかという新たな疑問が出てくる。光留には認知障碍があって似たような声色は聞き分けられないとでもなれば話は別だがもちろんそんな描写はない。


また、仮面の女が家族を人質に脅迫してきたとき、光留がすぐに「家族は関係ないだろ」と激昂した場面。彼は天涯孤独のはずだが、あのとき彼が想像してた「家族」とはいったい誰のことなのか。最後のニュース音声でも特に既婚者だともなんとも言ってなかったのでよくわからない(指輪でもはめてたか?)。


そういえば、仮面の女は取材にきた人物が兄・光留だということは始めから知ってたはずだが、最初から引き入れるつもりだったのか。高岡のことを持ち出されたから引き入れる気になったのか。


・・・なんか、いろいろ考えてたらわけがわからなくなってきた(汗)。



ちなみに自分はたとえ監督自身が「真津=留麻」説をとったとしても現段階では受け入れられませんのでその点についてはご了承ください。理由は以下の通り。


コメント欄にも書いたけど一番の理由は「芝居」。真津が光留に接するときはいつもドライで、『デスリミット』で真津に「お兄ちゃんみたい」と言わせておきながら劇場版ではそのあたりのことが一切拾われず、仮面の女に見られたような光留のことをダイスキだったお兄ちゃんとして見てる、語りかけてるといった芝居が真津には見られなかった。自分の正体に気づいて欲しくてわざわざヒントを与えに来るという大事なシーンですら、彼女は第三者からの助言という立場を崩そうとはしなかった。せめて光留の側から、真津と話してるときにふいに妹と話してるような錯覚に陥り、特に深い意味もなく真津に家族の話を振るといったアプローチがあれば良かったのだが、そういったことも特になく、そもそも光留に関してはネックレスを見てすぐに真津が整形した妹だと気づいた割には、彼が真津から妹の面影を感じ取ってる描写は存在せず「おそらく気づいていたに違いない」という観客の脳内補完に任せられている。ならばと、真津がペンダントらしきものを首から提げてる、留麻と真津が同じクセを持ってるといった描写でもないかと思ったが、そういったものもいまのところ見あたらない。放送禁止シリーズの面白さは、人間関係が分かった上で再見すると登場人物の心の機微が手に取るようにわかり、謎解きを排した人間ドラマとしても楽しめるところにあるが、仮面の女と光留が対峙するシーンでは兄妹であることがわかった上で見返すとグッとくる瞬間がいくつもあるにもかかわらず、真津が留麻だと思って見返してみても真津と光留の間に兄妹間の感情を見て取ることは出来なかった。


あとは「整形」。「真津=留麻」になるためには整形をしないとならないが、そもそも顔に大火傷を負った人間があんなキレイな肌になるまで回復できるのかという疑問がある(最後に仮面がはずれるけど顔の左顎(?)あたりが見えただけで顔全面がさらされたわけではなく、あれが真津なのかそれ以外の女なのかはこれまでの情報と光留の芝居から判断するしかない)。「フィクションなんだから」と言われればそれまでだが、火傷を負った直後は顔が腫れたり皮膚がむけたりして顔の判別は難しいかもしれないが、別に顔の形自体が変わるわけではないので、治療で火傷がある程度回復すれば顔の判別は可能になり、12年経ってたとしても子供の頃に生き別れたわけではないので光留が判別出来る程度の面影は充分に残っている。逆に整形しなければならないほどに顔かたちの変わる火傷であれば、あそこまでキレイな肌に治すのは不可能ではないのか。まあでもそこをツッコミだすと、「じゃあ、失踪した後、留麻はどうやって生きてたんだ」とかいう身も蓋もない話にも答えを見出さなければならなくなるので、この件については、火傷の痕はそれほど残らなかったけど留麻は死んだことになってたので顔を変えて生きるしかなかったとか、復讐のために顔を変えた、などいくらでも説明はつけられるのでそのどれかということにしておく。むしろ問題なのは、これといった伏線もなく「実は犯人は整形した○○でした」っていうオチを安易に使われてしまうことの方にあり、真津の整形がアリなら、深町の彼女だって見てる人が勝手に「整形した誰か」ってことにしてもいいということになってしまうので、伏線ぐらいは綿密に張った上で使って欲しかった(「替え玉」はあくまで「入れ替わり」を示唆してるだけで「整形」を示唆してるわけではない)。最後の「仮面をとったら真津だった→意味がわからず混乱してると留麻にあげたペンダントを発見→真津が留麻だと確信した」という流れに強引さが残るのもそのためで、「真津は留麻なのかそうでないのか」といった不毛な議論を引き起こすはめになっている。もともと光留は江口が仮面の女だと思ってたわけで、真津が留麻だと確信する前に、「何故、真津が江口なのか」「何故自分が留麻に贈ったペンダントを彼女が持っているのか」という混乱があってしかるべきではないのか。あらかじめ「真津の雰囲気ががどことなく留麻に似ていることに光留がなんとなく気づいてる」という伏線がきちんと張られていれば違和感なく見られたのでそこが残念(ちなみに「真津≠留麻」であれば、「仮面をとったら江口ではなく留麻が出てきて驚いた→でも、死んでるはずだしと混乱してるときにペンダントを見て確信した」という流れになるので、今の情報量でも特に問題はない)。


いずれにせよ、現段階では全てを見て取れたわけではないので、画面のどこかにはっきり「まつはるま」と書かれていたり、首元の同じ位置にほくろがついてたといった新事実でもあれば、発言は撤回し全面的に「真津=留麻」説を支持します。


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というわけで、まだまだ謎だらけの『放送禁止 劇場版』。上映は始まったばかりなので、2回目3回目とトライする人は、情報をくまなく読み取りなんとか真相に辿り着いてください。自分も公開終了までにもう1回観に行きます。


-追記(9月15日)-
再見してきました。その結果、重大な真実をひとつ見落としてたことが判明したので、全面的に内容を改訂します。それは「深町の彼女」に関する真実で、この人があの人であるなら、「真津=留麻」説の強力な裏付けとなる「昔は優しくてお兄ちゃんみたいだった」という真津の台詞についても、小茂田にいじめ事件を思い出させるためにあえて言った「台詞」ではなく、思わず出た彼女の「本音」ということがほぼ確定するので、芝居や整形の件などがあっていまだ納得はできないですけど(苦笑)、二人がどうやって知り合ったのかとかいろいろ考えると「真津=留麻」説を受け入れざるを得ないかなという状況にいまなっております。というわけで、早急に全面的に考察をやり直しますのでしばしお待ちを。仮面の女が小茂田に言った「よーく思い出してください」というのはいじめ事件のことじゃなかったんですよ!


追記:書き直しました。



関連:「放送禁止シリーズ」過去記事一覧