『放送禁止6 デスリミット』の<真実>とは?【未解決編】

いよいよ明日初日を迎える『放送禁止 劇場版〜密着68日復讐執行人』。

謎の解明が劇場版へと持ち越されたこともあり、本作には意味深なれど何を意図するのかよくわからない映像や台詞がいくつか存在する。劇場版を観る前に個人的にまとめておきたいと思う。尚、公式見たら上映館がまた増えましたね。追加されたのは長野千石劇場、静岡・シネプラザサントムーン、同じく静岡・富士シネプレーゴです。

放送禁止6 デスリミット [DVD]

放送禁止6 デスリミット [DVD]


というわけで以下、ネタバレ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓



前回の記事。未読な方はまず↓こちらからどうぞ。


ノートパソコンに表示される「シエロサイト」

真津さんが「復讐サイト・シエロ」の存在を小茂田氏に明かす前、幾度かピンク色のTOPページが真津さんのノートパソコンに映し出されていることがあった。1度目は、小茂田氏が初めて真津さんのもとを訪れたとき。夫からのDV被害についてインタビューを受ける真津さんの右端にノートパソコンが見えるが、画面にはピンク色のシエロサイトが映し出されている(インタビュー中に消えるが、別に誰かが消したわけではなくスリープモードに入っただけだろう)。2度目は、隠しカメラを取り付けた翌日。小茂田氏が真津さんのもとを訪れ昨夜のことについて問い直す場面で、ノートパソコンの画面にやはりシエロサイトが映し出されている。彼女がシエロのサイトを覗いていようがいまいが不自然ではないので、わざわざノートパソコンにこの画面を映しだしておいた理由がいまひとつわからない。

玄関に置かれた白いパンプス

小茂田氏が真津さんのもとを訪れたとき、玄関口にはいつも白いパンプスが置かれていた(「初日」「闇サイトの存在を告白した日」「闇サイトから返信が来た日」「最終日」の計4回)。玄関のシーンが丸々カットされてる日もあるので毎回そうなのかはわからないが、ジーンズにTシャツ姿の真津さんには不釣り合いな靴。むしろ白いスーツを着た仮面の女が履いていそうなデザインであることから、「パンプスがある=仮面の女が家に居る」ということを暗に示唆してるのかとも思ったけれど、小茂田氏が来る日にあんな狭い家で待機してるメリットがよくわからないし、小茂田氏が初めて真津さんのもとを訪れた日、仮面の女は駐車場に停めた車の中で待機しており小茂田氏より先に宋野宅に着くのは不可能だった。あえて何度も映して見せた理由はいったいなんなのだろう。

ベランダの人影

怪我をした登津雄さんが窓際に歩み寄り洗濯物を畳む真津さんを手伝おうとする場面がある。そのとき、一瞬だがベランダに人影のようなものが映る。おそらく仮面の女なんだろうが、小茂田氏から監視されてる最中にベランダに待機する意図が分からない。そういえば、ここ数日「放送禁止6 幽霊」で検索かけられるけど、これのことなのか?

真津さんは何者なのか

平成19年(2007年)5月8日時点で真津さんの年齢は「29歳」と紹介された。女子高生によるいじめ事件が起こったのは今から12年前の平成7年(1995年)。年齢詐称でなければ、当時真津さんは17歳。被害にあった女生徒たちと同じ年齢ということになる。場所も同じ神奈川県。あの事件の関係者なのだろうか。

真津さんがつぶやいた意味深な台詞

真津さんの台詞で引っかかりを覚える台詞が2つ存在する。
ひとつは、小茂田氏が登津雄さんのDV現場を初めて目撃した日の翌日、再び真津さんのもとを訪れ「今日も監視してますから」と言ったときにつぶやいた「今日も・・・」という台詞。小茂田氏に“今日も”監視されたら何か不都合なことでもあるのだろうか。結局その日は何も起こらなかったので何故「今日も」という言葉に真津さんが反応したのか不明なままだ。
もうひとつは、登津雄さんが真津さんに今までの暴力行為を詫びた後、小茂田氏のインタビューに嬉しそうに答える真津さんが登津雄さんのことを「昔は優しくてお兄ちゃんみたいな感じだった」という台詞。真津さんと登津雄さんは実際に「兄妹」もしくは「幼なじみ」という設定なのかと思いきや、登津雄さんはただの放送スタッフだったし、何故こんな喩えが突然飛び出したのか不明。

「火災で火傷を負った江口来実」と「リーダー格の女生徒」が別人である可能性はないのか?

死傷者2名を出した12年前の倉庫火災について、「火傷を負った江口来実」と「いじめグループのリーダー格の女生徒」が同一人物なのかそうでないのかの表現が非常にあいまいなのが気になる。
以下の文章は火災事件が起きたときの新聞記事。

高校倉庫が全焼 出火の原因は不明 2人死傷
20日午後10時頃、神奈川県横浜市静那岐町の横浜市立静那岐高校内にある倉庫から出火。約40平方メートルを全焼する火事があった。同校の生徒2名が被害に遭い、神野留麻(かみのるま)さん(17)が死亡し、全身に火傷を負った状態で発見された。同じく、江口来実(くるみ)さん(17)も火傷を負い意識不明の重体。倉庫から灯油が入ったと見られるポリタンクやジッポライターが発見されたことから、警察は放火の疑いがあるとみて捜査している。火災当時、校内に生徒はおらず、教職員も全て帰宅していたため、倉庫の近くには人気が無かったと見られ、火事が発見されたのは倉庫がほぼ全焼したあとだった。市消防本部によると、火は1時間ほどで消え、校舎への延焼はなかった。警察は江口さんの回復を待って状況を聞く。

そしてナレーションで補足された事件の後日談。

いじめを受けていた神野留麻さんはリーダー格の女生徒にガソリンを被るよう脅迫され、焼身自殺。その現場にいた女生徒も顔に大やけどを負い、重症を追った。マスコミはいじめグループを強く非難し、学校や病院、女生徒の自宅にまでマスコミが押し寄せるという報道被害が発生。そして事故から1ヶ月後、その女生徒(映像ではリーダー格の女生徒が映し出される)はマスコミから逃れるように失踪。消息を絶った。

「いじめを受けていた神野留麻さんはリーダー格の女生徒にガソリンを被るよう脅迫され、焼身自殺。その現場にいた女生徒も顔に大やけどを負い、重症を追った。」この一文を聞く限りでは、神野留麻にガソリンを被るよう脅迫したリーダー格の女生徒と現場に居合わせ火傷を負った女生徒・江口来実は別人のように聞こえる。だが、病院や自宅にまで押しかけられ1ヶ月後に失踪したとされる「女生徒」のくだりで映し出されたのは「リーダー格の女生徒」。やはり現場に居合わせ火傷を負ったのはリーダー格の女生徒であり、新聞報道で「江口来実」という実名が出てしまったことによりわざと関係をぼかすような言い回しにならざるをえなかったということなのだろうか。事件後、火傷を負った女生徒は警察から事情を聞かれることになるわけだが、彼女がリーダー格の女生徒だとするなら、「私が神野さんにガソリンを被れと脅迫しました」と自ら警察に告白したのだろうか。それとも脅迫の事実は別の関係者からマスコミが入手した情報なのか。ちなみにリーダー格の女生徒が小茂田氏にインタビューを受けた際、机上に「江口来実」と書かれたノートが置かれていたが、これがインタビューを受けたリーダー格の女生徒のものなのかどうかは映像だけでは判断しきれない。彼女が「江口来実」という女生徒から借りたノートをたまたま持っていただけという可能性もある。

小茂田氏へのテスト

仮面の女は小茂田氏が粛正に値するかどうか審査するため、以下のようなテストを行った。

テスト1 妻をたすける?  → ×
スト2 やらせをしない  → ×
テスト3 夫を助ける    → ×

最後に「わかりませんか? よーく思い出してください。」と問いかけているところをみると、小茂田氏はスクープ映像欲しさに12年前の事件でもこれと同じ手順で関係者をサイアクの事態へと追いつめたのではないだろうか。たとえば、「(1)いじめの被害者から相談を受けたのにしばらく様子を見るといって助けなかった」。しかし思ったほど過激な映像が撮れないので「(2)被害者に加害者を怒らせるようやらせを指示」。その結果、いじめがエスカレートし、迎えるサイアクの結末で「(3)窮地に陥った加害者を助けなかった」・・・。(3)については、「ガソリンを被って焼け死んだのはいじめの被害者ではなく加害者であり、小茂田氏は現場の一部始終を目撃してたのに助けなかった」ということなのか。それとも「マスコミからの報道被害にあって窮地に陥ってる加害者を助けなかった」ということなのだろうか。復習サイト・管理人の名前が「七川ノラム」であることを考えると前者のような気もするのだが・・・。

神野留麻が首から下げてた黒いペンダント

おそらく焼けた遺体はこれによって本人だと特定されてしまったのだろう。真津さんや仮面の女が持ってないかくまなく探したが見つけられなかった。

有識者のコメント

今回は久しぶりに識者のコメントが真実を解明するヒントとして提示されてる気がするので、全文を抜き出してみる(テロップ部分は太字で装飾)。

「DVが起こる理由(精神科医のコメント)」
戦後 日本は利便性を追求してきた。そうすると対人関係の中で時間をかけて相手を理解することは二の次三の次にされてきたという背景があって、家族が核家族化して、都会の中でひとつひとつの家族が離れ小島のように生息している。そして真剣に悩みを言える友人がいなくなっているということがDVが増加する温床になってると僕は思う。

「利便性を追求」「相手への理解は二の次三の次」っていうのは小茂田氏への揶揄だろう。「家族が核家族化」という言葉だけ『デスリミット』のストーリーから浮いているので逆に気になる。「真剣に悩みを言える友人がいない」から神野留麻は小茂田氏に相談したんだろうなあ。

「DV加害者の特徴(精神科医のコメント)」
一見温厚な人が閉鎖空間では支配的になる。また相手との間に愛情関係があればあるほど支配する、支配しないと気が済まない、支配しないと自分が不安だからもっと相手を強く縛り付けようとする、そういう風な二面性を持つ人が本性を露わにするのがDVでもある。もちろんここで誤解されたくないのはそういう人ばかりではない。特に盲点になる部分をあえて言うとです。


「DVの解決方法は?(精神科医のコメント)」
早急に解決する方法はないと思う。何故無いかというと、その中にはまりこんでしまうパターンが多いから。分かっているけどはまりこんでしまうパターンが多い。解決策が全くないかっていうと、ある。あるんだけどなかなかそれをやらない。過去にそういった被害にあった、あるいはそれに近いようなかなり危険な目にあったことがある、そういう人の中に、次に恋人を見つけたり、次に伴侶を見つけるときに同じようなタイプを選んでしまう人が少なからずあるという臨床的事実があるんです。あ、また危険な人にもしかしたら自分は恋をしたかもしれない、好きになったかもしれないと思ったときに、助言してくれる友人はいるんですよ、往々にして。ところがその友人を遠ざけ始める。だから逆に言うと、自分はそういう傾向があると思えば、自分の羅針盤のような人物をかならず残しておくということですね。


「復讐サイトとは?(インターネット相談サイト代表のコメント)」
一見すると興信所のような様相のサイトでして、なんでも請け負いますよと。その中には社会的に抹殺するということもあれば、殺人まで請け負うという誘い文句がある


「闇サイトの摘発は?(弁護士のコメント)」
「反社会的な行為を請け負う」ということだけでは、サイト上の表現だけで実際に請け負ったわけではないので、表現そのものを法的に規制することは出来ないので、基本的には無法地帯として放置されていると。


「復讐サイトの摘発は?(インターネット相談サイト代表のコメント)」
いくら闇サイト自体に違法性がないとはいえ、現にそういうサイトを利用して犯罪者仲間が集まって事件が起こっているという情況を見る限りは、やっぱり野放しにしておくことはできない。プロバイダーなどが自主的に有害サイトの利用を制限するという風に対応していくことも重要なのではないか。


ラストのネタばらしで再度引用されたコメント。

「相手との間に愛情関係があればあるほど相手をすごく支配する。支配しないと気がすまない(精神科医のコメント)」


「表現そのものを規制することは現状出来ませんから、基本的には無法地帯として放置されてるということになりますね(弁護士のコメント)」


「社会的に抹殺するということもあれば、場合によっては命を奪うようなことまで請け負うかのような誘い文句がありますけど(「Web110番」代表のコメント)」

「愛情関係があればあるほど支配する」という言葉、これはいじめグループのリーダーと被害者の関係を言ってるのではないかと思うのだがどうなんだろう。リーダー格の女生徒がインタビューで言ってた「いじめとかそんなんじゃなくて、見てるとなんかいらつくっていうか…」というのは彼女の本心だと思う。いらつきの原因はいったい何なのか。






関連:「放送禁止」シリーズ過去記事一覧